LightWave 3Dは長い歴史を持つ統合型3DCGアプリケーションです。 DSP処理に長けた ドイツの Amiga で動作していたノンリニア編集システム VideoToaster に付属する3Dフライングロゴを作成するためのオマケソフトでした。
当時から美しいレンズフレア、レンダリング品質を持ち、アメリカのニュース番組のオープニングCGなど殆どこのアプリケーションで制作されていた時期があります。ハリウッド映画やスタートレックなどのVFX 制作の現場で実績のあるソフトです。
LightWave3Dの最大の魅力は ミドルクラスなみ エントリークラスなみの価格で、ハイエンドクラスの上位ラインナップ並みの機能を備えている点です。ハイエンド3Dグラフィックソフトに搭載される以下の機能を、 実売18万前後 の価格で提供しています。
従来の価格は 218,000円 で、これでもコストパフォーマンスの高い製品でしたが、128,000円(税別) まで大幅値下げとなっています。
操作性、生産性はハイエンド3Dソフトに比べ劣りますが、ハリウッドクラスのVFX映像制作を本気で考える個人ユーザーにとっては、とても魅力的な製品であることは間違いありません。頑張ればなんとかなるソフトです。また、HDRIや 64bitCPU最適化など、先進の技術をハイエンド3Dソフトよりも先に取り入れるなど積極的な開発が行われています。
LightWave 3D の大きな特徴の一つに、モデリングとマテリアル、テクスチャの設定を行うModeler (モデラー)と呼ばれるプログラムと、レンダリング、アニメーション制作を行う Layout (レイアウト) と呼ばれるプログラムの二つのアプリケーションで構成される点が挙げられます。
Layout |
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Modeler |
この二つに分かれた構成にはデメリットの方が多く、ユーザーからも 『統合すべきだ』 『分かれている方がよい』 と意見が二分しています。私は統合すべき派です。
例えば、設定したboneに対してのウエイト設定はモデラーで行いますが、実際に正しくスキニング(変形)するかどうかの確認はレイアウト側の作業になり、非常に面倒です。ver6以降、搭載された HUBで切り替えるにしても、他の一体型の製品と比較しても切り替えるための余計な手間がある分、生産性が悪いです。
また、アニメーション機能をモデリングに応用するといったテクニックを使うことも出来ません。
様々な分野に対応可能です。特に個人映像制作者に人気があります。また、このクラスでは唯一、ゲーム開発関連のSDKが提供されておりゲーム製作会社でも利用されています。同じミドルクラスの製品と紹介しているCINEMA4D と最も製品色の異なる部分でもあります。
サブディビジョン系ポリゴンモデラ-の最古参であり、頂点の編集機能、操作性はトップクラスです。最強のモデラーと呼ばれた理由はここにあります。またショートカットも絶妙で、メニューのカスタマイズ性もよく、生産効率をあげるためのスクリプトやプラグインの多くがユーザーにより無償で配布されています。改良に改良を重ねポリゴンモデラ-としては完成の域に達しており、これほど手に馴染むモデラーは珍しいと思います。
アニメーション制作は Layout での作業となりますが、操作性の良い Modeler とは対照的にシーンの編集においては操作性が高くありません。
ver7 からスプレッドシートが採用され、形状、ライト、マテリアルなど様々なパラメーターを一括編集できるようになり生産性が向上しています。また、モーションの微調整に欠かせないグラフエディタ、モーションの接続を容易にするトラックスエディタまで搭載しており、ハイエンドクラスの3Dグラフィックソフト並みの機能を備えています。
高速で美しいレイトレーシングエンジンを持っています。3Dグラフィックソフトによっては、光源が増えると極端に計算速度が落ちる製品もありますが、LightWave 3D の場合、ライト数が増えてもレンダリング速度に与える影響が少ないという特徴があります。そのため、ライティングに自信のある人にとっては、絵作りの行い易いレンダラと言えます。
参照 => レイトレース法で環境光を模倣する(Lightwave3D)
習得にはそれなりの時間を要すため、3DCG をこれから趣味で始められるような方にはおすすめできません。挫折する可能性の高い3Dグラフィックソフトです。
参照 => 自分に適した 3D グラフィックソフトとは ~ 3DCG製品選びのポイント