前ページの続きです。2台のキーボードを使い分けるにはRealforce108UBKは重すぎたため、グラフィックス用途で使用するキーボードを再検討することになりました。
本当は再検討する必要はなかったのですが・・・
Realforce 108UBKと同じ日本語 106・108・109 キーボードのレイアウトでは新たに購入する意味がないため、別のメリットを求めて日本語 104 / 105 キーボードなどショートタイプのキーボードとして ELECOM TK-U05F を購入しました。
グラフィック用途といってもタイピングに支障があってはならないため、同じ 10キー込みのショートタイプでも日本語 100 / 102 キーボードにみられるZキーのある行が左にずれているキーレイアウトは避けました。
またキーピッチは19mm(フルピッチ)が絶対条件、キーボードショートカットを多用するグラフィック用途では必要以上に荷重がかかるため、経験上メカニカルはチャタリングを起こす可能性が高く、パンタグラフは強度の面で適さないと考えています。
静電容量無接点方式でこのキーレイアウトのキーボードは存在していない、あったとしても自分には直線キーレイアウトが体に合わない事を再認識したため、この用途でお金を掛ける意味がない、という事でメンブレイン方式のキーボードに。
これらの条件を満たすキーボードは限られており、ELECOM TK-U05F しかありません。ストロークがあり、タイピングし易い事をセールスポイントにしている、何よりも使い潰すこの用途にはありがたい価格であるため、実物を確認する事なく注文しました。
実売 2,500円にしては安っぽさはなく、キーのぐらつきも少なくそこそこしっかりした造りになっています。少ないネジで済むように良く考えて作られている事も分かります。
キートップの面積はやや広めでキートップに指を置いた感触も落ち着きがあります。
LEDはキートップ内蔵で色はグリーンです。眩しいだけの青色LEDよりずっと良いです。個人的にはタッチが軽ければメンブレインとしては合格ラインなのですが、惜しいです。
ファンクションキーの段が低くなっており、使用頻度の高いEscとDeleteキー操作時に手前のキーに干渉してしてしまう事があります。
キートップにかな刻印がありませんが、日本語配列キーボードです。単に「かな入力しないのに、かな表記は目障りだぜ」、「かなの姓でアルファベットがどこにあるか探すのが大変だぜ」、という方に需要があります。
埋め込みスタンドは低過ぎず、高過ぎず適度な高さでケーブルは左だしとなっています。背面を通して右から出す事も出来る様になっています。
手前と奥でキーの高さ、角度が異なるステップカルチャーはRealforceほど強調された感はないですが、ホームポジションから手前のキーは打ちやすいです。
ファンクションキーのある上段のキートップ(写真左側)が下がっており、比較的、良く使用するEscキーやDeleteキーが手前のキーと干渉してしまい使い難いと感じるキーもあります。
キートップは大きめでホームポジションに指を乗せた時、中央のくぼみでキーの中心が感じ取れる形状が指の収まりが良く個人的には好きなのですが、このキーボードはそういうタイプです。キー形状が自分に合っているだけに、このタッチは勿体ないです。
グラフィック作業用途で購入した ELECOM TK-U05F の使用感です。このタイプのキーレイアウトの特徴はこちらで考察しています。
横幅 約37cm は思わずにんまりしてしまう程コンパクトです。日本語 109 キーボードに比べ、タイピング時にキーボードを右にずらす距離も僅かでRealforce 108UBKよりも取り回しが楽です。
また、前後も極限まで切り詰められており奥行きも取りません。
ペンタブレットを手前に配置した場合、カーソルキーの分、キーボードが遠くなりますが、外枠は極限まで切り詰められており、Realforce 108UBKと比べて 1cm も離れないため、遠くなったとは感じません。
グラフィック作業用途といっても 3DCG制作においてはモーション作成時のスクリプティングなど頻繁にテキスト入力を行なう場合があります。タイピング時はホームポジションの位置にキーボードをずらす必要がありますが、移動距離が僅かで重量も適度であるため重量級のRealforce 108UBKよりも扱い易くストレスは感じません。
ELECOM TK-U05F はFnキーにより、一部のキーが共有化されておりCtrlとWinキーの間に配置されています。
