ドットピッチ以外は非常に的を射ていた RDT241WEX だったのですが、目に痛みは自分にとって耐え難く、体が資本と言い聞かせ RDT262WH を購入する事に・・・
日本橋で RDT262WH を購入して帰り、接続してみると読むことが困難な程、UI の文字が擦れて見えます。水平、垂直同期に問題なし、調整の問題ではない事は直ぐに分りましたので初期不良としてショップに持ち込んで確認してもらい、初期不良という事で交換してもらえました。
ドット欠けもなく中央に邑もなかったのでパネル自体はアタリだったのに
ついていないと思いながら、交換してもらった RDT262WH を繋げてみると交換前と見え方が変わらない !? 調べてみるとメーカーの営業場所である某掲示板にも文字が読み難い、配色によっては読めないという報告があり、どうもこれが正常のようです。
初期不良ではないかと思えるレベルで、私以外にも初期不良として対応してもらった方もいるようです。まさかテキストが配色によって認識が難しいとは夢にも思わず、調べる事さえしませんでした。
具体的にはシャープネスが極端に強いといった感じです。RDT241WEX は DVI-D(デジタル)接続で5段階のシャープネス設定が行えますが、RDT262WH にはシャープネス設定がなくハードウェア側で調整する事が出来ません。ちなみにRDT241WEXはシャープネス標準設定でくっきりとビットマップフォントは表示されています。
初期不良として交換してもらったRDT262WH は中央に邑が・・・orz ごめんなさい店員さん
特に問題となるのが XP のシステムフォント、アンチエイリアス処理のない MS UI ゴシックです。アラートやアプリケーションのインターフェイスは何が書いてあるのか分らない程、文字が細って見えます。
以下の画像は正面からデジタルカメラで撮影した画像です。いずれも同じ PC に接続しています。黒字に白抜き文字はきれいに見えます。該当する配色の3Dワイヤーフレームも極端に細ってしまいアンチエイリアスを有効にしなければ綺麗に見えません。
ネットでもこの問題が指摘されており、確かに配色に薄い背景色に濃い文字の組み合わせは裸眼視力 左右1.5 の私でも身を乗り出してディスプレイに近づかなければ読む事が出来ません。殆どのアプリケーションの UI が該当する配色であるため致命的です。
また、文字色も色が識別でない程でインターネットユーザーの7割が Windows XP という現状を考えるとWEBデザインの用途にも厳しいものがあります。(CSSでフォントが固定されているページの場合、該当する配色だと読めない)
Windows でこれで満足できる方は、恐らくVISTA 以降の OS で極一部のアプリケーションしか使わない方に限られると思います。作業用ディスプレイとしては使えず、複数のアプリケーションを使用する 3DCG制作においては致命的です。特にレンダリング時のアンチエイリアスは掛かりすぎたように見えてしまいます。
これはカラーマネジメントを前提としたディスプレイだから写真が綺麗ならそれでいいという問題ではなく、画像処理ソフトの UI が認識困難では作業もままなりません。
RDT262WH は同社グラフィックシリーズの最上位モデルに位置するカラーマッチング、DTP用途向けの広色域ディスプレイです。
最も大きな特徴として sRGB へ色域補正(制限)を全面に配置された Gamut ボタンで切り替えを行える点が挙げられます。
カタログにもカラーマッチング以外の用途に対応できるとありますが、これは sRGB 色域補正と調整が行えるためです。
今回、この広色域ディスプレイを選んだ大きな理由でもあり、25.5インチ IPS パネル、応答速度、これら条件を満たすディスプレイは 2009 年 10月 現状では RDT262WH しか存在していません。
台座は写真が限界の高さで、RDT241WEXよりかなり低く、上に傾けて使う事を前提とした台座となっています。下あごを大きく突き出すような感じで卓上すれすれの低い位置に配置する事が出来ますが、かなりの奥行きを必要とします。
