Vue シリーズは、フランス e-on software 社の低価格ながら高品質なレンダリング、強力なアニメーション機能を持つ風景・景観・モーション作成に特化した3Dグラフィックソフトウェアです。国内はイーフロンティアがサポート、日本語版が販売されています。現在、注目されている3Dグラフィックソフトの一つです。
Vue (ビュー)シリーズ
参考 => シリーズ毎の機能比較
参考 => Vueの機能紹介 (ムービー/英語)
製品情報 イーフロンティア/参考書
Pro Studio / Ifinite は標準で付属します。
機能ごとのデモムービーは下記URLで公開されています。ムービーは英語ですが体験版は英語・日本語両方に対応しています。
URL => Flash Demos and Tutorials
この製品は、ビデオカードを選ぶ傾向が強いように思います。必ず、体験版で検証するようにして下さい。推奨は RADEON 9x00 チップ、GeForce 又は Quadro チップを搭載したビデオカードとなっています。 体験版の入手先、検証のポイントについては、ページ下で解説しています。
Vue シリーズは機能制限、付属する機能拡張プラグインにより、以下の4つのラインナップが存在します。注意点はプラグインを追加してもサポートされない機能がある点です。それぞれのラインナップについては、次のページ Vue シリーズ 失敗しない選び方 で解説しています。
参照 => "Le monde de la Vue" - 製品紹介
提供されるプラグインは現在4種類あり、Pro Studio 以上の Vue に全て付属します。よってベースの Vue 5 Espirt 専用 という事になります。Vue 5 Esprit に必要な機能を拡張するだけで無駄のない Vue を構築する事が出来ます。
Vue 5 Infinite 体験版を半日触ってみました。率直にいって良いです。詳細については、製品Webサイトで確認してください。個人的に気になった点を書いておきます。
ラインナップにより、利用できる機能が限られている製品もあります。私が感じた Vue の特徴です。
樹木、地形、モデル、モーション、マテリアルと何から何まで直に使えるプリセットが用意されています。『 取敢えず付けときました 』 というプリセットではなく実用に使える品質をもっています。生産性を高めるための配慮が随所に感じられます。
レンダリングの美しさと、景観作成に特化した3Dグラフィック製品では珍しい強力なアニメーション機能を有します。
放送レベルの高い映像作品を制作可能な点と、他のエントリークラスの統合型3Dグラフィックソフトと比較しても、最上位の Infinite の標準価格が 75,600 円ですから、コストパフォーマンスの高い製品といえます。
ベースとなるレイトレーシング レンダリングは、LightWave3D / Shade / MentalRay / CINEMA4D / STRATA / CARRARA などと比較しても高速な部類に入ります。また、空気感を演出するのに欠かせないボリューム系のレンダリングもそこそこ速く美しいです。ボリュームマテリアルもアニメーションさせる事が可能です。雰の中を歩くアニメーションなど空気感ある映像制作に適しています。
ボリュームライトにボリュームオブジェクトで靄をかけた例
カメラがボリュームオブジェクトに埋まってます。(右)光が干渉している事がわかります。(レイトレースレンダリング)
品質は高く美しいのですが、BRYCE 程ではないものの絵に若干のくせ(黒くくすんだ感じ)があり Vue を使った事がある人なら見ると分かるレベルです。プリセットの影響と思いますが実際に触ってみた結果とギャラリーを見てそう感じました。
この Vue も他の3Dグラフィックソフト同様、例外なくレンダリングコストが高いです。
イメージベースドライティングをサポートしています。貼り付けたイメージを環境光として利用可能です。フォトリアルなイメージを作成可能です。
ミドルクラス以上の3Dグラフィックソフトに搭載されている機能で、レンダリングイメージ結果をテクスチャとしてサーフェイス(面)にベイク(焼き付け)る事が出来ます。制作内容によりますが、(屈折物や光源が変化するモーション作成には使えない)特にアニメーション作成時やGI/ラジオシティベースのイメージ作成、Web、ライティングの計算は最初の一度だけで済むため、レンダリグ時間を大幅に短縮する事が出来ます。
基本的なキーフレームアニメーションにおいても、加速、減速に関するプリセットが用意されており、Vue の特徴となっています。また、大気を表現するボリューム系マテリアル、植物などのモデルプリセットにも風の影響による動作パラメーターが組み込まれており、風に揺れる草原や、大気のゆらぎ、雲の流れなどの自然現象を表現する複雑なアニメーションを簡単に作成できるように設計されています。
面白いのがアニメーションウィザード機能(シリーズ全体)です。モーションをウィザードでステップ バイ ステップで作成する事が出来ます。
自動車、モーターボート、歩行者などの水平動作のアニメーション、ロケット、飛行機、ヘリコプターなどの空中動作のアニメーションの二つのカテゴリ、タイプ別にプリセット化されています。
例えばモータボートであれば、加速時に自動的にフロントが浮くようになります。この他にも、空中動作のロケットタイプ、ヘリコプター、飛行機などタイプに応じたプリセット、パラメーターが用意されています。飛行機旋回時に自動でロールさせたりするアニメーションも簡単に作成する事が出来ます。
Mover 5プラグイン に含まれる振動エフェクト機能を併用すれば、トラックが振動しながら悪路を走るアニメーションもアニメーションウィザードから行えるようになります。(Pro Studio 以上、若しくはEsprit に Mover 5プラグインを追加)