特にCtrlとAltのキーコンビネーションが重要となる Adobe ソフトウェアや 3DCGソフトウェアは扱い易いとは言えません。
特にFnキーはWinキーと違ってハードウェアに依存するため、キーマップ修正による位置変更が出来ません。CtrlとAltキーが隣り合っていなければ困るという方は注意が必要です。
Fnキーの組み合わせで入力可能なキーはSysRq・Break・Home・End・PgUp・PgDnの青色で示した6キーになります。
SysRqとBreakキーを除くキーはオレンジ色で示したShift+10キー、またはNumLockオフ+ 10キーで入力可能です。
つまり、Fnキーがなくて困るのは極めて使用頻度の少ないSysRq・Breakの2キーのみであり、実質的にはFnキーの出番は殆どありません。
グラフィック関係のキーボード操作はCtrlとAltのキーコンビネーションと重要になる事は広く知られていると思うのですが、これを犠牲にしてまでFnキーを左下隅に配置する意味があるのか私には分かりません。
Adobe のグラフィック系ソフトで多用する Ctrl+Alt+Spaceは極めて使い難いですが、統合型3DCGソフトに多いビューポート操作時のCtrlとAltを使ったキーコンビネーションは、中途半端にWinキー一つ分離れているよりもWinとFnキー二つ分離れている方が個人的にはマシだと思います。
ただAltキーが通常キーと同じ横幅で小さく、Fnが増えた事により最前列は窮屈なため総じて一般的な日本語109キーボードの方が扱い易いです。英語配列でFnキーを右側に、Ctrlキーの隣にAltキーを大きく配置したモデルを出して頂きたいです。
リニアな感触ではなく、一定を超えるとボコンと落ちるタイプのメンブレインで初期タッチは堅く重めで指が疲れます。女性には辛いと思います。ただ、適度なストロークがあるため今時のメンブレインよりは底打ち衝撃による指の負担は少ないです。タイプ音はメンブレインの中でも非常に静かな部類に入ります。
安に直前まで使用していた Realforce との比較ではなく、もっとタッチの軽いメンブレイン キーボードは存在します。殆ど見かけなくなりましたが。
カーソルキーが下に突き出ているため、右手で Enter キーを操作する際、左カーソルキーに干渉します。手首を浮かしてタイピングしない場合は厚めのパームレストが必要になると思います。
Realforce 108UBK購入時に一緒に購入したFILCO レザーパームレストと相性が良いです。(幅が余りますが)
グラフィック作業用途に購入したキーボードとしては悪くないと思います。
実際に使用してみてキーピッチ(19mm)を犠牲にしない横幅37cm 奥行き14cm の省スペースはやはりメリットが大きいです。特に従来のメンブレイン・キーボードでこのレイアウトタイプのキーボードは希少な存在です。
キータッチは今時で良くありませんが適度にストロークがあるため、マウスを常に持ちながらの作業となる用途では妥協出来ると思います。後1ヶ月ほど様子をみてストック用に他のPC2台もこのキーボードに置き換える予定です。
黒を買ったので赤と黒の2台、計3台として赤を自分(シャー)専用に使う予定。赤いキーボードを分解して柔らかいラバードームに改造しようと目論んでおる次第です。
英語配列でFnキー、Winキーの位置を見直したモデルを出して欲しいです。この価格では上等、と言いたいところですが、昔はこの価格でももっとマシなメンブレインキーボードは沢山ありました。ただグラフィック用途としては満足しています。
このレイアウトでこのストロークのメンブレイン・キーボードは希少な上、マウスと同様、専門メーカー以外のキーボードは製品サイクルは非常に短いです。仕事で使う場合は気に言ったのであれば複数台ストックされておく事をお勧めします。
原稿を書く時など長時間タイピングを行なう時は足元に置いた Microsoft Natural Ergonomic Keyboard 4000 を膝の上で使い、3DCG等、グラフィック関連の作業はELECOM TK-U05Fを使うスタイルで年末から様子を見ている所です。
メールや資料、オンラインドキュメント確認等に使用しているノートも椅子を回転するだけでアクセス可能になり、Realforce108UBKの出番はなくなりそうな気がします。
膝上で使うNatural Ergonomic Keyboard 4000は意外にタイプし易く、常に片方のキーボードを机の上に置いておけるのでキーボード使い分けが楽になりました。
