MAC-OSがSystem 6 の時代に発売され現在も現役の歴史ある統合型3Dグラフィックソフトです。当時の "StrataVision" は Macintosh において3Dソフトの代名詞的存在でした。自信も当時のStrataユーザーでしたが、話題だけが先行し、中途半端なバージョンアップの連続にガッカリしたものでした。
開発者といえばアメリカンドリームを実現しスローライフを満喫するような人たち、という記憶が残っていたのですが、調べてみると現在も開発 スタンスというかスタイルは変わってないようで、アットホームな社風は妙な安心感を覚えます。(笑
StrataVision から StudioProBlitz を経て、StrataStudioPro となり、このときソースコードの見直しが図られ大きく生まれ変わりました。しかし、ようやく搭載されたIKシステムも貧弱な上にスキニング機能はなく、いい加減つくだろうと思っていた面単位でのポリゴン編集機能はない、インターフェイスは一新されたものの重くなっただけ、付け加え使用メモリの肥大化と個人的には 「中途半端なUV編集が付いた」だけのソースコード見直しという散々な内容で良い印象がありません。
それ以前は、よく "LightWave 3D ver5" と比較されたものですが、当時から両者の差は広がる一方で現在では比較さえされません。古くからラジオシティーレンダリングをサポートする数少ない製品でしたが、当時のマシンパワーでは処理が追いつかず実験的機能として長い間使われることはありませんでした。
"Strata Studio Pro" から"STRATA 3D "と名前を変えてから、Windowsプラットフォームに移植されます。移植された直後のバージョンは、APIの問題でMAC-OSより動作は 重く、Strata Studio Pro の一部に機能制限をした フリーウェアとして、窓の杜などで配布されていた時期もありました。(かなりショッキングでした)現在は配布されていません。
OS-X にも移植され、最新の "STRATA 3D CX" も製品名こそ違いますが、この "Strata Studio Pro" の改良製品となります。
STARA 3D の特徴は、なんといってもマニュアルがなくとも迷うことはないであろう洗練されたインターフェイスと、扱いやすく美しいレイトレーシングレンダリングにあると思います。
古くからMacintosh でマルチメディアコンテンツ制作やフリーランスデザイナーなど幅広い分野でグラフィックデザインツールとして利用されています。扱い易さから熱心なユーザーも多いのも愛着の沸く STRATA ならではの事と思います。
StrataVison の頃からシェイプという概念をもっており、初心者でも直感的に複雑なシーンを組み立てる事が出来ます。例えば、一つのシェイプとしてグループを構成すれば、シェイプ専用の編集画面が開き、修正すれば、複製された同一のシェイプ全て更新されます。
また、そのシェイプ自信の座標がローカル座標となるため、「ローカル?グローバル?」な、3Dに不慣れな初心者でも複雑なシーンを直感的に構築していく事ができます。アニメーション作成にも同様の事が言え、太陽を周る惑星、その周囲を自転しながら周る衛星などの複雑なアニメーションも、半日も眺めていれば理解し、制作する事が出来るぐらい分かり易いものです。
|
スプライン形式(ベジェ)とモデラーとポリゴン(サブディビ)、ポリゴンメッシュに対応しています。このスプライン形式のモデラでは、精密な工業製品のモデリングを行うにはかなりのテクニックが必要で、生産性は高くありません。
また、ポリゴンモデラは間を補完するサブディビジョンに対応していますが、重すぎてとても使う気になりません。ちょっとしたキャラクターモデリングでも苦痛に感じます。メタボールのように形状が繋がるメタフェースという機能が追加されていますが、単純なプリミティブと限られるため、限定した使い方しか出来ず応用が利きません。
キャラクターモデリング、キャラクターアニメーションには向かず、工業製品のプレゼンテーション用途にもかなり辛いものがあります。
扱いや易いキーフレーム編集インターフェイスを持っています。しかし、スキニングやウエイトコントロールなどキャラクターアニメーション制作に必要とされる機能は揃えておらず、グラフ編集などのインターフェイスは用意されていません。パーティクル機能もただ噴出すだけといった貧弱なものです。
労せずとも品質の高い結果が得られる、という訳ではなく、パラメータの扱いや設定が非常に素直なもので、理論的にパラメータを調整する力があれば、絵作りの行い易い、つまり使う人の力量が現れやすいレンダリングエンジンです。
この基本的なポテンシャルは、昔からあったもので、STRATAが RayDream や Infini-Dよりもデザイナーに好まれた理由だと思います。この素性は現在も健在です。
LightWave 3D の標準価格が12万円に引き下げられた現状では、正直なところコストパフォーマンス(価格性能比)が低すぎると言わざる得ません。6~7.5万円程度が妥当な価格だと思います。
歴史あるツールですが、追加される機能や、特にモデリングに関しては全く進歩してないないというのが正直な感想です。Strata Studio Pro から、新たに追加されたモデリング機能はどれも中途半端で、積極的に改善していこうという印象がありません。何に適しているかは、これといって思い当たるところがありません。
あえて言えば、扱い易さから愛着の沸くツールであるため、グラフィックデザインや3DCGアート作品などに向いています。デザイン・プレゼンテーションのための道具としては力不足である事は否めないと思います。
STRATAの特徴は、なんといっても洗練されたインターフェイスに尽きると思います。また、レンダリング品質は高く設定も初心者にはわかり易く、モデリングでは三次曲面の少ない建築分野では十分なモデリングだけは対応できますので、建築分野のプレゼンテーション用途としては、業務用途にも利用できるかと思います。
ただし、前述した通り価格が高すぎるため、これらの建築分野 用途であれば Shade Standad か、Shade Professional の方が機能、品質、価格、全てにおいて優れています。唯一STRATA 3D CX に武があるのは、習得のし易さ、挫折することはないだろうという点です。
STRATA 3D CX のモデリング機能、特に編集機能は他の統合型3Dグラフィックソフトに比べ難があります。
キャラクターモデリングであれば、Metasequoia (メタセコイア)又はMarbleCLAY (マーブルクレイ)、カチッとしたモデリングが要求されるのであれば、Shade 8 Basic などの低価格モデラーと組み合わせて使えば、弱点を補う事は可能です。
しかし、このことを前提に実売16万以上もする STRATA 3D CX を購入するのもおかしな話です。