ここまではハード面からキーボードの特性、適正を考察してきましたが、ここからはデザインやレイアウトなどソフト面を中心にキーボードの特性、適正を考察します。
キーが横一直線に規則的に配置されており、上から見ると長方形というのが一般的なキーボードのデザインです。
側面から見た場合、平坦にキートップが揃ったものや、ステップカルチャーと呼ばれる列ごとに段差と角度を付けたものあります。
中にはこれらの外観とは異なる特殊なデザイン、キーレイアウトのキーボードも存在しています。
キーピッチとは隣り合うキーの間隔の事で通常は19.05 mmになります。これ以上、間隔の開いたキーボードはないためフルピッチと表記される事もあります。また、ISO ではキーピッチ 18mm 以上をフルサイズのキーボードとしているようす。(ノート限定?)
昔からデスクトップ パソコン用キーボードの殆どはキーピッチ 19.05mm サイズのキーボードが広く普及していた事もあり、国内ではこれが標準サイズと認識されています。
個人的には 19mm は欧米人サイズで平均的な日本人にはやや広いと考えています。ただ、昔から 19mm が一般的なサイズであったため、これに慣れた方が多く、現状では最も使い易いサイズと言われています。
パソコン歴の長い方ほど、これまで使用していたキーボードとキーピッチが異なるキーボードは使い難くく感じられます。最近ではデスクトップ用キーボードでも 18 mm 以下のキーボードも存在しています。
キーピッチ 18.5 mm のキーボードも所有していますが、違和感があったのは最初だけで慣れるとこちらの方が自分の手には合っていると思います。 子供や女性など手の小さな方はキーピッチは狭い方が扱い易い場合もあるため一概には言えませんが、協調性(職場や学校に合わせる事など)を考えると 19mm のキーボードで慣れた方が無難かも知れません。
キーピッチの違いは入力のし易さに対して影響を与え易いのですが、ロジクールやマイクロソフトの家電キーボードの中には一般的な日本語109キーボードでもキーピッチ 19mm 未満のキーボードも存在しています。
つまり、表記がなければキーピッチは標準的な 19mm という訳ではない
また、これらのメーカーはキーピッチに関しては非公開で実際に購入して計ってみるまで分からないという現状もあります。この事からも、これらメーカーが販売するキーボードはタッチタイピング(テキスト入力)を前提としたキーボードではなく家庭向けキーボードである事が分かると思います。
最新のロジクール・キーボードにはキーピッチを表記するように、なりました?
殆どのPCキーボードはFキーとJキーに突起がついています。
それぞれに左右の人差し指を乗せ、親指を除く他の指は常に横に並ぶキートップに触れている姿勢がホームポジションになります。
このポジションを基準に、指毎が受け持つ正しいキーをタイプする事になります。
フロッグデザイン(白筐体) 時代の Apple Keyboard などDキーとKキーに突起がついているものがあります。この場合は人差し指ではなく、左右の中指をこれらのキーに置きます。突起がついている理由は、手元を見なくてもホームポジションに戻れるようにするためです。タイピングの上手な方程、タイピング時、手や指の上下左右の動作が少なく動きに無駄がありません。タイピングのコツはホームポジションを基準に相対的にキーの位置を覚える事です。つまり、タイプする度にホームポジションに戻ってくる事を常に意識するようにします。
この指の位置を基準に無駄なく指を動かす事で素早くキーをタイプ出来る様になる訳ですが、この姿勢は※上から見た時、手首を内側に曲げる必要があり、また、正面から見て手首を水平に保つため手首を内側にひねる必要があります。
※キーボードを前方へ突き出す事で緩和されます。この場合、キーボード付属のスタンドで後方を持ち上げる必要が出てきます。無意識にキーボードを遠くに配置する方はこの姿勢を嫌っての事だと思われます。
長時間のタイピング作業からくる肩こりなどの疲労は、このホームポジションを維持する時の無理な姿勢に起因しています。この問題は昔から認識されており、負担の少ない自然な姿勢でホームポジションを維持可能なエルゴノミクス・キーボードも存在します。
腱鞘炎など指の負担からくる身体疲労、痛みなどの症状は姿勢ではなく主にキータッチや打ち方に起因しますので別の問題になります。眼精疲労から来る肩こりもありますが、個人的に最初に疑うべきはキーボード、と考えています。
左は Microsoft Natural Ergonomic Keyboard 4000 裏面の注意書きです。怖い事が書いてありますが、最近のキーボードやマウスに関しては決して大げさな話しではありません。
斯く言う私も Apple Macintosh Adjustable Keyboard 以来のエルゴノミクス派で、長年 2種類のキーボードを作業目的により使い分けるようにしています。長時間テキスト入力が必要となる作業はエルゴノミクス・キーボードを使っています。
頻繁に使い分けるのではなく、その日その日で作業内容に応じて使うキーボードを決めている
詳しくは後述しますが、昨年、長年愛用していたエルゴノミクス・キーボードが壊れたため直線配列の一般的なキーボードに一本化してから極度な肩こりになりました。
まるで他人の肩を触っているような極度の肩こりはホームポジション時の無理な姿勢にある事は身をもって経験しています。
ちなみに上の写真は10年程、テキスト入力用に愛用したエルゴノミクス・キーボード。(当時、PCパーツショップで2.2千円程で購入) 音はうるさいがメンブレインながらキータッチの良いキーボードでした。初期のMSエルゴキーボードもこんなデザインでした。当サイトの9割方の文章はこのキーボードで入力されています。一部キーが反応しなくなったため、昨年から Realforc、 MSのエルゴ を仕方なく使っています。
昔から海外では評価の高いエルゴノミクス・キーボードですが、昔から国内では下手物扱いされがちで正しく評価されていない様に思います。
例えばこれ http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0812/15/news064.html
例えばこれ http://bizmakoto.jp/bizid/articles/0711/14/news134.html
このタイプのエルゴノミクスキーボードが扱い難い原因は、単に誤った指使いでタイピングしているためで、正しい指使いで全ての指を使ってブラインドタッチが出来る場合は、違和感なく通常のキーボードと同じように操作する事が出来ます。
KINESIS の Contoured Ergonomic はキーレイアウトが特殊なので、この場合は慣れが必要だと思います。ここでのエルゴノミクスは、一般的なキーボードを上から見て中央をV時、正面から見てハの字に分割したキー配列を壊さないタイプをさしています。
上記サイトでも紹介されている Microsoft Natural Ergonomic Keyboard 4000 ですが、パームリフトは取り外した状態がデフォルトです。
完璧なブラインドタッチでキータイプが出来る事は、キーボードの善し悪しを評価するにあたり最低限必要な条件と言えます。次のページからは私が現在使用しているキーボードを例に、3DCG制作との関係について考察します。