イメージベースドライティングとは、光源にイメージ(画像)を使用することで GI (グローバルイルミネーション=環境光)を表現するライティング方法です。
このイメージベースドライティングに使用する画像には、HDR(ハイ・ダイナミック:レンジ)イメージという特殊なイメージを使用します。通常、RGB画像は、R・G・B それぞれ3つのチャンネルは256階調(8bit)のグレースケール画像で表現されていますが、HDRイメージはそれぞれのチャンネルに1024階調(32bit)を持っています。
通常は白とびや真っ黒で見えない画像をレベル補正すると写っていなかったものが見えてきますが、画像も劣化します。これに対し、HDRイメージでは高い階調を持つため画像が劣化しません。イメージベースドライティングには、質の高いHDRイメージが必要になります。
参照 => 8bitイメージとHDR(32bit)イメージの差
高い輝度を持たせる事が出来ます。このようなHDR画像を生成するには非常に手間がかかります。
HDRイメージを使用するイメージベースドライティングは、ラジオシティ法(光源→視点)レンダリングとなるため、レンダリングコスト(計算時間)がかかります。また、HDRイメージはファイルサイズが大きいため、計算には多くのメモリを必要とします。
レイトレーシングレンダリングでは、視点(カメラ)から設置された光源(ライト)までのRay(レイ=光線)をトレースする事でサーフェイスを描画します。つまり、レンダリングパス(計算)は、目に映る光線だけで済みます。
これに対し、ラジオシティ法では、レイトレーシング方式とは逆に、光源(ライト)から視点(カメラ)に届くまでのRay(レイ=光線)を計算します。このため、光源から四方八方に放たれる光の軌跡を、視点に届くまで計算する必要があるためレンダリングパスが増大します。
つまり、それだけ計算時間が必要となります。 レンダリングコストという代償の代わりに、乱反射する環境光を表現する事が可能になります。ライティングに関する知識がなくても高いレンダリングコストと引き換えにフォトリアルなイメージが得らると言う訳です。
関連 => レイトレース法による環境光の模倣
レンダリングの最適化
最近は、エントリークラスの3Dグラフィックソフトでもレイトレース法、ラジオシティ法レンダリングを混在(※オブジェクト、ライトごとに指定)できる製品もあり、このような3Dグラフィックソフトでは、設定次第でコストの掛かるラジオシティ系レンダリングの計算時間を節約する事が可能です。
※フォトンマップのことではありません。
Shade STANDARD + Calist / Shade PRO / Vue Infinite などがこれらにあたります。
HDR イメージを通常のイメージファイルに変換する事で、レイトレーシングレンダリングに適した環境リフレクション、背景画像としても活用する事が出来ます。
特にHDRイメージの制作は、専用のカメラ、機材等の準備など非常に手間とコストがかかるためこのような素材集はフォトリアルなイメージ、ラジオシティレンダリングにおいては作業手順を簡略化する事が出来ます。