一般的な横一直線のキーボードでホームポジションを長時間維持するのは耐え難く、やはりタイピングはエルゴノミクス! という事で新しくキーボードを購入する事にしました。
キーボード一本化は諦め、これまでと同様にグラフィック系の作業はRealforce108UBK、長時間タイピングが必要な時はエルゴノミクスの2台のキーボードを使い分ける事にしました。
先に触れたように昔から海外で評価の高いエルゴノミクス・キーボードは国内では人気がなく、現在、国内で入手可能なエルゴノミクス・キーボードは限られます。
真っ先に候補に挙がったのが、KINESIS の FreeStyle ですが、店頭では先ずお目にかかれない、高価である事もあって見送る事に。
FreeStyle で一本化も考えましたが、Realforce が無駄になる、10キーが別途必要になる事もあって断念。
Microsoft Natural Ergonomic Keyboard 4000 に関しては家電量販店などでよく展示されている事もあり、実際に触ってみて、つくづく家電だなぁと思っていたキーボードですが、他に選択肢がないためエルゴノミクスである点だけを理由に購入する事に。
1,000 円そこらの反発が強くて底(ストローク)の浅いメンブレイン スイッチです。キー中央を確実にタイプしないと引っかかります。安価ではありませんがキースイッチに関しては極限まで部品点数を減らした今時の家庭向けキーボードと違いはありません。
キートップのくぼみがなだらかで、ホームポジションに指を置いた状態がどうにも落ち着きません。
またCtrlキーが小さい上、キートップが丸みを帯びているため指が滑ります。最前列のキーは全て丸みを帯びておりAltキーも同様で実用性は一切考慮されていません。
特に左右両端と最前列のキー全てはデザインを優先するあまり操作性を犠牲にしています。
スペースバーの抵抗感、両端のカーブを描いたキー形状は無駄に横幅をとっており、只でさえ場所をとるエルゴノミクス・キーボードをさらに大きいものにしています。
直線配列のキーボードをV時分割したタイプのエルゴのミス・キーボードは、正しい指使いでブラインドタッチが出来てれば、違和感なくキーボードを使い分ける事が出来ますが、このキーボードは外側にかけて緩やかにカーブしています。
特に外側(小指側)へいく程、カーブが強く、小指側のポジションに違和感を感じます。
慣れれば違和感を感じなくなると思うのですが、慣れてしまうとキーボードを使い分けている場合、双方のキーボードでタイプミスを招きます。
このような特殊な配列は複数のキーボードを使い分ける場合、混乱するため KINESIS の Contoured Ergonomic よりも FleeStyle の方に関心がいきます。
左右で分かれる箇所のキーは、これもデザインを優先するあまり、通常のキーと違って横幅が異なります。中でも酷いのがNキーです。通常の2倍の横幅を取りながらストロークのベクトルは中央にあります。
そのため、Nキー右半分をタイプした場合、妙な抵抗感があります。スペースバーと同じように金属のバーが仕込まれており、タイピング時の音が異なります。その多、サイズの異なるキーも同様でタイピング用途を前提とした配慮は一切見受けられません。
また、底が浅いため一般的なメンブレインと同様にタイプすると、底打ち時の衝撃がダイレクトに指に伝わり短時間で指関節が痛くなります。パンタグラフのような打ち方が適しますが、そうするとキーが重く感じます。
左は10年間、愛用していたエルゴノミクス・キーボードですが、Nキーはタイプする位置でストロークするように作られています。またスペースバーも左右で分かれています。
10年程前、2,000円ほどで購入しました。部品点数削減によるコストダウンによるメンブレイン・キーボードの質の低下を痛感します。
現在も生産されているようです。EZ-9520 3D Ergonomic Keyboard リンク先キーボードも日本語配列を無理矢理英語配列に変更したデザイン?になっていますがむしろ英語配列のこのキーボードが欲しいです。輸入販売しているショップもないようです。良くなっている事を希望しつつ何とか入手したい・・・
側面にカーブを描いておりデスクスペースを占有しますが、厚さは薄く、重量も3本指でつまんで持ち上げられるほど軽量です。
後部の収納式スタンドも接地面が尖っておりグリップしません。細部にわたりデザイン優先で機能性は考慮されていません。
このタイプのエルゴノミクス・キーボードは手前がリフトアップする収納式スタンドを持つのですが、このキーボードは取り外し式で購入時には取り付けた状態になっています。取り外した状態がデフォルトになります。
このキーボードにはドライバが必要となる独自の拡張ボタンがありますが、造りが安っぽいです。特に手前の戻るボタンの反応が鈍く、3回に一度ぐらいの割合で反応しないことがあります。
一週間使用した後に撮影したキートップの刻印ですが、すでにキートップの刻印が消えかかっています。
この原稿はこのキーボードで入力しているのですが、今、確認したら R / T / E / S キーは殆ど消えてしまいました・・・
下の写真は10年愛用した2、000円程度で購入したキーボードです。いくら何でもこれは不味いのではないでしょうか。
実は購入した翌日に誤ってコーヒーを溢してしまいDキーが無反応になってしまいました。(5年に一度、あるかないかなのに・・・ orz ) 溢したのはほんとに僅かな量だったのですが、分解して多層基板に入った水を拭こうと基板を広げると接着剤が基板を剥がしてしまい修理不可能な状態に・・・
