キーフレームアニメーション制作において、どのようなモーション定義の作業があるのか、まとめて見ました。これらの機能はエントリークラスの製品ではサポートされない事が多いので、このサイトで対象としている初心者の方には、あまり必要のない情報かも知れません。参考までに。
これらの機能は動物や人間など関節を持つアニメーションを作成するために提供される階層構造をもつ機能です。キャラクターなど関節(階層構造)を持つアニメーション制作には、FK (フォワードキネマティクス)と IK (インバースキネマティクス)の概念があります。
一般的には 部分的にIKとFKを組み合わせて使用します。(例えば腕と胴体別々に組まれたIKを、胴体を親、腕を子にするなど) 製品によっては必要に応じて IK / FK を切り替えることの出来るものあります。
ボーンとは、その名のとおり骨です。 3Dグラフィックソフトによっては呼称は異なり、スケルトンと呼ぶ製品もあります。このボーンは、前述した階層構造を常にもっています。
このbone の役割は、大きく二つあります。
上記の画像では、それぞれのパーツが分かれているので変形を行うスキニングは必要がありません。
bone(スケルトン)の操作性に定評があるのは、SOFTIMAGE | XSI / Maya / 3DS MAX です。特に SOFTIMAGE | XSI は先代のSoftimage から扱い易かったです。3DS MAXは、キャラクターアニメーションに強い Character Studio (現在は標準装備)に人気があり、この機能を使いたさにMAXを選択するユーザーもいるほどです。(Maya を販売するAlias 社が、3DS MAX 開発しているAutoDesk社を買収しました)
簡単に言えばモーフィング機能です。異なる形状(同じ頂点数) の間を補完する形でモーションを作成します。主にリップシンクなどフェイシャル・モーション制作に利用されます。それぞれの表情パターンをモデリングする必要があるため制作には時間を要します。
キーフレームを必要としないスクリプティングによるモーション制御を行う機能です。関数式を利用することでキーフレーム入力では表現の難しいモーションや、規則性のあるモーション制作に利用されます。
例えば、クルマが走るアニメーションを制作する場合、車体が移動して増分するパラメーターをタイヤの回転軸に流し込むことでタイヤはクルマの移動に応じて自動的に回転します。
パーティクル・エミッターと連動すれば、機関銃の振動モーションに応じて火花を発生させるなどモーション制作、間接を曲げれば筋肉が膨らむモーション等、生産性・表現の幅を改善する事が可能になります。応用範囲が広く上級者向けともいえますが、簡単な二次関数式だけでも生産性を大幅に改善する事が出来ます。
この分野は Autodesk Maya が柔軟性の高い優れたインターフェイスを提供している
手作業では不可能な自然現象などの映像、特殊効果を制作するための機能です。パーティクルとは粒子の事です。この粒子の発生源をエミッターといい、このエミッターから粒子が放出されます。
粒子の生存期間、重力の影響、風の影響など様々なパラメーターを調整し、試行錯誤の連続となります。粒子の衝突を受ける側のオブジェクトの定義などを行います。動き自体はパラメータに基づき自動で計算されますが、制作は大変です。
この粒子に対してオブジェクトやエフェクト、マテリアルを適用する事で最終的なイメージを作成します。群集アニメーションなどに応用する事もあります。
コンストレインとは拘束という意味です。例えば、あるオブジェクトAを、別のオブジェクトBのローカル座標に拘束することで、オブジェクトAの動作を制限する事が可能になります。高速可能なパラメーター、柔軟性には3DCGソフトによって差があり、低価格の製品では単に座標を拘束するだけのソフトウェアも存在します。
使用例としては、ピストルを腰のベルトに固定した場合、座標軸を腰にコンストレインすることで、キャラクターが走ると揺れるアニメーションなどが作成できます。自動的に揺れるようにするには、ダイナミクス(物理計算)などの併用するなどモーション制作においては応用範囲の広い機能です。
二つの異なるキーフレームアニメーションを合成する機能です。例えば、人が歩くループアニメーションを作成し、もう一つは走るループアニメーションを作成します。この異なるアニメーションをブレンドする事ができます。
例えば、歩くモーション、走るモーションをそれぞれ作成し、DTVノンリニア編集感覚で二つのモーションを任意のタイミングで接続する事が出来ます。
具体的には一連のキーフレームモーションを一つのグループとして扱い、ABロール感覚でモーションを接続(編集)します。主に本格的な3DCG映像制作をターゲットとしているハイエンド、ミドルクラスの3DCGソフトウェアに搭載される比較的新しいキーフレーム編集機能です。
ボーリングのピンをボールがなぎ倒すアニメーションでは、それぞれの物理特性をパラメーターとして定義します。衝突する側をリジッドボディー、衝突される側をソフトボディーといいます。
また、ソフトボディは、衝突の再の変形や布の表現などの柔らかい形状のために利用されます。また、同じ速度で衝突するにしても、ボールの重さによっても変わります。通常、リジッドボディー(衝突する)側はキーフレームアニメーションは可能で、ソフトボディー(衝突される側)は物理計算により求められます。
どのようなモーションになるかは計算結果次第であり、場合によってはトライ・アンド・エラーの繰り返し作業となります。また、キーフレームに変換(焼き付け)後、手動で調整することもあります。
モーション制作のために提供される代表的な機能をみてきましたが、ソフトウェアによって操作性、機能面で大きな差があります。また安価な3DCGソフトウェアには提供されない機能も多くあります。
モーション制作に関する機能は多く、習得には時間を要します。モーション制作は3DCG製作工程の中でも、閃きやアイデアなど発想の柔軟性が求められる工程とも言えます。このためには 3DCG ソフトが提供する機能を熟知している必要もあります。
生み出す映像に対する情熱は習得する上で糧となります。実戦形式での学習が正攻法でしょう。そういう意味では3DCGアニメーターを育てるよりも、セルアニメーターが3DCGソフトを習得するほうが早く、逆にセルアニメーターから学ぶ事も多いです。