マウスを持ちながらの作業となる事が多いグラフィックス分野の作業では、キーボードの大きさによってマウスやペンタブレット等、作業スーペースが問題になる事があります。
またキーボード・ショートカットが重視される事の多い 3DCGソフトウェアに関しては、キーレイアウトによって作業効率、生産性、疲労度に影響を及ぼす可能性もあります。
ここまではスイッチ方式やデザインによるキーボードの種類についてみてきましたが、ここではキーレイアウトによりどのような違いがあるのか、現在、主流と思われる幾つかのタイプを例に考察します。
マウス派で右手でマウスを操作する方を対象としています。
キーボードを配置する位置は作業目的によって二通りの位置があると考えています。一つは正しい姿勢でタイピング出来る位置、もう一つはマウスを持ちながら片手でキーボード・ショットカットを操作する場合の位置です。
下図、波線は体の位置(中央)を示しています。
正しい姿勢でタイピング出来る位置とは、ホームポジションを維持出来る位置という事になります。
具体的にはテキスト入力時のキーボードの位置は体の中央にBキーがくるように配置する必要があります。(例外も)
前のページで触れましたが PCキーボードはFキーとJキーに突起があり、左右の人差し指をこのキーに置いた位置がホームポジションになります。
キーボード右側にカーソルキーやテンキーが配置される事が多いため、ホームポジションを維持出来る位置にキーボードを配置した場合、右手でマウスを操作する場合はマウスとの距離が離れてしまいます。
これを嫌い右利きでも左手でマウスを操作する方もいますが、絵を描くなどの動作は難しく、本稿の用途では現実的ではありません。
常にマウスを持ちながらの作業となる事が多いグラフィックス分野の作業では左手のみでキーボードを操作する事になります。
そのため必ずしもBキーが体の中央に来る必要はありません。
主にキーボード・ショートカットを左手で、テンキーなどは右手で操作、左手はCtrl付近に位置する事が殆どです。
特に 3DCG 関連のソフトウェアはキーボード・ショートカットを多用し、中でもテンキーには重要なショートカットが割り当てられている事が多く、横幅の広い 108/109日本語キーボードを使用する事が多いと思います。
この用途ではキータッチよりもキーレイアウトの方が作業効率に与える影響は大きいと考えています。
その他 個人的に気になっているキーボードはページ右側のガジェットのコメントで説明しています。
常に小指がキーボード左下の位置に来る姿勢では、マウスと持つ右手と左手の幅が肩幅と同じぐらいが左手への負担が少なく理想的な姿勢になります。
PCキーボードはキー(文字)配列が規格化されていますが、メーカー、製品によってキーピッチやキーレイアウトが異なり一様ではありません。同じ英語・日本語キーボードで同じキー数のキーボードでも独自配列・レイアウトのキーボードも存在します。
グラフィック系作業を主体とした場合、現在、流通している代表的なキーレイアウトを例に、それぞれのキーボードを使った時の作業効率について考察します。
左からテキスト、カーソル類、テンキーの3エリア構成(以降全てファンクション エリア除く)でレイアウトされたタイプのキーボードの場合です。現在、国内で最も普及していると思われる日本語109キーボードはこのレイアウトになります。
テキスト、カーソル類を一つにまとめた2エリア構成レイアウトのコンパクトタイプの日本語106 / 108キーボードも存在します。
3DCG制作においてはマウスを常に持った状態、キーボード・ショートカットは左手で操作する事になるため、肩幅と同じかやや広げた状態になります。(上図-赤)
ホームポジションから左にずらした位置に置く事でマウスとの距離、左手の位置も適度な位置に来ます。
また、横幅があるためホームポジションにあわせてキーボードを配置した場合、右手で持つマウスとの距離が開いてしまいます。(下図-青)
私の場合、左手はカーソルエリアまでが守備範囲で、テンキーはマウスを持つ右手で操作します。キーボードの位置は、左Ctrlキーに添えた左手とマウスを持った右手の中央に体の中心が来るようにキーボードを配置する事になります。
モーション制作等、スクリプトを記述する場合などテキスト入力が求められる場合は、ホームポジションに合わせるため、いちいちキーボードを右側にずらすか体を移動する必要が出てくるため、作業内容によっては扱い難い側面もあります。
キーボードを移動させるのが面倒な場合は遠いマウスを操作する事になります。