このスタイルは周囲からキーボードが見えないのではっきりって不気味です。ブラインドタッチ出来ない人から見れば当てつけのようにも取られるなど職場では変な誤解を受けるかも知れません。(笑
購入したこれらのキーボードがテキスト入力にどの程度の影響があったのか興味があったので簡単に検証してみる事に。
ワープロ時代に遡るので練習ツールなどは使ったことはありませんが、(というか影も形もなかった) 昔、癖をなくすために苦労した記憶があるので正しい指使いでタイピングしていると思います。勿論全ての指を使います。
タイピング関連の練習ツール?ゲーム?はネットでもたくさん公開されているようで以下を利用してみました。私自身、タイパーではないので参考にならないと思いますが、数値で見ると結構差が出ている事が分かります。
限界を見るためにかなり集中してタイピングしています。普段からこんな速度でタイプしている訳ではありません。自分で考える文章ならもっと早く打てると思います。
長分タイピングのレベルは HATYATE?よく分かりませんが中級レベルのようです。(速い方と思ってた・・) 底を打たなくても良いので流れる様にタイピング出来ます。ムキになってタイピングする事で指への負担が少ない事を実感できます。
平均のタイプ速度は1秒間に 6.9 ~ 7.8キー、他のキーボードに比べ明らかにタイプミスが少ないです。Nキーロールオーバーの影響なのかちょっとよく分かりません。そこまで高速入力しているとも思えないので違うと思います。
長文タイピングのレベルは TATSUJIN / DORAGON ? が同じ割合。HATYATE は出ません。タイプミスが多く、特に後半まで指が持たずミスを連発します。以前使っていたエルゴノミクスキーボードより明らかにキータッチが粗悪でタイピング速度が落ちます。
まったり楽な姿勢で入力したい方にはおすすめ出来ますが、造りはおもちゃなのでライターやプログラマーなどの文字打ち職にはお勧め出来ません。平均タイプ速度は 6.3 ~ 7キー。現在、エルゴノミクスである事だけを理由にテキスト入力用に、グラフィック用途は TK-U05FBK と使い分けています。
膝上でタイピングした結果です。思った以上にタイプし易い事から試してみるとスコアにも反映されていました。このスタイルでの平均タイプ速度は 6.7 ~ 7.4キーに向上。10回繰り返した最低と最高の値です。この姿勢だとキータッチは軽く感じられます。
長文タイピングのレベルは DRAGON / HAYATE 5~6回に一度の割合で HAYATE がでます。RealForce の癖か、入力したつもりで入力されていない事が原因でミスがでます。指はかなり疲れますが、ストロークがあるため短時間で痛くなる事はありません。
ストロークがあって底を打たないといけない分、努力してもRealForce と同じスコアは出せないと思います。そもそも疲れますし通常のテキスト入力でそこまでムキにタイプする事はありませんのでキーボードとして最低限の役割は果たしているのではないかと思います。平均タイプ速度は 6.3 ~ 7.3キー。
キーボードはパソコンと最も密接に関わる入力デバイスでありながら、一般家庭へのパソコンの普及により最も質の低下した入力デバイスと言えると思います。特にメンブレイン・キーボードの品質低下は著しいものがあります。生産コスト最優先といっても実際に価格に反映されいる訳ではありませんし。
PCに限らず Apple もそうですが、家電化したパソコンは見た目だけが重視されるようになり、マウスやキーボードなど体と密接に関わる基本的な入力デバイスの機能性は重視されなくなっています。
タッチタイピングをしない人にはどうでもいい話かも知れませんが、仕事で使っている人にとっては切実な問題です。(現状は高価なキーボードしか選択肢がない上、必ずしも自分にあうとは限らない)
インターネットを活用している方を対象としているので、パソコン人口でみると正しくタッチタイピングをしている人は1%にも満たないと思います。本当に仕事で使えるキーボードを探すのは大変です。
マイクロソフトやロジクールの大量生産品に押されて、昔はよく見かけた様々な海外製キーボードは殆ど見かけなくなったのもキーボード難民を生み出す元凶となっています。キーボードの扱い一つでどの程度パソコンを道具として扱えているか一つのバロメーターになりますので、これを機にキーボードに拘ってみては如何でしょうか。