ここでは 3DCG制作における質感設定に関する機能について紹介しています。何れも統合型3DCG ソフトに共通する基本的な概念となります。ソフトウェアによって呼称は異なりますので、ご自身がお使いのソフトウェアではどれにあたるか考えてみてください。
Softimage / Maya / Lightwave / Shade / Strata あたりの表記がごがごっちゃになっていると思いますが、云わんとしている事は同じです。
3DCG制作における質感設定は、マテリアル(表面材質)の設定とテクスチャ・マッピングという二つのアプローチが基本となります。 統合型3DCG ソフトに共通するこれらの概念について説明します。
マテリアルとは素材の事で、3DCG においては拡散率、反射率といった表面上の質感設定を行う工程になります。
どのようなパラメーターが用意されているかはそれぞれの3DCGソフトが実装しているレンダラによって異なりますが、どの3DCGソフトにも共通する基本的なパラメータは以下の通りです。
※ソフトウェアにより呼称は異なります。
この他で代表的なものには環境色を指定可能な アンビエント(Ambient)カラーが調整可能なものもあります。実装されるレンダラやシェーダーによっても表現の幅に違いはありますが、基本的なマテリアル設定はこれらのパラメーターを調整して作成します。
これらの基本的なパラメーターをいくら調整しても表現できない材質も存在し、このような素材の表現は別途シェーダーが提供される場合もあります。
ミドルクラス以上の統合型3DCGソフトでは、カメラ(視点)やライトの入射角によって変化させる機能を持つ汎用性の高いシェーダー(MayaならRamp、Lightwave ならGradient)などの使いこなしも重要なポイントになります。
よく見かける事例ですが、反射率、透過率、屈折率を設定をするだけではグラスに見えません。反射率や透過率、屈折率のある物質は、周囲に写り込む環境があって初めてグラスらしく見えます。
例えば、現実の世界でも商品撮影の際、グラスに写り込むステンレスの棒などを周囲に配置して意図的に映り込みを強調して美しく見せる工夫をしています。
3DCGソフトウェアのデフォルト背景は単色です。(黒が多い) 環境マッピングなどの手法で擬似的に周囲の映り込みを表現する機能も提供されています。
鏡面反射や屈折率など使用する計算方式によっては求められない場合があります。例えば、Shade は美しいスキャンライン方式によるレンダリングが可能ですが、スキャンラインでは反射や屈折の表現は再現できません。レンダリング方式に関しては、他のコンテンツで説明していますので、ここでは割愛します。
3DCGにおけるテクスチャとはサーフェイスに貼り付ける模様や絵の事をいいます。どのソフトウェアにも共通するテクスチャの方式には、画像データを貼り付けるタイプ と ソフトウェアにより自動的に生成する二つの方式があります。
Photoshop などで作成したイメージを貼り付けます。この貼り付けることをマッピングといい、上記、マテリアルのそれぞれのパラメーターに対して貼り付けます。
最も単純な例は、拡散色にイメージ画像を貼り付ける事でマテリアルで指定した色を隠すことになります。
これは単純に色だけの問題ですが、マテリアルのパラメーターは、マテリアルが適用された全てのサーフェイスに対して有効になります。
人の顔の例に説明すると、口紅を縫った唇(くちびる)と周囲の肌とでは拡散光や光沢、反射率も異なります。このように部分的に質感を変えたい場合、それぞれのパラメーターにグレースケールのテクスチャが必要になります。
数値入力ではなく、画像の明暗で一様ではない反射率や光沢を表現する事が出来ます。
リアルな質感を表現するには、それぞれの項目に適切なグレースケール画像(テクスチャ)が必要になります。実物をよく観察しそれぞれのパラメータに置き換えて考える力が必要です。
ソフトウェアによって呼称は異なりますが、ソフトウェアが自動的に生成するテクスチャの事をいいます。上記、イメージ画像と違い解像度という概念が存在しません。
木目や大理石といった模様から、グレースケールの模様を生成する機能を提供するソフトウェアもあります。
これらのテクスチャが主に活躍するのは、炎や煙などの効果をアニメーションで表現する場合です。(解像度の概念がなく自動的に生成される、生成時のパラメーターをモーションに利用できるなど何かと都合がよいため)
初心者が最初に取り組むべきは、2Dテクスチャになります。
特に映像制作、ゲームなどエンターテイメント性の強い分野で求められるフォトリアルな3DCG イメージ制作においては、テクスチャが重要なカギを握るため、3DCG ソフトウェアだけでは制作できない事になります。
3DCG 制作におけるテクスチャ制作によく利用されるソフトウェアは Adobe Photoshop です。Photoshopのレイヤ情報など独自フォーマットに対応する事で生産性を高めている3DCGソフトウェアもあります。
3DCG ソフトウェアの習得だけでなく、Photoshopも習得する必要があります。Photoshop は様々な分野で使用される画像処理ソフトウェアであるため、それぞれの分野ごとに様々な書籍が出版されています。3DCG テクスチャに関する書籍も出版されています。
工業デザインや建築などのプレゼンテーション用途では求めるリアルさは異なります。このような用途では汚れた質感など求められる事はまずないでしょうし。
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このような方におすすめ このサイトでも説明しているように3DCGでリアリティあるイメージを作成するには観察力が必要です。この書籍ではリアリティあるテクスチャを作成するために具体例を元に解説しています。ある程度CGイメージが作成できる方でレベルアップしたい方に特にお勧めの書籍です。 |
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このような方におすすめ CGワールドの連載をまとめた書籍で、連載の方で拝見しましたがPhotoShopなどの画像処理にある程度精通している方が前提なので中、上級者向けといえます。内容は3ds Max となっていますが、テクスチャの概念は共通するため他の 3D グラフィックソフトを使用されている方にもよい資料となります。 |