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Shade(シェード) シリーズの "特徴" と "適した分野"

モデリング関連

Shade の歴史

Macintosh 出身、純国産のツールで 20年の歴史があります。 200万円近くした時期があり、1枚100万円以上するRISCボードを2~3枚拡張し、レンダリング速度を上げて使うパワーユーザーも身近にいました。(ソフト、ハードで800万円ちかくつぎ込んだことに、、)

スキャンラインが高速で美しく、当初からベジェ曲線をつかうスプライン形式のモデラーであり、工業デザイナーや建築、インテリアデザイナーがプレゼンテーションツールとして好んで使用しました。2001年に開発、販売元が経営破綻し、開発、販売、サポートはイーフロンティアが引き継いで現在に至ります。

Shade の特徴

ユーザー層

国内では、ホビーユーザーから工業デザイン、建築、インテリア関連のデザイナーに人気の高いエントリーユーザー向け統合型3Dグラフィックソフトです。

モデリング機能

高いレンダリング品質と工業製品などのキッチリしたモデリングに適したスプラインベースのモデリング機能を有しています。ハイエンド3Dグラフィックソフトが採用しているようなNURBSベースのモデラーに比べると生産性に難がありますが、価格相応といえます。

豊富な素材集

Shade専用の素材集が数多く販売されており、特に建築、インテリアなどのプレゼンテーションにおいては生産コストを削減する事が出来るのも魅力の一つです。

習得の難易度について(モデラー)

Shade のスプライン形式はベジエ曲線となります。Adobe Illustrator (イラストレーター)の操作に慣れた人は直感的に操作する事が出来ますが、ベジエ曲線に不慣れな方は戸惑うと思います。(グラフィックソフトで描くベジエ曲線でさえ初めての方は戸惑います。)

初めての方はモデリング習得に時間がかかると考えていいと思います。 Shade は基本的にスプラインベースのモデラーです。パッチポリゴン系のモデリング機能は後発で操作性は良くありません。

Shadeが得意とする分野

工業製品などの正確なモデリングが要求される場合や、建築パースなどライティングが重視されるイメージ制作な分野では、レンダリング品質が高くビジネスユーザーには最適なツールと言えます。

アニメーション機能について

アニメーション制作は昔から得意ではありません。特にサーフェイスの特性上、キャラクターアニメーションに適していません。従来の IK(インバースキネマティクス) システムはとてもと呼べるものでは有りませんでしたが、Shade 8 からようやく IKらしい事が出来るようになりました。

レンダリング品質について

昔から、質の高いスキャンライン方式とレイトレーシング方式のレンダリングエンジンを持っています。レイトレーシングレンダリングは、製品によって様々な拡張がされていますが、Shade にもパストレーシングと呼ぶ拡張が行われており、レイトレーシングでの影のボカシなど表現力に摩きがかかっています。このような機能は従来のハイエンドクラスの3Dグラフィックソフトでしか出来なかった機能です。

また、フォトンマップによる計算にも対応しており、コースティクスを使用した美しいガラスの表現も行えます。このサイトで紹介してるエントリークラスの3Dグラフィックソフトの中でもレンダリング機能、品質はトップクラスです。