ここで作成したパスモーションを調整する事でアニメーション制作を効率化することも可能です。特に3Dアニメーション初心者の方にはありがたい機能ではないでしょうか。
STRATA 3D に近いキーフレーム編集インターフェイスを持っており、初心者には取っ付き易いといえます。サンプルムービーにあるように、飛行機が空中を飛ぶ単純なパスアニメーション作成に適しています。
ミドルクラス以上の統合型3Dグラフィックソフトの多くは グラフエディタと呼ばれる二次カーブエディタを用いてモーションの微調整、編集を行いますが、この製品にも一応ついています。ただ、グラフエディタほど操作性はよくなく小回りはききませんが、この価格を考えれば十分な機能を備えています。
Vue は、景観のためのカメラモーション、飛行機や車など乗り物系のアニメーション製作がメインとなります。キーフレーム階層構造を持つため、キャラクターアニメーション制作も可能ですが、IK(インバースキネマティクス)などの機能は持たないため、基本的には外部からモーションを取り込んで使用する事になります。
(Esprit + Mover 5 又は Pro Studio 以上)
プラグイン Mover 5 を使用する(Pro Studio以上に付属)事で、POSER 4以降 で作成した人間、モーションの取り込みもサポートしています。POSER 5以降でサポートされたダイナミックヘア(髪の毛)のモーションにも対応しています。
参照 => POSER(ポザー) 人物作成に特化した3Dソフト
分かり易いです。マニュアルがなくても全体が直に理解できます。他の3Dグラフィックソフトを一本使いこなせている方は、1~2日もあれば習得できると思います。
また、プリセットが優秀です。例えば、サンプルシーンや、大気など予め用意されているプリセットの品質が高く、すぐにでもクオリティーの高いイメージが作成できます。また、これらのプリセットの値を解析する事でテクニックを学習する事が出来ます。
質の高いサンプルシーン。これらを解析し学習できる。
3Dグラフィックソフトで必要とされるモデリング、編集機能は全く備えておらず、他の3Dグラフィックソフトで作成して取り込む事になります。自動車や人物などのモデリングは行えません。3ds / dxf /obj の基本フォーマットに加え、Lightwave3D / Shade の独自ファイルのインポートをサポートしていますので 「モデリングは他でやってね。」 という事なのでしょう。
ブラシツールでリアルタイムに形状を確認しながら作成する事が出来ます。フラクタルによる侵食、河川など容易にリアルな地形が作成できますが、狙った形状を作成するには慣れが必要です。
これらの形状データも他の3Dグラフィックソフトに出力可能なため、地形モデラーとしての購入するメリットもありそうです。
複数の植物がプリセット化されており、編集する事が出来ます。葉の数や、幹の太さなど。品質も高いです。これらには、モーションに関する情報も含まれており風に揺れる草原など表現する事が出来ます。また、地形表面に自動で植生し、美しい密林、ジャングルなど呆れるほど簡単に作成する事が出来ます。驚きです。
作成した樹木を他のソフトへ書き出す事も可能なため、他のソフトで再利用する事も可能です。これだけでも他の3Dグラフィックソフトを持っていれば利用価値があります。
表示が重くなるので高速な3Dグラフィックアクセラレーターは必要です。このような作業はミドルクラス、ハイエンドクラスの統合型3Dグラフィックソフトでも仕込み作業は大変です。風にそよぐと言ってもある程度ランダムに自然(リアル)にそよぐように設計されています。
メタブロブと呼ばれるメタボール系のモデリングが行えます。(プリミティブオブジェクトのみ)引き付けあう以外に反発にも対応しています。(Vue 5 Easel は未対応)
レンズフレアの品質も申し分有りません。扱えるパラメーターも十分な機能は満たしており美しいです。
Vue は OpenGL アクセラレーターを搭載したビデオカードが必須となります。なくてもCPU側で処理させる事が可能ですが、重すぎで使用に耐えません。また、ビデオカード(チップ)を選ぶ傾向があります。
実際、ハイエンドクラスの3Dグラフィックソフトウェアで必須とされる事の多いハードウェア オーバーレイをサポートする私のビデオカード(FireGL)では、たまに表示がリフレッシュされない現象が起きました。
起動の際、現在使用しているビデオチップをチェックしているようで、動作検証リストに含まれていない旨のメッセージが出ます。必ず、【ファイルメニュー】 → 【環境設定】 → 【表示設定タブ】 のOpenGL(ハードウェア)にチェックを入れて、お手持ちのビデオカードのOpenGL アクセラレーターが正しく動作するか確認するようにして下さい。
問題があれば、OpenGLに関する設定を変更する事で回避できる可能性もあります。許容範囲かどうか確認してから購入するようにして下さい。
推奨チップは、ゲーム系のビデオボードでは、ATI は RADEON 9x00 系チップ、GeForce系チップを搭載したビデオカード が推奨されています。3Dグラフィックソフト系のビデオカードでは Quadro チップが推奨となっています。
ATI 社 より nVIDIA社 のチップを搭載したビデオカードの方が相性はいいようです。
RADEON は 9x00 シリーズが推奨なので注意して下さい。特に機械の苦手な方は、パソコンのスロット形状がご自身のパソコンの規格にあったものかどうか十分注意して下さい。このサイトでも3Dグラフィックソフトに適したビデオカードの選び方を解説していますので参考にして下さい。