特に有機物系 3Dモデリング時において注意しなければならないのが、パースペクティブ ビューの画角の問題です。 このページでは 3DCG 初心者が陥り易い画角とモデリングの関係についてお話します。
統合型の 3Dソフトウェアでは カメラビューから見たパースの強さは、実際のカメラレンズの値で指定するのが一般的です。ところが 3Dモデリング専門である 3Dモデラや Lightwave 3D のように 3Dモデラーが独立したアプリケーションにはカメラの概念を持たないソフトウェアもあります。
これは、シーンとレンダリングの関係は 3D空間上に設置されたカメラによって成り立つ訳で、独立している 3D モデラーの場合、『カメラ関連の機能はモデリング時には不要』 と考えられているからではないかと思われます。
また、統合型 3Dソフトウェアの場合も、3D空間上にカメラを設置しなくても パースペクティブ ビューが備わっています。この場合も パースペクティブ ビューの画角を意識する必要があります。(理由は後述)
3D モデリングにおいて最も画角の関係に注意を払わなければならないのが、生物などの 『 有機的な形状を持つモチーフ 』 であり、中でも日常最もよく目にする人の顔になります。
証明写真が変な顔に見えるというのも、この画角の問題が関係しています。照明写真を撮影するとき、カメラと被写体の距離が近いため、やや広角がかってしまいます。これが、日常見慣れない自分の顔 = 変な顔 という主な理由です。 玄関にのぞき窓があるなら、前に人を立たせて覗いてみて下さい。
人の顔を 3Dモデリングする場合、建築物や工業製品のように 三面図 (正面・上面・側面) メインにモデリングを行う方は少数派だと思います。おそらくは、パースペクティブ ビューをメインに頂点編集を行い、三面表示は確認・調整作業ではないかと思います。
ここまで読まれた方は察しがつくと思いますが、モデリング作業に入る前にパースペクティブ ビューの画角を実際の人の目に近い画角に調整しておくのが理想です。私の知る範囲ではどの3Dソフトもデフォルトはやや広角気味です。
統合型 3Dソフトの場合、パースペクティブビューは カメラ が兼ねるため、画角調整はカメラ側で行うソフトが一般的です。
もし、画角(パース)の強いパースペクティブ ビューで人の目の感覚に近い 50mm レンズ(焦点距離) 相当でモデリングを行ったらどうなるでしょうか?最終的に カメラで画角を決定する際、ギャップとの違いに泣かされる結果を招きます。(作り直し)
一般的に人の目に近いレンズは、一般的な 35mmフィルム・カメラに置き換えると 50mm (レンズ焦点距離)相当と言われています。ポートレート(写真集)では、50mm ~ 80mm 相当、全身を撮影する場合は 100mm ぐらいでしょうか。
3Dソフトウェアの多くは、実際のレンズに相当する設定が可能になっていますが、3Dソフトによっても用意されているレンズの基準値が一致すると言う訳でもありません。
参照 => 3DCG におけるカメラ (Camera) の概要
特に人や動物をモデリングする場合、パースペクティブ・ビューの画角を合わせてモデリング作業を行う必要があります。
Lightwave 3D の場合、モデリングを行うソフトは独立しています。また、モデラー側のパースペクティブ・ビューは、レイアウト側のようにカメラに基く画角調整が行えません。(スライドバーによる目視確認のみ)
特に、専用の3Dモデラーを使用する場合は注意が必要です。
もし、パースペクティブ・ビューの画角を無視してモデリング作業を進めたらどうなるでしょうか?最終的にカメラから覗くとギャップに泣かされる結果を招きます。
このように、モチーフによってはパースペクティブ ビューの画角は非常に重要になる訳ですが、独立した3Dモデラの多くはこのような配慮のないソフトが殆どです。学校では適切な指導がされると思いますが、問題提起されることも少く、趣味で 3DCG 取り組まれる初心者の陥り易いワナではないかと思います。
3D で美少女をつろうと考えておられる方も多いと思いますので、この点に注意されると後々後悔することはなくなると思います。