これまでの説明で、モデラーには複数のタイプとそれぞれに特徴がある事がお分かり頂けたのではないかと思います。CG 作品を制作する上で、先ず行うのがモデリングです。形状がなければ質感の設定や レンダリング も行う事は出来ません。
つまり、初めての方が 3DCG ソフトウェアを選ぶ場合、ソフトウェアが有するモデラーは、ポリゴンなのか、スプラインベースなのか、どちらをベースとしているのかは重要なポイントになります。
このページで説明する 3DCGソフト のクラス分け自体が曖昧なのですが、国内で広く利用されている定番の 3DCG ソフトウェアの 価格帯を 低 ・ 中 ・ 高 に分類し、機能面も考慮して分類して紹介しています。
3DCG 系の専門誌でも、昔からこのようなクラス分けで説明される事も多く、厳密にランク分けのルールはありませんが、まぁ、こんな所であろうかと思います。
ここでは、冒頭 で述べたように、それぞれの製品が有するモデラーを主眼を置いた場合の 3DCG ソフト選びのポイントについて以下にまとめています。つまり、これから 3DCG を始められる方を対象にしている事になります。
プレゼンテーションが主な利用目的となる デザイナー や ビジネス用途の視点から見た製品選びのポイントは、以下を参照して下さい。
参照 => クラス別 3D グラフィックソフトの傾向
このサイトで紹介している エントリークラス(入門者向け) の製品が、ポリゴン、スプライン 双方のモデラーを有する事は稀であり、何れかになると考えた方が無難です。
Shade や STRATA のように、スプラインベースのモデラーが、後に サブディビ ポリゴンモデラーをサポートするケースもあります。しかし、いずれのケースも後にサポートしたモデリング機能は実用(業務用途)レベルに達していません。
つまり、これから 3DCG を始められる方は、こちらで説明したように、ポリゴン、スプライン 形式のモデリングの特性を理解し、メインで作成する作品に適した製品を選ぶ必要があるという事です。
人や動物、キャラクターがメインとなるのであれば、ポリゴン系モデラーをベースに有する3DCG ソフト、工業製品やパッケージデザインなどある程度、正確さが要求されるような目的であれば、スプライン形式のモデラーをメインに有するソフトウェアを、といった具合にです。
初めて 3D グラフィックソフトに挑戦される方は、エントリークラスになると思いますのでモデラーの特徴と、自分のニーズに一致する製品を選ぶようにしましょう。
LightWave3D や CINEMA4D のような全ての分野に対応可能な15~30万の価格帯にある製品は、エントリークラスのようにバージョンを重ねても中途半端なモデラーは搭載せず、現状のモデラーを更に扱い易く進化させる傾向があります。
両者は全ての分野に対応できるように、サブディビジョン系のポリゴンモデラーを採用
また、ハイエンドクラスの製品の中にも SOFTIMAGE | XSI Foundation のように機能制限、サポートなしとしてエントリークラス並に価格を抑えた製品もあります。
強力なNURBSモデラーやポリゴンモデラ-などモデリングに関する制限はないため、インダストリアル デザイン分野に適しており、初心者には敷居の高いツールですが、低価格でありながら、使いこなせば強力な武器になります。
ここでミドルクラスの3Dグラフィックソフトとして分類している LightWave3D や CINEMA4D は、様々な分野に対応可能です。どちらを選ぶかは、具体的に機能比較を行うようにします。
Maya や SOFTIMAGE | XSI などの製品は、どのラインナップも強力なモデラーをサポートしています。
工業製品のモデリングに最も適した高機能な NURBS モデラーを有し、ポリゴン モデラ においてもサブディビジョン系、サブディビジョン サーフェイスといった様々なモデラーを搭載しています。また、それぞれの完成度は エントリークラスの モデラーとは比較にならないほど強力です。
その分、習得すべき機能も半端なく膨大であり、初心者が飛びつくと間違いなく挫折します。3DCG 関連のスクールでは、これらのソフトウェア習得を目的としています。
Maya は当初強力なNURBSモデラーがメインでしたが、キャラクターアニメーションには適さない事から、後にLightWave3Dと同様、強力なサブディビジョン系ポリゴンモデラーをサポートします。XSI も同様で、先代の Softimage 3D にはなかった強力なサブディビジョン系ポリゴンモデラーを XSI から有するようになりました。
このサイトで ハイエンド クラスの 3DCG ソフトウェア として紹介している Maya や SOFTIMAGE | XSI は、工業製品のモデリングに適した 強力な NURBS モデラーと キャラクターモデリングに適した柔軟な サブディビジョン系、サブディビジョン ポリゴンモデラを搭載しています。
即ち、これらのソフトウェアが搭載するモデラーはあらゆる分野に対応できる懐の深さを持っているため機能面で特に注意すべきことはありません。前述したように様々な機能が提供されるため、習得にはかなりの時間を要します。
モデリングの分野だけでなく、アニメーションや特殊効果に関する機能、精度もエントリークラスのそれとは比べ物にならないほど高機能です。用途によっては無駄な機能も多く、その分、インターフェイスも複雑になるため、仕事で導入したが結局、使い切れなかったという話はそこらかしこで耳にします。
3ds Max は、シェア No.1 を誇る 3DCG ソフトウェアであり、このサイトでは ハイエンドクラスに分類しています。ですが、Maya や XSI とは素性が大きく異なります。
3ds Max は、SGI 移植組みの MAYA や XSI とは異なり、生粋の Windows アプリケーションであり、現在も Intel 以外のプラットフォームは存在しません。Windows ライクなインターフェイスは当初より人気を博し、瞬く間に No.1 シェアを獲得した理由の一つになっています。
NURBS モデリングが前提だった当時の Maya や Softimage と異なり、3ds Max は現在も NURBS モデラーは搭載されていません。(サードパーティが出している) キャラクターアニメーション、映像制作、建築 プレゼンに適した要素をもっており、モデラーの位置付けは ミドルクラスの ポリゴンモデラーに近い系統となります。
2006 年 1月、3ds Max の開発元 Autodesk 社は Alias 社を買収しています。 建築、映像プロダクションよりの 3ds Max ですが、今後、Alias 社の持つ 強力な NURBS モデリング技術を取り込まれるかも知れません。