3D グラフィックソフトで作成されデータ(ファイル)は、基本的に互換性はありません。例えば Shade で作成されたデータは Shade でしか開くことは出来ません。
モデラーで作成した形状データは共通の汎用形状フォーマットで出力することで、他の3DCGソフトウェアへ取り込む事が可能です。代表的な3D汎用フォーマットは、DXF / 3DS / OBJ です。
3D グラフィックソフトが入出力に対応していても、これらの情報が全てやり取りできるとは限りません。3Dグラフィックソフトのサポートにより左右されます。基本的に形状データのやり取りは行えます。
含まれる情報 | DXF(12) | 3DS | OBJ |
---|---|---|---|
グローバル座標 | ○ | ○ | ○ |
頂点(Vertex)座標=形状 | ○ | ○ | ○ |
頂点カラー情報 | × | × | × |
頂点ウエイト情報 | × | × | × |
法線(裏表の情報) | ○ | ○ | ○ |
四角メッシュ | ○ | × | ○ |
三角メッシュ | ○ | ○ | ○ |
UV情報 | × | 一つのみ | 複数 |
テクスチャ | × | ○ | ○ |
マテリアル(色) | × | ○ | ○ |
グループ | ○ | ○ | ○ |
階層 | × | × | × |
反射・輝度etc | × | × | × |
※DXF ‥‥AutoDesk社の2D/3D CAD汎用フォーマット
※3DS ‥‥同社の3DCG ツール3dsMaxの汎用フォーマット
※OBJ ‥‥Alias|Wavefrontの汎用フォーマット
これらのフォーマットは、頂点(Vertex)の座標情報が含まれています。つまり、書き出すサーフェイス属性は、ポリゴンサーフェイスである必要があります。
注意
3D グラフィックソフトが書き出す DXF/3DS/OBJ 汎用フォーマット(特にDXF)には方言があり、他の3D グラフィックソフトにインポートするとスケールや法線方向が裏返る、グローバル座標がひっくり返るといった事もよく発生します。
また、アプリケーションによっては、単純に頂点(Vertex)の座標しか出力しないものや、出力時に指定できるもの、又は、汎用フォーマットのバージョンによっても異なります。
スプラインベース(NURBSやベジエ モデラー)の場合、一度ポリゴンに変換する必要があります。異なるNURBS モデラー同士でサーフェイス属性を維持して形状データのやり取りを行う事は、3D グラフィックソフト単体では行えません。
このような形状データのやり取りを行う場合、変換を専用に行うコンバーターが販売されています。なかでも PolyTrans はNURBSサーフェイス のトリム情報からスケルトンやモーションまで全てをコンバートする事を目標に開発されている製品もあります。 (Maya / 3dsMAX / XSI ハイエンド3DCGグラフィックス向け)
URL => PolyTrans
この製品は、Maya / 3dsMax のNURBS(トリム情報含む)アニメーションやスケルトンなど完全なデータ変換を行う事を目標に開発されているコンバーターです。
3D グラフィックソフトで作成したマテリアルやテクスチャの情報は、互いの3D グラフィックソフトにおいて互換性はありません。通常は、汎用フォーマットで形状を取り込んだ後に、設定を行う事になります。
FBX フォーマットは、異なる 3D グラフィックソフト 間での制作をシームレスに行うためにAlias 社がオープンソースとして仕様策定、提唱している比較的新しいファイルフォーマットです。またプラットフォーム(OS)にも依存しません。3Dに関する情報だけでなく、QuickTime や画像、音声情報など様々な情報も含めることが出来る仕様となっています。(開発者向けSDKも配布しています)
Kaydara社のハイエンド3Dアニメーション専用ソフト MotionBuilder はFBXフォーマットを使用して他の3D グラフィックソフトにモーション編集を提供する製品でしたが、2004年8月にMaya開発元の Alias 社に買収されています。
FBX フォーマットの仕様には、これまでの上記汎用3Dフォーマットにはなかったシーンファイル特有の情報も含まれています。これらの情報のやりとりが全て行えるかどうかは3D グラフィックソフトのサポート状況により異なります。
3D グラフィックソフトに関連する情報 | FBX |
---|---|
頂点カラー情報 | ○ |
頂点ウエイト情報 | ○ |
マテリアル情報 | ○ |
テクスチャ | ○ |
UV 情報 | ○ |
スケルトン(ボーン・ウエイト・スキニング) | ○ |
モーフィング情報 | ○ |
アニメーション(階層構造含む) | ○ |
FBX 入出力に対応した 3D グラフィックソフトであれば、FBX ファイルを経由してモーションの編集を他の製品で行ったり、分野ごとに得意な3D グラフィックソフトを使い分けるといった制作環境を構築することが出来るようになります。
このサイトでは、これから3DCGを始める方を対象としていますのであまり意識する必要はないと思いますが、このサイトで紹介している対応済みの 統合型 3D グラフィックソフト は以下の通りです。どこまで入出力をサポートしているのかは、各メーカーに問い合わせる必要があります。
SOFTIMAGE | XSI / 3ds MAX / Maya
LightWave3D / CINEMA 4D
Shade6 以降 / STRATA3D CX / CARRARA4 PRO は入力のみサポート(CARRARA4 STANDARDは未対応)
LightWave3D-8 / 3dsMAX-6~7 / Maya-6.5~7 に関してはAlias社からプラグインが提供されています。それ以外は、各メーカーがそれぞれ対応しています。FBX プラグイン入手先等、詳しい情報は下記URLを参照して下さい。
URL => http://www.alias.co.jp/products-services/fbx/
(無料のメンバー登録が必要)
参照 => 無償 FBX ソフトウェア開発キット(SDK) を発表 Alias プレスリリース
参照 => CINEMA 4D の FBX 対応に関する記事
このサイトで紹介している 『エントリークラスの製品選びのポイント』 に関連する記事
参照 => 3DCG モデラーのタイプ(種類)と特徴について
参照 => 3DCG モデラーを基準とした製品選びのポイント
参照 => 複数の製品を組み合わせる事も視野に