普通、配線を避けて接着するか貼り合わせるなどしているものですが、(少なくともこれまで使用してきたキーボードは全てそうだった) このキーボードは多層基板をめくると接着剤が基板を剥がすトラップがあります。プリント基板の形状が複雑であるためか、意図するものか分かりませんがメンブレインのメリットでもあるメンテのし易さはこのキーボードには当てはまりませんので注意が必要です。ちなみに分解する場合は、スペースバー下の2本のネジを外す必要があります。背面シール下にネジはありません。
泣く泣く、もう一台注文して気がついたのですが、手前の戻るボタンが3回に一度は反応しなかったのが新しく購入したものにはそれがありません。
また、スペースバーは特に引っ掛かりを感じませんでしたが新しく購入したものは端を押すと抵抗感を感じます。
タイピング時に気になった音のばらつきはありますが、気になるほどではありません。Amazon の評価をみても、どうも、このキーボードは大量生産品にありがちなバラツキがあるように思います。
おもちゃである事に違いありませんが、Microsoft ならではのよい面もあります。
このキーボードには専用ドライバーが必要となる独自の拡張ボタンがあります。通常、この手の拡張ボタンはドライバーが必要になりますが、サードパーティのキーボードの場合、ドライバの対応状況や安定性が問題になる事があります。
この点、マイクロソフトだけあってドライバ・アプリケーションの機能、安定性、OSの対応状況の面で優れています。XP x64 環境でも問題なく使えます。
Natural Ergonomic Keyboard 4000 の場合、拡張ボタンに割り当て可能な機能は異なりますが、アプリケーションごとにボタンの役割を管理する事ができるため、使い方によっては生産性を向上できる可能性もあります。
例えばアプリケーションによって作業ディレクトリやプラグインディレクトリを指定して即座に呼出したりする事が出来ます。
別に拡張ボタンでなくても Orchis など優れた呼び出しランチャーを使ってもそれなりの事が出来るので必要のない人には必要ないかも。
中央にズームレバーがあります。画像など拡大、縮小表示使うものでドライバによる機能の変更はできません。
ただ、アプリケーションによってはスクロールが機能する場合があります。
3つボタンマウスなどホイールを持たないマウスの場合、スクロールが面倒なことがありますが、3DCGソフトのパレット類やインターフェイスなどのスクロールバーに対して反応したため、用途によっては使えると思いました。
エルゴノミクス キーボードは場所をとるためグラフィック系の作業に適さない事実は変わらず、それを補えるだけの生産性が見込めない、差し引きマイナスでメリットなしというのが個人的な印象です。(特にペンタブレットとの併用は殆ど不可能)
この位置はタッチパッドかポインティングデバイスの方がいいような気がします。
合成革があしらわれたパームレストは適度なクッション性があり、冬場に手を添えてもヒヤッとすることがありません。手の乗せ心地はよいです。
昔から疑問に思っている事なのですが、専用ドライバを必要とする拡張ボタンをキーボードに付けるよりも、別の拡張デバイスとして販売した方がメリットが多いと思うのですがそのような製品はこれまで見た事も聞いた事もありません。
アプリケーション毎に役割の異なるマクロやコマンドが実行出来れば生産性も向上すると思うのですが、それこそ今は Bluetooth がありますのでリモコンの様に扱う事が出来ると思います。こういうものこそマイクロソフトに作って頂きたいです。
こうしてRealforce108UBKをグラフィック用途に、長時間タイピングを行う場合は、 Natural Ergonomic Keyboard 4000 を使い分けるようにしたのですが、Realforce の重量が気になるようになりました。
東プレ Realforce シリーズは正に質実剛健、フレームは鉄で出来ており、捩れる事は決してありません。その重量が安定したキー入力に大きく貢献しているのですが、使い分けるとなるとこの重量がネックになってしまいました。
元々、文字入力とグラフィック系の作業を一本化する目的で Realforce108UBK を購入した訳ですが、Realforce108UBK 引退させ、以前の106キーボードを使う事は、単にテキスト入力環境が悪化しただけの結果であり、あまりに虚し過ぎます。
どうにも引っ込みがつかなくなってしまい、グラフィック用途で使用するキーボードを新たに探す事に。(何やってんだ・・・orz ) 続きます。
このキーボードは机の上よりも膝の上に置いて使う方が扱い易い事に気がつきました。Natural Ergonomic Keyboard 4000 は足元に立て掛けておき、必要に応じて膝に乗せて使います。(机の下にキーボードが潜る感じ)
一般的な直線キーボードだと手首をさらに内側に折り曲げ、水平になるように大きくねじる必要がありとても使えた芸当ではありませんが、エルゴノミクスであるためこの負担が軽くなります。またキーボード自体が軽いため、膝の上に乗せ易いのです。
元々、タイプ音は静かな方に入るため、机の下だとほとんど音は気になりません。また、キータッチも軽く感じられ、実際にタイピング速度も劇的に向上しました。以前のエルゴ・キーボードでは重量から膝の上に乗せる発想は出ませんでした。
拡張ボタンの活用は難しくなりますが、このキーボードをお持ちの方は一度、試してみてください。ただし完璧なブラインドタッチができる事が条件です。据わりが悪いですがパームリフトを取り付けた状態の方が姿勢が楽で蒸れません。
そのうち、ハンズでゴムシートを買ってきて、キーボードの底に貼り付けてグリップ感を高めようと考えています。ただ夏場がどうなるか心配です。
このスタイルだと机の上にはRealforce108UBKは常に机の上に置いておけるので、以前よりもキーボードの使い分けが楽になります。この事実に気づいたのは次のページで紹介するELECOM TK-U05F購入した後の事でした。orz