エントリークラスの統合型 3DCG ソフトェア 製品は、向き、不向きがハッキリしており、それが個性となっています。初めて 3D グラフィックソフトを購入される方には、開発元の情報では分かり難いので、専門家としてジャンル別に機能比較、分析を行い評価しました。
あくまで私(3DCG歴16年)の個人的な評価ですので参考程度にして下さい。ニーズに合うものが見つかれば、必ずしも 価格の高い高機能の 3D グラフィックソフト は必要ではありません。
尚、評価にあたって注目したポイントは以下の通りです。
製品名 | 建築パース | インダストリアル | 人間・動物 |
---|---|---|---|
Shade | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ |
Animation Master | ★★☆☆☆ | ★☆☆☆☆ | ★★★☆☆ |
STRATA 3D CX | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ | ★☆☆☆☆ |
CARRARA | ★★★☆☆ | ★☆☆☆☆ | ★★★☆☆ |
建築・工業製品のプレゼンテーションにおいては、Shade が最も適しています。逆にパッチポリゴンモデリングの操作性が悪く、スプラインベースモデラーの性格上、キャラクターモデリングに適しません。
セルアニメーションなどキャラクターアニメーションをメインに作成したい方はAnimtionMaster が適しています。製品名の通りです。
Shade を使用して 美しい女性を作成するクリエイター、ホビーユーザーは多いです。元祖は加藤直之氏 (SF画家) 沈黙の美女(最終的にはポリゴンで処理されていたような記憶が・・)ですが、くつぎけんいち氏(漫画家)の バーチャルアイドル てらいゆき もShade 生まれです。(当時パッチポリゴンはShadeにはありませんでした)
Shade2 の頃、私もShade で人物を作成した経験がありますが、現実離れした職人技が要求されます。このような方々に影響されてShade を選んで後々後悔された方も多いのではないでしょうか。
現在 Shade / STRATA がサポートするパッチポリゴンは操作性、パフォーマンスとも実用レベルにありません。
製品名 | レイトレース品質 | GIカスタマイズ性 |
---|---|---|
Shade | ◎ | ◎(CALIST使用時) |
Animation Master | △ | 検証できず |
STRATA CX | ○ | × |
CARRARA | ○ | △ |
環境光が重視される建築分野に最も適したレンダリングエンジンを持っているのはShadeです。特に環境光(GI = グローバルイルミネーション)系のレンダリングは計算負荷が高いため、どこまでカスタマイズ(最適化)出来るかが、製品選びのキーになります。
製品名 | IK・Bone | keyフレーム編集 |
---|---|---|
Shade | ★☆☆☆☆ | ★★☆☆☆ |
Animation Master | ★★★☆☆ | 検証できず |
STRATA CX | ★☆☆☆☆ | ★★☆☆☆ |
CARRARA-4Pro | ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ |
Shade は昔からアニメーションの操作性が高くありません。キーフレームの編集機能が重要になります。CARRARA は加速、減速に関して適切なデフォルト値が適用されるのでスムーズなアニメーション制作に適しています。
ちなみに、このサイトでミドル クラスに分類している LightWave3D や CINEMA 4D を同じ視点で評価した場合、全て星が埋まります。ハイエンド 3D グラフィックソフトは、更にその上となります。
低価格なエントリークラスの 3D グラフィックソフトの中には、互いの弱い所を補う形で、互換性を維持している製品もあります。例えば、Shade は、Animation Master 形式での形状データをサポートしていたり、人体専用 モデリング・アニメーションツールのPOSER は、外部の統合型 Shade や CARRARA との連携を意識しています。
このサイトで紹介している 『エントリークラスの製品選びのポイント』 に関連する記事
参照 => 3DCG モデラーのタイプ(種類)と特徴について
参照 => 3DCG モデラーを基準とした製品選びのポイント
参照 => 複数の製品を組み合わせる事も視野に