エルゴノミクス キーボードの場合、更に横幅が広くなります。また可変式でないタイプはアームレスト含めたデザインが多いため奥行きにも場所を取ります。そのため、ペンタブレットとの併用は難しくグラフィックス系の作業用途には適しません。
マウスを握りながらの作業においても、慣れれば左手だけでも直線キーボードと同じように扱えますが、左手の守備範囲が広くなる上、中央が山となるため途惑いますし、身体疲労に直結する可能性もあります。
私の場合、一日中、テキスト入力を行なう事もあり、無理な姿勢を強いる直線配列の一般的なキーボードでは肩こりになるため、長年、エルゴノミクスと直線配列のキーボード2台を作業内容に応じて使い分けています。
上記 109キーボードなどのキーボードから 10キーを省略した10キーレスのキーボードの場合です。10キーがない分、横幅は省スペースになりますが、3DCG 関連のアプリケーションは10キーに重要なショートカットが割り当てられている事が多いという理由もあって10キーは別途追加する必要があります。
私の場合、右手でマウスを持ちながら親指でEnterキーを押したいため、マウスの左側にテンキーを置く必要があります。
何よりもテンキーの守備範囲はマウスを持つ右手なので右手の移動距離は短い方が作業効率が高くなります。
この場合、上記、109キーボードよりもかえって幅をとってしまう、文字入力の度にキーボードを右に移動させる必要があった場合、テンキーも一緒に移動しなければならず、かえって面倒な事になる事が予測されるため、試した事はありません。
横幅が短いのでマウスよりもペンタブレットを基本の入力デバイスとして使う方は横にキーボードを配置するスタイルを好む方も多くグラフィック系の用途で 10キーレス・キーボードを好んで使う方もいます。
ちなみに私はマウス派でペンタブレットはペイント作業、絵を描く以外の用途では使用しません。そのため体の中央にペンタブレットがないと作業し難いためキーボードの手前に必要に応じて配置しています。この場合、キーボードの奥行きが短い程、キーボード・ショートカットが扱い易くなるので、キーボードの奥行きもキーボードを選ぶ重要なポイントになっています。
眺めていてふと思ったのですが、テンキーを左側に配置するとマウスは離れませんのでありかと思います。
ショートカットメインでテンキーを操作する場合、左手で操作する方がマウスから手が離れないで 3DCG 制作に適しているかもしれません。
ショートカット操作時に左手が内側へ大きく移動する事がないため疲労が少なくなる可能性もあります。いいかも・・・
実際にテンキーが左側に配置されているキーボードもあるようです。知らなかった・・。10キーを左側にという発想自体ありませんでした。お恥ずかしい。という事で追記。
109Jなどのキーボードに比べ、カーソルエリア (Insert や Delete、Home / End / PageUp / PageDown キー等)が省略された2エリア構成でレイアウトされたキーボードの場合です。
特徴としてFnやShift+10キーを組み合わせ一つのキーを共用する事でキー数を減らしている点が挙げられます。
メーカーや製品によってキー配列に違いがありますが、3DCG制作においてはテンキーは必須ですのでテンキー込みの最もコンパクトなキーボードになります。
カーソルキーがはみ出ていますが、このタイプは後述するレイアウトと違ってZキーのある行が左にずれているという事はないと思います。
特に FnやShiftキーを使うキーに対して頻繁に使用する機能をこれらのキーを割り当てている場合、生産性に直結する可能性があるので、ショートカットを変更するなどの工夫も必要になります。個人的には慣れればメリットの方が大きいと考えています。
一般的な109Jキーボードに慣れた方はFnキーの位置関係により、グラフィック関連の左手のポジションに大きな影響が出る可能性もあります。
これらのデメリットは慣れである程度カバーできますが、卓上スペースのメリットは代え難いものがあるので、個人的には一考の余地があると考えています。
上記、日本語 104 / 105 キーボードと同じく、10 キー込みの左右2エリア構成のレイアウトのキーボードの場合です。
日本語102キーボードはWin キー類のないタイプで日本語 106 キーボードと同様に以前は市場に多く見られたショートタイプのキーボードですが現在は殆ど見かけません。
また、Majestouch Mini 日本語100(メカニカル)に見られるようなScrollLockやBreakキーをShift併用にして Winキーを追加しているタイプも存在します。(生産中止?)