Shade のラインナップ毎の勧めの分野、ユーザー

現在、Shade シリーズは機能制限により 3つのラインナップで構成されています。ラインナップを選ぶ上でのポイントは以下の通りです。

  • Shade Basic
      Shade シリーズのもっと低価格に設定されている入門向けの製品です。静止画でフォトリアルなイメージを制作するのに必要な機能は搭載されています。趣味で始められる方、Shade素材集の形状コンバート用に最適です。1600×1200pixelまでもレンダリングサイズが限定されるため、印刷を視野にいれる場合は注意が必要で、プラグインによる機能拡張は一切行えません。
  • Shade Standard
    • Shade Basic に対して大きな機能の違いは、プラグインに機能拡張に対応している点です。Shade Professional に標準で付属するレンダリング最適化に欠かせないカリスト2プラグインをオプションで拡張する事が出来ます。また、印刷解像度は4000×4000pixelまでで、B4サイズ300dpi 相当までなら印刷用途にも利用可能です。
    • インダストリアル系のプレゼンテーションとして、Shade Standard 、建築分野でのフォトリアルなイメージ制作、Shade Standard + カリスト2 の組み合わせが適しています。
  • Shade Professional
    • Shade シリーズの最高峰です。機能制限がなく、カリスト2プラグインが標準で付属します。レンダリングではラジオシティレンダリングに、高速なスキャンラインを組み合わせる事が出来るなどレンダリングに関するカスタマイズ性に優れます。付け加え、パーティクルやレンズフレア(GlowEffector標準装備)などアニメーション制作に関するエフェクト系の機能もあり映像制作を視野に入れた内容となっています。
    • また、このパッケージ一つで簡単にネットワークレンダリング環境を構築することが出来ます。LightWave 3D のようにフレーム単位のネットワークレンダリングではなく、1つの静止画像に対しても分散処理を行う事が出来ます。このため高解像度レンダリングが要求される印刷分野に適しているといえます。
    • 何れにしてもキャラクターアニメーション制作を前提にこの製品を選ぶのであれば、半額近くに価格の落ちた LightWave 3D をお勧めします。 両者は同価格帯にあります。

Shade生誕20周年キャンペーンについて
2005年5月の段階で、Shade 7.5 全シリーズにおいてキャンペーン中は特にProfessional については半額近い価格設定になっていましたが、 新バージョンのShade 8もその価格を引き継いでいます。 Shade 7.5 Professional155,400 円 だったのですが、価格改訂のアナウンスは今の所 Webサイトにはありません。この価格に戻るとしたら LightWave 3D より高くなってしまうため、統合型3Dグラフィックソフトとしては、お勧めできる製品ではなくなってしまいます。

他の3Dグラフィックソフトとの連携について

Shade は、昔からキャラクターアニメーション制作が苦手です。Shadeの他のソフトウェアとの連携を見てもそれらが伺えます。これは、スプラインベースのモデラーがメインの3Dソフトの宿命とも言えるのですが、Shade のサブディビジョンモデラー(サブディビジョン系ポリゴンモデラ)は、まだまだ発展途上にあります。

Animation Master(アニメーションマスター) との連携

Shade はかなり前から、スプライン形状を維持したアニメーションマスターの形状データ書き出しをサポートしています。アニメーションマスターも同じスプラインベースの属性を持つオブジェクトを扱いますが、スキニング(変形)に適したスプライン形式を採用しておりキャラクターアニメーションが得意です。その反面、工業製品などのキッチリしたモデリングは苦手で、同じスプラインベースの3Dソフトでも Shadeとは正反対の性格を持っています。

Shade で作成したスプライン形状データをアニメーションマスターで映像を作成する映像クリエイターも多くいます。低価格のShade Basic でもアニメーションマスターへの書き出しはサポートしていますので、Animation Master + Shade Basic で映像作品を視野に納れるのも一つの選択肢です。

POSER (ポザー) との連携

POSERのアニメーション設定されたフィギュアを直接取り込んでShadeで仕上げる事が可能です。POSER とは人体作成に特化した3Dソフトですが、あくまで用意されたフィギュアであって自由なキャラクターアニメーション作成を行うためのものではありません。

POSER自信にモデリング機能はなく(顔の微調整は可能)、Shade で人物を作成してPOSERで自由にフィギュア化出来るという訳でもなく、この組み合わせが何を意味するものかいまいち分かりません。

自分で作成したキャラクターのアニメーション制作を容易にするための組み合わせではないという事に注意して下さい。BVHでアニメーションと言うのは考えられますが、、)POSER 開発元はShade 開発元イーフロンティアに買収、子会社化されていますので今後どのように発展するのか興味の尽きないところではあります。

ポリゴンモデラ-の操作性を補う

Shade のサブディビジョン系ポリゴンモデラー(サブディビポリゴン)は操作性がよくありません。メタセコイアなど低下価格の優れたサブディビジョン系ポリゴンモデラ-もありますので、これらのソフトで骨子ポリゴンを作成し、Shade に取り込むという使い方も考えられます。

全く同じ結果になる訳ではありませんが、Shade に限らず大抵のサブディビジョン系ポリゴンモデラ-であれば、かなり近い形状で読み込む事が可能です。


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