先のページでも触れましたが、私は用途に応じて二台のキーボードを使い分けています。昨年(2009)の2月、長時間タイピング用に長年愛用してきたキーボードが壊れてしまいました。
同型のキーボードは入手困難なため、これを機にグラフィック作業用、長時間テキスト入力用と使い分けていたキーボードを1台のキーボードに戻す必要に迫られました。
国内で入手可能なエルゴノミクス・キーボードは選択肢が限られます。以前から関心のある KINESIS の FleeStyle も検討しましたが、高価な上、実機を確認できないという理由からリスクが高く見送る事に。(特にメンブレイン方式は触って確認したい)
そこで、現在、グラフィック作業用途で使用しているメンブレイン106日本語キーボードをタイピングに適したキーボードに交換し、およそ10年ぶりにキーボードを一本化する事にしました。
この事が後に計4台ものキーボードを購入する結果を招くとは、この時は知るよしもありませんでした・・・
キーボードに関しては最も好みの分かれる入力デバイスだと思います。可能であれば店舗でデモ機に触れてみる事をお勧めします。ページ右で本稿で紹介している内容に合致するキーボードを Amazon からピックアップして表示しています。
特に日頃から Amazon を利用されない方は、リンク先全てが Amazon という訳ではない事に注意が必要です。
Amazon のページ右側の "こちらからも買えますよ" という項目を確認するようにして下さい。(左図参照)
例えば、同じ東プレ Realforce108UBK でも販売店によって 17,600 (送料込)~ 32,372 (送料別) 円と 実売価格に大きな開きがあります。大抵は Amazon は送料が掛からない上、最安値となっている事が多いので、Amazon での購入をお勧めします。
中古品(マーケットプレイス)等、不当に価格をつり上げている業者も多いので適正価格かどうか、十分にご検討下さい。
仕事上、3D、2D関連のグラフィックツールを使うため、これまで使用していた 106日本語キーボードを長時間テキスト入力可能なものにグレードアップする事でキーボードの一本化を図る事にしました。
これまで使い分けていた2台のキーボードを一本化するにあたり、以下の点を考慮して Realforce108UBK を選びました。このタイプ(キーレイアウト)のキーボードの特徴はこちらで考察しています。
多くの統合型 3DCG ソフトウェアは重要なショートカットが10キーに割り当てられている事が多く、10キーは必須である事。
10キーレス キーボードと10キーの分離はペンタブを使う上で取り回しが面倒になる恐れがある事。
これらの理由から 109Jキーボードのようなキーレイアウトが適します。合わせてペンタブレットを手前に配置する事があるため、奥行き、特にスペースバー手前はなるべく距離が短い方が良いという点も考慮しています。
タイピング用途で人気の高いメカニカル・キーボードは、片手で操作するキーボードを操作する事の多いグラフィック系の作業においては、タイピング時よりも高い荷重を掛けがちで、短期間でチャタリングを起こす可能性があるため却下。
キータッチの優れた上質なメンブレインは絶滅状態にあるため絶望的、パンタグラフは耐久性の面で高い荷重がかかりがちなグラフィック用途には不安があります。となると、もう、静電容量無接点方式しかなく、長時間、テキスト入力を行なう事が多い私にとっては、これ以外の選択肢が他にない訳です。
実は富士通コンポーネントのLibertouchシリーズ(ページ右下)の英語配列も有力候補だったのですが、日本橋で展示されているショップを見つける事が出来ず断念しています。ちなみに Realforce は展示しているショップが多いです。
後、この Realforce108UBK には "かな"刻印がありませんが英語配列ではありません。日本語配列の "かな"刻印がないだけのキーボードです。
Realforce108UBK はキー毎に 30g / 45g / 55g の変荷重となっており、指によって荷重が異なります。小指など力の弱い指が受け持つキーは 30g となっており、長時間のタイピングでも指が疲れません。ただし、疲れないのは指だけです。