カーソルキーがタイプエリアにある、FとJキーの間にBキーがなく、Zキーのある行がが左にずれている、などの共通する特徴が見られます。
少数派ですが同じ2エリア構成の 106/108日本語キーボードも存在します。Winやカーソルキー分、たて一列が増えます。この場合もBキーが左にずれるキーボードが多いです。
この点がタイピングに与える影響もあり、タイピングを重視した場合はフルピッチの日本語 104 / 105 キーボードの方が適します。ただ、私の様にグラフィック作業用に専用のキーボードとして使い分ける場合は、大した問題ではないかも知れません。
10キーを持たないタイプで横幅が省スペースのキーボードになります。このタイプのキーボードは 3DCG など多くのキーボード・ショートカットを必要とするグラフィックス分野での作業には適しません。
PhotoShop に代表される Adobe 社のグラフィックソフトは、元々 Maxintosh 用ソフトウェアであったため Apple Keybord の操作性を考慮しoption+commandキーを多用するインターフェイスとなっています。(Winへの移植時期はWin95/NT4の時代)
Windows の場合はCtrl(command)+Alt(option)キーが該当します。
特にグラフィック関連のソフトウェアは常にこれらのキーに左の指を置いた状態で作業しますが、Apple Keybord と PC用キーボードとではキーの配置が異なります。また同じ PC用キーボードでも Ctrl+Altキーの位置に違いがあります。
そのため Apple Keybord (Macintosh環境) と比較した場合、Windows はグラフィック関連ソフトウェアのキーボードの操作性は極めて悪く、キーボードを操作する指も無理な姿勢を強要される事になり非常に疲れます。(半ば諦め状態)
Mac と Windows 両方を使わない方には気が付かない問題かもしれません。グラフィックなどマウスを常に持つ作業用途でPCキーボードを購入する際、Ctrl と Alt キーの位置はキーボードを選ぶ上で重要なポイントになります。
PC用キーボードの場合、Windows キーが CtrlWinAltこのように中央に配置されているため、非常に押し難いものとなっています。これらキーの位置関係や大きさはキーボードを選ぶ上で重要なポイントになります。(個人的な理想は写真右上のキーボードです)
Apple Keybord の optioncommandと Optionキーのように並んでいる位置関係の方が扱い安いため、キーマップ(レジストリ)を変更してWinキーを CtrlやAltキーに変更してキーの役割を変更して使うグラフィックユーザーも多くいます。
実際に Winキーのキートップを外して使う人も多いです。用途によっては非常に嫌われ者のキーと言えると思います。 逆に USB-PCキーボードを Macintosh で共用する場合や Intel Mac で両OSでPCキーボード使う場合は Winキーは Command キーとして動作します。(つまり、なくては困る。ただし Alt と位置関係は逆になる。)
キーマップ(レジストリ)を変更する事で別のキーを割り当てる事が出来ます。レジストリ修正は初心者にはリスクが伴うのでChange Keyをおすすめします。XP x64 でも使えます。VISTA でも問題ないようです。Windows 7 に関しては不明。 (VISTAが大丈夫なら問題ないと思いますが)
引き続き、これらを踏まえた上で購入した3台のキーボードについて紹介します。