二次元のスプラインカーブには、カーディナル曲線、B-スプライン、NURBS、ベジエ曲線など様々な種類があります。このカーブは算式で表現されるため、少ない頂点で滑らかなカーブを描く事が出来ます。これをサーフェイス(面)に応用したのが、スプラインベースのモデラーという事になります。
製品毎の特徴はどのようなスプラインをサポートしているかで決まります。以下の様に 3D グラフィックソフトのクラス別で、どのタイプをサポートするのかはっきり分かれます。
ベジエ曲線を使用するグラフィックスソフトウェアでは、Adobeのイラストレーターが有名ですが、3DCGソフトウェアでは、Shade が代表選手で、STRATA3D も最初からベジエ曲線によるモデラーを持つ製品です。Macintosh 出身の 3D グラフィックソフトが採用しているケースが多く、現在もそうです。つまり、エントリークラスの多くはベジエ曲線によるスプラインモデラーを採用しています。
ポイントから伸びるコントロールハンドルを操作してカーブ、曲面を描きます。私の指導経験では、初心者が2次元のベジエ曲線を描くだけでも戸惑う人が多くいました。というかほとんどの学生がそうでした。曲線が描けないのに自由に曲面が描ける訳がありません。これらの理由から、グラフィックソフトウェアでベジエ曲線を触ったことのない方には、Shade などのベジエ曲線で面を作成するモデラーは取っ付き難いようです。
逆に、イラストレーターなどの2Dグラフィックスソフトウェアで自由にベジエ曲線が扱える人は取っ付きやすいと言えます。
正確さの要求されるモデリングに適しますが、後述するNURBSカーブとは異なり、ベジエカーブは、工業製品などのモデリングで要求されるトリム、フィレットとの相性がよくありません。
そのため、デザイン検討用には不向きで、高品質なモデリングを行うには、職人技ともいえる高いモデリング技術が要求されます。複雑な工業製品のモデリングにおいては生産性は高くありません。
Animation Master がカーディナル曲線を使用したスプラインモデラーを採用していたと思います。随分昔の記憶なので曖昧ですが、サイトのインターフェイスをみるかぎり其れっぽいです。(曖昧ですみません)Softimage などの製品もカーブのみ対応していました。
ベジエ曲線にくらべ、初心者には取っ付き易いスプラインカーブですが、正確なカーブを描くのに適しません。Animation Master は、スプラインベースのモデラーですが作成の難しい有機形状モデリング(キャラクターetc)が容易に行える特長を持ちます。スプラインベースのモデラーでスケルトンなどの処理を容易にした最初の 3D グラフィックソフトと認識しています。
NURBSカーブ、NURBSサーフェイス(面)の特徴は、工業製品やCAD分野で要求されるカーブの正確さに優れ、扱いやすい特徴があります。特に、NURBSカーブはフィレットやトリム(穴あけ)に都合がよく、多くのCAD、ハイエンド 3D グラフィックソフトに採用されています。(高価な製品が多い)
精度の高い工業製品(インダストリアル)向けのモデリングや、穴あけの変更のし易さなどから、工業製品のデザイン検討用のモデラーとして優れています。上の図では、カーブに対してトリム(穴あけ)を実行し、面取りを行っています。位置の変更も可能です。ポリゴンではこうはいきません。
Animation Master を除くスプラインベースのモデラーは、一般的に動物や、人間の体など一つのオブジェクトであるモデリングを行うには適しません。
高度なNURBSモデラーを搭載する3DCGソフトウェアの中には、これらの弱点を克服するために様々な機能※もつ製品もあります。ですが、結局のところサブディビジョン系ポリゴンモデラーをサポートするようになりました。
逆にAnimation Master を除くスプラインベースのモデラーは、工業製品などある程度正確さの求められるモデリングに製作に適しているメリットがあります。
※ 4つの異なるNURBSサーフェイスをStitch機能により接続した例(Maya)です。このような機能は高価なツールにしか含まれません。ただ、これらの機能を用いてもキャラクターモデリングなどの複雑な有機モデリングには向きません。変形アニメーションに負荷が高いばかりか、エラーも発生し易くなります。
現在のハイエンド 3D グラフィックソフト(Maya/XSI)にはサブディビジョン系ポリゴンモデラーが搭載されており、これらの機能を用いてキャラクターなどの有機モデリングを行うのは現在ではメリットがありません。
製品により、どのタイプのスプライン属性をサポートするかは異なるため、具体的なテクニックは異なりますが、はじめての方が学習、習得、使いこなす上で共通のポイントがあります。
もし、スプラインベースのモデラーを早く習得したい、使いこなしたいのであれば、カーディナルなら、カーディナル、B-スプラインならB-スプライン、NURBSならNURBS、ベジエならベジエと、それぞれカーブがどのような式で求められて描かれているのか、これを理解するのが早道です。
線より面、サーフェイスを作成したい、闇雲に手を動かしたい、このような気持ちはわかりますが、2次元のカーブの特徴を理解していればどのような手順を得れば目的の形状が得られるかがモデリングを行いながらリアルタイムに予想できるようになります。
だれも教えてくれませんが、このモデリングに関するプロと初心者の違いは、ずばり、どのようにその曲線が求められているのか理解しているか理解していないかの差です。つまり論理的に考える必要があるということです。それぞれのカーブの特徴をここで説明するととんでもない事になるので、各自調べてみて下さい。
「そんなことあたりまえでしょう。」
と思ったあなたは、相当の腕前を持っている方でしょう。このサイトで得られる知識はないと思います。