前ページ パソコンを構成する基本パーツの続きです。
データを記憶しておく装置です。ハードディスクには、パラレルATA / シリアルATA / SCSI といった規格が存在し、PC においては今も昔も ATA が主流です。現在もパラレルATA ハードディスクは販売されていますが、よりフレキシブルで転送レートの高い シリアルATA へ移行しています。
購入するのであれば、シリアルATA ハードディスクを推奨します。マザーボード(チップセット)によっては、オンボードでシリアルATAデバイスを装備するものがあります。マザーボードを選ぶ際は、この点にも着目すると良いでしょう。
パラレルATAデバイスは、どのマザーボードにも標準デバイスとして搭載されていますが、これらは DVD-ROM ドライブだけに使用し、ハードディスクはシリアルATA で分ける事でより効率的にデータ転送が行えるようになります。
ハードディスクは常に高速回転しているため、衝撃に弱く、パソコンを構成するパーツの中では電源と同じく消耗品扱いになります。(5年、長く持って 7~10年、運が悪ければ1年未満で壊れることも)
ディスプレイに出力するためのデバイスです。一般的には拡張スロットに、ビデオカードを追加することで使用します。
特に拡張ボードの中でもグラフィックス・カードは高い転送レートを要求します。3DCG ワークステーションを構築する上で最も重要視されるパーツです。
参照 => 3DCG / CAD 制作に適したビデオカードの選び方
統合チップセット、叉はグラフィック内臓といった表記のあるマザーボードの場合は、オンボード上にビデオ出力デバイスが搭載されています。この場合、ビデオカードを拡張しなくても、マザーボードから直接ディスプレイに接続する事が出来ます。
統合チップセットはノートパソコンで従来から用いられている方法で、マザーボードの製造コストは高くなりますが現在は製造コストが安くなったため、バリューPCや省スペースPCの殆どは統合チップセットとなっています。
3DCG制作においては、専用のビデオカードが必要となるため、このようなパソコンは3DCG制作に適しません。
ビデオメモリにマザーボード上のメインメモリを利用するため、ビデオメモリ分のメモリ容量が減るだけでなく、通常のメモリアクセスとビデオ・メモリアクセスが帯域を奪い合うためPC全体のパフォーマンスが低下します。
例えば、同じ DDR2メモリであってもビデオカードの場合は、ビデオカード上に専用のメモリを持つため高速にアクセスできます。ビデオカードの性能はメモリアクセスの速度が大きく関与しているため、オンボード上のメモリは性能面で大きく劣ります。
最近の統合チップセットは一般的な用途、高い3D描画性能を期待しないのであれば十分であり、ビデオカードを購入するより安価に自作PCが作れます。
パソコンのパーツを収めるケースです。PC/AT 互換機には大きく3つ規格(下表参照)が存在します。このうち、3DCGワークステーションに適しているのは ATXのミドルタワーサイズです。デスクトップPC で最も標準的なサイズになります。
PCケースによっては、複数の規格のマザーボードに適合するように設計されているものもあります。
筐体サイズ | 筐体のサイズは、マザーボードのサイズ規格、電源の規格に注意して選ぶ必要があります。 |
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フルタワー | 拡張ベイが多い分でかいです。サーバー向けであり、多くの製品はExtended-ATX サイズのマザーボードをサポートしています。 |
ミドルタワー | ATXサイズのマザーボードが搭載可能な一般的なデスクトップPCのサイズです。拡張ベイの数はデザインによって大きな差があります。写真はミドルタワー型、拡張ベイが多く排気に優れたレイアウトとなっているため卓上に置くには背が高いです。 |
ミニタワー | 上記、ミドルタワーの拡張ベイを少なくしたタイプでATXサイズのマザーボードを搭載する事が出来ます。卓上に置けるサイズです。スペースの都合上、大型のビデオカードが載せられないケースもあります。後述するミニタワーと見かけ上は同じサイズのものがあり、購入したけどマザーボードが乗せられないケースがあるので注意が必要です。 |
マイクロタワー | Micro-ATX サイズのマザーボードが乗るタイプです。上記、ミニタワー型と似たサイズのものもあるので注意が必要です。 |
