CARRARA自体は、1999年発売の比較的新しい3Dグラフィックツールですが、Macintosh(マッキントッシュ) 出身の歴史ある Infini-DとRayDreamStudio (RayDreame) の後継ソフトになります。
Infini-D、Ray Dream Studio (RayDreame) は、Shade や Strata Vision(現 STRATA 3D) と同じく Macintosh で一時代を築いた統合型3Dグラフィックソフトです。
デザイナーに人気のあった Shade や Strata と違い、当時からホビーユース、個人ユーザーに人気があり現在のCARRARAも同じポジションにあります。この両者の開発元が合併しPainterでおなじみの Meta Creations 社の製品となります。
1999年末CARRARAに統合されましたが、直後、 Meta Creations 社は解散し、CARRARA の開発陣ごと Eovia 社に 引き継がれています。複雑な生い立ちのCARRARAですが、現在も頻繁にバージョンアップを繰り返し、目まぐるしい進化を続けています。国内の販売、サ ポートは e-フロンティア が行っています。
開発元では既にver5 となっており、CARRARA Pro と CARRARA Standard のラインナップに分かれています。
Infini-D / RayDreamStudio / BRYCE(景観作成3Dソフト)のいいとこどりをした統合型3Dグラフィックソフトです。開発コンセプトは誰にもで扱える統合型3Dグラフィックソフトとなっており、他の3Dグラフィックソフトには見られない特徴的なインターフェイスを持っています。(RayDreamStudioを色濃く継承)
誰にでもとは言いますが、逆に3DCG経験者であれば逆に馴染み難いインターフェイスともいえます。生産効率は高くありません。
ホビーユース向けの製品であり、ユーザー層もそのようになっています。業務用途にCARRARA を使用していると言う話はあまり聞きません。
標準で搭載されているモデリング機能は非常に貧弱です。CARRARA PRO 4 では低価格NURBSモデラー Amapi Designer 7 (英語版)がバンドルされ、Amapi の独自ファイルフォーマットの取込みをサポートしています。また、LightWave3D やTrueSpaceなどの独自ファイル取込みをサポートしている事から、モデリングは他で行う事が前提と考える方が無難です。特に CARRARA 4 STANDARD はそういえると思います。
また、他の統合型3Dグラフィックソフトには標準で搭載されない地形作成や樹木作成など特殊なモデリング機能を持っています。
派手なインターフェイスにも関わらず複雑なシーンでも軽快に動作します。 BRYCE、POSER と類似の独特で好みが分かれるであろうインターフェイスが印象的です。他の3DCGグラフィックツールと比較しても、かなり特殊な部類に入ります。
CARRARAの特徴の一つに他の統合型3Dグラフィックソフトには見られない様々なプリセットが用意されています。初心者を意識した内容と言え、買ったその日から3DCGの世界を体験できるようになっています。
これらのプリセットデータを元にどのように設定されているのか解析することで学習サンプルとなります。
クリックで拡大します。
CARRARA 最大の魅力は、ミドルクラス以上の統合型3Dグラフィックソフトにしか搭載されていないような機能を有する点です。
基本的なキーフレームアニメーションの操作性は、この価格帯の統合型3Dグラフィックソフトにしては良いほうで、デフォルトの加速、減速の値も適切です。キャラクターアニメーション制作に必要な IK(インバースキネマティクス)やスキニング(変形)、コンストレイント(拘束)などを備え、積極的な機能改善が図られています。
Shade 8 Standard と比較しても、キャラクターアニメーションにおいては、全てにおいてCARRARA が勝っています。
基本はレイトレーシング レンダリングで、計算速度は速い部類に入ります。また、ラジオシティ系レンダリングにも対応しており、フォトン、イメージベースドライティング(HDR)などフォトリアルなイメージレンダリングに必要とされる全ての機能を網羅しています。ラジオシティレンダリングは、どの3Dソフトもレンダリングコストがかかり、CARRARAも例外ではありません。
現在 CARRARA は、ホビーユーザー向けの STANDARD とアニメーション関連の機能を強化した PRO の二つのラインナップに分かれています。
CARRARA 4 はホビーユーザーに気軽に3Dソフトを楽しんでもらうためのソフトですが、競合ソフトと比較してキャラクターアニメーションに関する機能が充実しています。また、キーフレームアニメーションもこの価格帯では扱い易い方です。3Dアニメーション制作を視野に入れたホビーユーザーに適しており、インダストリアルデザインなどのプレゼンテーション用途には適しません。Shade とは180度性格が異なります。
前述したとおり、CARRARA シリーズ はモデリングがあまり得意ではありません。 また、PROに標準で搭載される Amapi Designer 7 も英語版であるため初心者にはどうかなと思います。
キャラクターモデリングであれば、Metasequoia (メタセコイア)又はMarbleCLAY (マーブルクレイ)、カチッとしたモデリングが要求されるのであれば、Shade 8 Basic などの低価格モデラーと組み合わせて使えば、弱点を補う事も出来ます。