CRTと違ってノングレアLCDの表面は周囲の光の影響を受け易く、通常、光源は上にある事が多いため私は上に傾けたくありません。現在は台を二つ重ねて机の天板より3cm高い位置にしています。RDT241WEX と同じく下はターンテーブルとなっています。
このディスプレイの最大の特徴は OSD パネルに用意されている GAMUT ボタンは sRGB 相当の色域補正のオン、オフを切換える事が可能な点にあり、GAMUT により色域を制限した場合は色温度の変更、各種調整が行えます。
sRGBモードではブライトネス以外の設定は固定されるため、本稿の目的では GAMUT で色域制限を有効にした状態で使う事になります。 オフの時は広色域、オンの時は sRGB 相当となります。
正しい sRGB 表示が行える事を理由にこの広色域モデルを選択した訳ですが、色域制限によるためか、sRGB 色域にパネル性能を使い切れる RDT241WEXと比べると鮮やかさに欠けというか彩度の低い発色となっています。(特に R が哀しい事に・・・)
この間までメインで使用していたCRTトリニトロンと比べるとかなり見劣りする上、CRT や VA/TN パネルと比べると色温度 6500K でもやや黄色みがかって見えます。しかし、Adobe RGB 広色域ディスプレイの sRGB モードにありがちな sRGB らしくない不自然な発色という訳ではありません。(なんじゃこりゃという事はない)
sRGB を視野に入れた幅広い用途で活躍できるとありますが、やはり Adobe RGB を前提とした広色域ディスプレイであり、本稿の目的で sRGB の表示品質を求めるには無理があると感じます。そういう意味では IPS で sRGB の発色性に拘ったRDT241WEXは貴重な存在と言えると思います。
RDT262WH の真骨頂である Adobe RGB 色域表示で Adobe RGB で撮影された画像を開いた時の発色は素人目に分る程、美しいですが、ハードウェア・キャリブレートによるカラーマネジメントは重要ではないのでこの部分の評価はしていません。
ブライトネス、コントラストを OSD で調整すると微妙に色が変化します。例えば、2時間以上暖めた状態でもコントラストを1%刻みに調整してみると白地に緑がかぶった状態と交互に変化します。ブライトネスを調整した場合も同様です。
sRGBモードでブライトネスを調整した場合も同様で、特にコントラストが低い値の時ほどブライトネスを調整したときに色の変化が大きく出ます。これは気になります。
小さな十字キーを使って操作するのですが慣れるまでは相当使い難く、下を押しているつもりでもその他の方向が反応したりイライラします。ディスプレイとの適度な距離を置くとなると手を伸ばして操作する事が多いので慣れるには時間が掛かりそうです。
OSD でショートカット機能を有効にした場合、十字キーの上下がコントラスト、左右がブライトネスを調整出来るようになります。良いのか悪いのか微妙です。
不満な点は DVI-D(デジタル)接続でシャープネスを調整する機能がない点です。以前のRDT261WHでシャープネスが問題にならなかったのか調べてみると
http://www.mitsubishielectric.co.jp/home/display/product/pdf/rdt261wh.pdf
シャープネス設定は可能で後継の RDT262WHでは省略されており、サイズダウン版の RDT221WH も同じくシャープネスの調整が出来なくなっています。RDT262WHの場合は前述したようにアプリケーションのインターフェイスの文字認識が困難な程シャープネスが強すぎるため致命的と言えます。
ちなみにRDT262WHと同じパネルを使用している NEC LCD2690WUXi2 にはシャープネス調整機能はあります。RDT241WEXにもあるのに一体なぜ・・・
ピクチャーモード:ボタン1つで出力メディアに適した色域に変換。 とありますが、嘘です。プリセットを切換える場合は、使い難い十字キーを操作して4~5のステップを踏む必要があり、時間帯により証明環境が変化するケースで色温度やブライトネスを変えたプリセットを用意しておき、必要に応じて切換えるといった使い方が出来ません。
