ここでは、ポリゴン モデラーによるモデリング、オブジェクトの変形が焦点に顔のモデリングを題材にモチーフのタイプ別 3D モデリングの特徴についてまとめています。
このサイトで有機物系 3Dモデリングとしているのは、人の顔・体、動物をモチーフとした3D モデリングを指しています。これらのモデリングに共通する特徴をまとめると以下のようになります。
パース ビューで自在に頂点編集を行える力(数をこなす)が必要な事は勿論のこと、最終的に使う人のデッサン力がものを言います。モデリングの自由度が高いモチーフほどそうなります。例えデフォルメされたキャラであってもデッサン力の差は顕著に作品に表れます。
この手の 3D モデリングに関連するお勧めの書籍・参考資料、及びフィギュアなどの模型資料はページ右メニューのリンク先で紹介しています。
このサイトで無機物系 は、自動車に代表されるプロダクト(工業製品)、建築物などのモチーフを指しています。これらのモデリングに共通する特徴をまとめると以下のようになります。
既存のデザインを3Dに起こす場合、モデリング時にデッサン力は然程求められませんが、資料 (図面や模型) と観察力が必要な事、3Dモデリング前に綿密な計画を立てる必要もあります。動物と異なり、オブジェクトそのものが変形する要素は含まれないのもポイントです。(逆にギミックを考える必要がある)
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このように比較してみると有機物系と無機物系とでは、3Dモデリングのポイントは全くの正反対である事に気が付くと思います。で、ようやく本題に入れる訳ですが。
モーション制作を必要としない静止画作品であっても、顔の表情やポージングなどオブジェクトを変形させる必要が出てきます。人の体の場合、一般的に作業が行い易い大の字のポーズでモデリングを行い、後に ボーン(骨) によるスキニング(変形)によりポージングを行います。
その変形の際、ポリゴンメッシュ(エッジ)の流れを無視してモデリングを行った場合、意図した通りに変形する事が出来なくなります。つまり、ポリゴンメッシュの流れを常に意識してモデリングを行う必要が出てきます。
上の図は変形を想定してメッシュの流れを考えています。ポイントは目元、口元、あごと首の流れです。目元と口元は弧を描くような配置になります。
人の顔にしても、体にしても筋肉の流れに沿ってモデリングを行う必要があります。オブジェクト変形の際、どのようなシワが発生するのかはモデラーで変形処理をかけてみることで大まかなあたりは分かります。
上記例では確認のため、口元のみを変形していますが、最終的には口の周りの筋肉の動作により周囲に与える影響を想定する必要があります。(口元だけが動くことはありえない。つられて目元や頬、顎の筋肉も動く)
また、モデリング段階では、左右対象に行いますが、最終的には左右非対称にしなければ、どこか不自然なイメージになってしまいます。
実際に正面から撮影された人の顔の写真を Photoshop などで左右対称にしてみると、その不自然さを実感する事が出来ます。CG においても同じです。
衣装 に関しても同じです。バカ正直に裸体に衣服を着せるのではなく、人の体は目に見える個所だけモデリングを行えば十分です。また、衣装のデザインによっては必ずしも単一のオブジェクトで扱う必要はないという事も知っておいてください。
ボディーラインが強調されるような衣装の場合、裸体オブジェクト、またはその制作工程のオブジェクトを複製して流用して作成します。
ここではポリゴンモデラを前提にお話していますが、衣装のデザインによってはNURBSサーフェイスなどのスプラインベースのモデラーが適している場合があります。理由は特性上、形状全体のコントロールに優れているからです。差し当たり、着物などの衣装が該当するでしょうか。
MAYA や XSI などの複数の 3Dモデリング機能を提供するソフトウェアでは、用途に応じて使い分ける事をおすすめします。最終的にポリゴンへ持っていくケースが多いのですが、このようなケースでは NURBS で作成した形状データを上手くポリゴンへ変換する必要も出てきます。MAYA に関してはこちらでテクニックを紹介しています。