白と黒がありますが、単なる色違いではなくカラーによってキー荷重が異なるので注意が必要です。ちなみに白のRealforce108UHは標準的な荷重 45g で統一されています。黒が好きで Realforce108UBK を選んだ訳ではなく、変荷重に興味があったためです。
常にマウスを持ちながらとなるグラフィック関連の作業は、これまでメンブレインの106キーボードを使用していました。
それに比べるとストロークが深く(4mm)キーに荷重が異なることもあり、最初は違和感を感じましたが直ぐに慣れました。
ストロークが深くても 2mm程度の沈み込みで入力が確定します。メンブレインやパンタグラフと違って底打ちする必要がないため、余計な荷重を掛けがちなショートカットを頻繁に使う用途では耐久性の面で安心感があります。
このキーレイアウトのキーボードは幅があり、3DCG制作においてスクリプティングなどテキスト入力時にホームポジションへキーボードを移動させる距離が長くなるデメリットがあります。重量のあるキーボードであるため、以前までグラフィック作業用途で使用していたメンブレインの日本語106キーボードよりストレスを感じます。
完璧にブラインドタッチで入力できない方にとっては 「豚に真珠」 か 「猫に小判」 なキーボードです。
キータッチはスコッ、ストッ みたない滑り落ちるようなリニアな感触です。ガタツキも少なく、明らかにパンタグラフ、メンブレイン、メカニカルとは異なります。非常に上品で静かです。
底を打たなくても良いため流れる様にタイピング出来ます。一般的なパンタグラフ、メンブレイン キーボードなど底をたたくタイピングに慣れた方がタイピング速度を上げるには底打ちしない打ち方をマスターする必要があり慣れが必要とも言えます。
底打ちしないタイピングは静かで指の負担が少なく高速入力も可能になります。 ストロークが深めとなっているのもこの打ち方を前提としているためと思われます。
手持ちの同じフルピッチ(19mm)のキーボードと比べるとキートップの面積がやや狭く、キー自体が離れているように錯覚します。人によっては好みが分かれるかも知れません。ホームポジションに指を置いていると間隔が開いている様に感じます。
静電容量無接点方式のキーボードは極めて高価ですが、Realforce は耐久性を考慮しても十分に元の取れるキーボードです。気になったのは内蔵スタンドの高さが私にはやや高く、キートップのレーザー刻印が弱く半年の使用で消えかかっている点です。
(半年といっても毎日、日中タイプしている訳ではないので実質1ヶ月ほど) タイピング時に手元を見る事がないので問題ないと言えなくもないですが、グラフィック系の作業で左手のみでキーボードを操作する際は見ますので、全部消えてしまうのは困ります。
指への負担が少なく申し分のないキーボードですが、半年程、使用してみて極度の肩こりに悩まされるようになりました。長年、エルゴノミクス・キーボードに馴染んだ体には、直線配列のキーボードでホームポジションを長時間維持するのはかなり辛いです。
いくら指に負担の少ない 静電容量無接点方式のキーボードであっても、こればかりはどうしようもありませんでした。これは東プレ Realforce108UBK 固有の問題ではなく、一般的なキーボード全てにおいて言える問題になります。
エルゴノミクスに拘らない方でテキスト入力も重視した場合は、この配列の Realforce は耐久性の面で一押しのキーボードですが、差程、テキスト入力は重要でないグラフィックス用途で使用する場合はオーバースペックなキーボードと言えます。
ただし、これらの用途で短期間でチャタリングを起こしやすい比較的高価なメカニカル・キーボードをいくつも買い換えるよりは、結果的にコスト面でメリットが得られる可能性も十分にあると思います。日本橋でも Realforce をサンプル展示しているショップは多いので確認してみて下さい。
作業内容に応じて使い分けていた2台のキーボードを一本化する目的で購入したRealforce108UBKでしたが、悩んだ結果、キーボードの一本化を諦めエルゴノミクス・キーボードを新たに購入する事にしました。次のページに続きます。