もともと、オランダの Not a Number 社が開発していた商用アプリケーションでしたが、2002年 10月にGPL(オープンソース)として公開されました。フリーで商用使用できる統合型3Dグラフィックソフトとしては、Blender が世界初となります。
参照 => blenderの歴史
第一にオープンソースである事が挙げられます。世界中の有志が開発を行っており、開発に参加するのも、商用、非商用問わず Blender を使用するのも自由です。
現在も精力的な開発が続いており、ハイエンドクラスの3Dグラフィックソフトにしか搭載されていないような機能をサポートしています。様々な分野で必要とされるシェーダー や I/Oプラグイン などの開発プロジェクトが世界中で立ち上がっており、バージョンが上がるたびに実装される機能には目を見張ります。一般の3Dグラフィックソフトよりも開発ペースが早いです。
インターネットサーバー市場で成功を収めた Linux と同様に、オープンソースである Blender が、統合型3Dグラフィックソフトの市場に変革をもたらす存在になる事は間違いないと思います。
一般的な3Dグラフィックソフトは、いくらユーザーが要望してもそれらの機能が実装されたり、改善されたりする事は、なかなかありませんが、Blender の場合、プレリリースを見ても分かるように、以前実装された機能の問題点を積極的に改善しています。
また、実装された機能でも将来の開発に問題が生じれば、バッサリ切り捨てる、新しいアイデアがあれば再度、作り直すといった思い切りの良さを感じます。このようなコミュニティベースの開発は、市販3Dグラフィックソフトではなかなかマネの出来ない事です。
機能面では、エントリークラスの3Dグラフィックソフトを陵いでおり、ミドルクラスやハイエンドクラスの3Dグラフィックソフトでしか採用されていない機能を持っています。(完成度は別として)
また、安定版とはいえ市販の3Dグラフィックソフトと比較すると良く落ちます。質の高いレンダラですが、レンダリング速度、マルチプロセッサ対応状況などレンダリング周辺が弱いといった印象があります。
次期バージョン 2.4 では、Fluid dynamics (流体力学)が搭載されています。
参照 => デモムービー
ちなみに、2005年 6月 1日 にリリースされた現行安定バージョン 2.37 で実装され目を引いたのは、ソフトボディーでした。
参照 => デモムービー
2005年12月現在、2.4リリースがもう直です。
前述したとおり、Blender は多くの人々(ボランティア(無償奉仕活動))によって開発され、様々なプロジェクトにより支えられています。敬意を払って使用しましょう。
このサイトで紹介している商用プログラムと比較するのは心苦しいのですが、この点は一先ず置いておき、『3Dグラフィックソフトの比較』 という広い視点で個人的な主観で感じた特徴を述べています。
海外では本格的な3D映像制作を考えているハイアマチュアに人気が高いようです。ORANGE PROJECT など Blender で映像制作に参加する有志を世界中から募集し、商用映像作品として販売するプロジェクトは典型的な例です。国内では Blender の普及は、まだこれからといった感じです。
2005/5/24
Blender Movie Project 「 Orange Project 」発足のニュース。 Blender財団とオランダのMedia Art Institute(メディア・アート・インスティテュート)が 3D CGショート映画の共同制作プロジェクト オレンジプロジェクトを発足しました。アムステルダムのMedia Art Instituteのスタジオを拠点とし、外部のコミュニティーで組織化するそうです。制作期間は2005年9月から2006年3月まで。アート、アニメーションディレクターは、 Andreas Goralczyk 氏 / Bassam Kurdali 氏。