カラーマネジメントを重視した場合は照明環境を一定にする事が多いため、広色域の用途を考えると不要かも知れませんが、従来の sRGB ディスプレイとして扱うにはプリセット切り替えボタンのある RDT241WEX の方が便利です。
映像用、写真用×2 の計3つの色温度を変えたプリセットが用意されており、変更して保存できます。RDT241WEX と比べると少ないです。
どのメーカーもそうですが店頭での見栄えを優先するあまり輝度の高い青色LEDを馬鹿の一つ覚えみたいに使う製品が多く、特に目の前に設置する液晶ディスプレイに関しては目障りでしようがありませんし、製品開発の段階でもそれは分っている筈です。展示の見栄えを気にするより、使う人の事に気を遣って頂きたいです。
オレンジやグリーンの液晶ディスプレイを見ると良心的にさえ思えてきます。
RDT262WH にはLED輝度を調整できる機能があります。一瞬、LEDバックライトと思いましたがそんな訳はなく、単に青色LEDの明るさを調整するものでした。正直、こんな機能付けて意味のないコスト上げるより青色LED使うなよと言いたくなります。
実際、消費者センターにも青色LEDに関する苦情が多く寄せられているそうです。私の場合、視界に入る青色LEDは全て黄色のガムテープを貼って緑色にしています。セロテープを黒の油性マジックで塗りつぶしそれを2枚重ねたものを貼り付けても良い感じになります。
RDT241WEX と同じです。両者に明確な差はありませんでした。25.5インチ IPS でこの応答速度は用途によっては十分な魅力があります。
RDT241WEX のように目がキリキリ痛む症状は出ませんでした。それでもメインで使用していた CRT に比べると比較にならない程目が疲れますが、痛みは出ないので長時間作業に何とか堪えられます。(CRTリフレッシュレート 85Hz から 60 Hz に落とした時ぐらいの疲労度を感じる)
RDT241WEXから RDT262WH に換えて良かったと思える数少ないポイントです。液晶パネルそのものを製造しているメーカーが限られるため、RDT262WH や LCD2690WUXi2 で使用されている LG社のLM260WU2パネル(25.5インチ)は希少な存在かも知れません。
LG社のLM260WU2 パネルを採用した製品は、目に優しいとは言い難いですが、目がキリキリ痛むという事はありませんでした。RDT262WH に変えて良かったと思えるのは表示サイズと目の奥にキリキリとした痛みが出ない、この2点のみです。それ以外は RDT241WEX に及びません。
AdobeRGB 広色域ディスプレイだから仕方ないとも思えますが、sRGB の分野に対応出来る事を唱っている以上は期待する訳です。やはり、AdobeRGB と sRGB ディスプレイは明確に分ける必要があると思います。
素子不均一からくるこの手の痛みは、輝度を落としても緩和しない上、メーカーの調整ではどうしようも出来ないため、 採用されている液晶パネルで選ぶ事の重要性を改めて痛感する事になりました。
25.5インチ WUXGA は若干小さいですが適度な大きさで表示されます。そのため、ディスプレイと一定の距離を置く事が出来る(視野角、眼精疲労で有利) 、Webデザインなど表示解像度が重要となる用途においては広く普及している 24.1インチWUXGA よりも遥かに扱い易いです。
参照 => 素子サイズの違いによるメリットとデメリット
ただし、前述したように文字が細いというか潰れてしまっているため、ディスプレイとの距離を置く事が出来ず、RDT262WH に関しては意味のないメリットになっています。
デジタル一眼レフをお持ちで大画面フォトフレームをご所望の方でシャープの強い画像を好まれる方にとっては間違いのない選択肢だと思います。カタログにあるようなそれ以外の用途にはとてもお勧めできません。
まさか UIが認識出来ない点で躓くとは夢にも思わず、これはディスプレイを評価する以前の問題です。コンピュータ ディスプレイとして販売しても問題ないのだろうかと思ってしまいます。販売から時間が経過していますが大手のレビュー記事もありません。
他に選択肢がないため、何とか RDT262WH を作業用ディスプレイとして使う方法はないか模索してみる事にしました。