続きです。ゲームマウスにカテゴライズされるマウスの多くは、何かしらの拡張ボタンを備えています。
中には拡張ボタンを持たないゲーミングにカテゴライズされているマウスもありますが、それらにはポインタの速度を切り替えるための解像度切替えボタンが搭載されています。(この解像度切替えスイッチについては後述します)
補足:正確には、ハードウェアレベルでマウスの解像度を切り替えることにより、ポイントの速度を変化させるためのスイッチ、といったほうが適切かも知れません。このボタンはどのメーカーにおいても、ホイールの手前に配置されることが一般的で、製品のスペック表記にあるマウスボタンの数としてはカウントされていません。ハードウェアレベルで制御するため、ドライバが無くても切り替える事が可能なことも多いようです。また、人差し指、もしくは中指の第2関節付近でクリック出来る位置が実用的であり、ソフトウェアによってこのボタンにキーバインドが出来るマウスがお奨めです。
3DCG制作におけるマウスを物色する上で、マウスの拡張ボタンについて考察する前に、拡張ボタンとは、具体的にどのようなボタンを指すのか、先に知っておく必要があります。
ロジクールやエレコムなどのメーカーが3つボタンとして呼んでいるマウスは、以下の3つのボタンをボタンの数としてカウントしています。この3つのボタンは、特別なドライバが無くても OS が認識するボタンです。
3ボタンに定義されている以外のチルトや、ホイールの手前側にある解像度切り替えスイッチは、メーカーが提供するドライバで機能が割り当て可能であってもボタンの数とカウントしないようです。また、ホイールチルトの左右も2つのボタンとしてカウントしていません。
この様なマウスは、レガシーデバイスのPS/2時代にマウス標準ボタンとして機能してた、左、中、右、のボタンが標準で割り当てられているものを3つボタンマウスと呼んでいるようです。
これは特別なドライバをインストールしなくても、差し込むだけで直ぐに使えるマウスであることも同時に意味しています。
上記、3ボタンマウスに加え、独自の拡張ボタンの数をボタンの数としてカウントしています。これらの拡張ボタンを利用するには、メーカーが提供するドライバ、アプリケーションが必須になります。
そのOS用のドライバが、マウスを販売しているメーカーから提供されなければ、それらのボタンは機能しません。
つまり、いくら多くの拡張ボタンを備えていたとしても、それらは押しても何も反応しない、左、右、中央(ホイール)クリックのみが機能する 3つボタンマウスとして使用する事になります。
拡張ボタンと同様にキーバインドが出来ても、この解像度切替えボタン、というかスイッチは、拡張ボタンの数とはカウントしないようです。
ゲーミングにカテゴライズされるマウスの多くは、解像度を切り替えるスイッチが搭載されています。
場所的にはホイールの手前側、マウスを山に例えれば中腹部に配置されているボタンです。
これは、マウスのポインタの速度をハードウェアレベルで切り替えるスイッチです。マウスの性能を表す指標の一つに分解能があります。
解像度が高いほどマウスのポインタを描画するための絵数が増えるため、ポインタは非常に滑らかに動きます。
この分解能をマウス(ハード)側で荒くしたり、細かくしたりすることで、ポインタが動作する速度をOSのマウス設定で行うポインタの速度切替えとは別に、ハードウェアレベルでポインタの速度を変化させているわけです。
おそらく大半のマウスは解像度切り替えにドライバは不要と思われる
ちなみにマウスの解像度、つまり分解能ですが、これが高い程、ポインタの動きは遅くなります。逆に数値が低く解像度が荒くなるほど、ポインタが移動するカウント数が間引かれるため、動きが速くなります。
これも激しい動きに瞬時に対応するFPSゲームのために、ゲーミングマウスに搭載される機能と思われますが、3DCG制作者にとっても、使いようによっては大きなメリットがあります。
ハードウェアレベルで分解能を上げておき、ポインタの速度をゆっくりにします。で、マウス設定でポインタの速度を適度な早さになるまで上げることで、ポインタの速度が解像度が高いまま速くなります。
つまり、非常にポインタの動きが滑らかになるわけです。ポインタの動きが滑らかだと、特に頂点をちまちま編集する3Dモデリングの長時間作業においては疲れ方が全然違います。
逆を言えば、解像度切替えスイッチで解像度を荒くしてポインタの速度を速くして、コントロールパネルやマウスユーティリティでポインタの速度を遅くすることでちょうど良い速度に調整すると、ポインタの滑らかさが損なわれることになります。
3DCG制作者に限らず、マウスを使った作業においては、OSのマウス設定で行うポインタの加速機能を使えば十分ですので、マウス側で解像度を切り替える機能は必要無くなります。
このためマウス側の分解能は(高いままで)固定したまま使う事になるので、この解像度切り替えスイッチは不要になります。
当然、遊ばせておくには勿体ないので、メーカーが提供するソフトウェアで、この解像度切替えスイッチに対して、別のショートカットやマクロなりを割り当てて拡張ボタンとして活用します。
例えば、このMX518では、解像度を切り替えるために3つのボタンが配置されていますが、これらは全て不要なので、私は長年、ドキュメントフリップなどのアプリケーションの切り替えや、その他の拡張ボタンとして利用しています。
今も現役で使用している G3マウスですが、こちらにも解像度切替えスイッチがあります。この手のマウスはハードウェア的に分解能が高い高性能マウスであることも同時に表しています。
G3 マウスの場合は、右、左、中央(ホイールクリック)、左右の拡張ボタン、ということで、5つボタンマウス、と呼ばれており、この解像度を切り替える中腹部にあるボタンは、拡張ボタンの数としてはカウントしないようです。
拡張ではなく、ハードウェアレベルでマウスの分解能を切り替えるスイッチであるため、拡張ボタンとしてはカウントしないのではないかと思われます。
G3マウスの場合は、右、左、中央(ホイールクリック)の標準の3つボタンに加え、左右二つの拡張ボタンと、使わなくなった解像度切替えスイッチで、合計3つの自由に割り当てが可能なボタンがある事になります。
残念な事に、G3マウスと同じ筐体デザインの G100s は、サイドのボタンが廃止され、3つボタンマウス+解像度切替えスイッチ が搭載されただけのマウスになってしまいました。
また、マウス難民になってしまい、この記事を書いている次第です… orz
補足:この解像度切替えスイッチは、人差し指や中指の第2関節辺りで指を曲げない状態で押せる位置に配置されたものが使い易いです。
拡張ボタンは多いに越したことはないと思われがちですが、大抵、その様なマウスは、デザイン的にボタン配置に無理が生じやすく、人間工学の観点から不利であることは想像に難くありません。
寧ろ、拡張ボタンは少ない方が、適度な位置にレイアウトされている可能性が高いとも考えられます。
マクロなど多くのボタンに割り当てたい場合は、キーパッドなどを使えばよい訳で、3Dモデリングの際に、頻繁に使用する本当に必要なショートカットのみを割り当てられるだけで、それはもう生産性は飛躍的に向上します。
本稿で度々、口にする ロジクール G3マウスですが、両サイドの拡張ボタンの位置が秀逸で、拡張ボタンの数は少なくても、本当に押しやすい位置に、自由に割り当てられるキーがあることで、ものすごく救われます。
引き続き、マウスの拡張ボタンに割り当て可能な機能について考察します。