これらのサイズにあったマザーボード、電源が必要になります。また、同じATXサイズのPCケースであっても、レイアウトや設計により、大型化している CPU クーラーの取り付けが干渉して出来ないといった事もあるので十分下調べする必要があります。
PCケースが備えているベイには以下の3種類があります。
5インチ | CD/DVD などの光学ドライブなどを収納するベイです。 |
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3.5インチ | フロッピードライブやMOドライブなどを収納するベイです。 |
3.5インチ シャドー |
主に 3.5インチ内臓ハードディスクを格納するベイです。RAID を構築する場合は多くのシャドーベイが必要になります。熱がこもらないようなレイアウトが配慮されているかは重要です。 |
特にパフォーマンスが重視される 3DCGワークステーションの場合で、RAID-0 を考えている方は、3.5インチ・シャドーベイは多い方が良いでしょう。また、ケース内の熱を効率的に排出できるレイアウトの PCケースがお勧めです。
PC/AT 互換機のケース(筐体)には、3.5 インチと5 インチサイズの拡張ベイが用意されています。最低限、必要な拡張ドライブは以下の2つです。
OS のインストールを行うために必要になります。Windows VISTA では DVD-ROMディスクで提供されるため、DVD-ROM が再生可能なドライブが必要です。
DVD-ROM が再生可能なドライブは、CD-ROM も再生できます。また、CD-R / DVD-R - RW/RW+ などの書き込みに対応したマルチドライブも実売 5,000円 程度に価格が落ちてますので、バックアップも想定するとマルチドライブは必須のパーツといえます。
光学系ドライブは従来のパラレルATA(UltraDMA) で十分な帯域が得られており、PC/AT互換機の標準デバイスでもあるため、現在も従来のATAPI ドライブも販売されています。初心者の方は接続が容易なシリアルATA のドライブをお勧めします。
USBメモリの普及により、3.5インチ・フロッピーを使用する機会はめっきり減ったと思いますが、システムボードの BIOS 更新時、システム復旧時に必要となる場合があります。
自作PCであれば3.5インチ・フロッピードライブは必須といえるパーツです。
CD-R があれば代用は利きますが フロッピードライブの方が確実です。
接続するためのケーブルも必要です。電源ケーブルは電源に、ハードディスク、フロッピードライブ、光学系の内臓ドライブなど基本的なケーブルはマザーボードに付属していますが、点数が少なかったり機器構成によっては不足する場合もあります。
必要なパーツが全て揃っているとして、慣れた方であれば組立て自体は1時間も要しません。OS のインストール作業を含めて2、3時間というところでしょうか。むしろ、その後の設定作業に時間を要します。
OS のインストールが終了したらインターネットに繋げる環境を整え、最新のデバイス・ドライバをネットから入手してインストールはお約束です。追加したハードウェアの動作確認が一通り終わると、自分が使用するソフトのインストールや環境設定等を行います。自作したパソコンでネットを見て一息つく頃には1日が終わっているという感じでしょうか。
私の場合、異なる手法で行うバックアップやリストア環境構築、Linux や Windows 2000 / XP / 64bit XP のマルチブート環境の構築なども行うので 3~4日程要します。構築するシステムやスキルによっても違います。
以上が PC/AT互換機を構成する主要パーツです。それぞれのパーツには複数の規格が存在し、組み合せを誤ると物理的に組立てられない事になります。PCを自作するにあたって、それぞれの規格や特徴を理解した上でないと自作は敵いません。
ここまで読まれて 「だめだこりゃ」 と思われた方は自作PCは避けた方が賢明です。3DCG制作を目的とした場合は、BTO (受注生産)、中でもカスタマイズ性の高いHPや DELL の CGワークステーションをお勧めします。自作の場合と最終的なコストは殆ど変わりません。
一つ一つのPCパーツに拘りたい > 手間 & リスク
が成り立たない方はワークステーションを購入した方が幸せになれます。ただし、よりパソコンに近づきたい、スキルアップしたいというのであれば、自作PCに挑戦する意味は大いにあると思います。
インターネットの普及によりパソコンが一般家庭に普及して久しいですが、ここ数年パソコンを自作するユーザーも増えており、価格COM の掲示板からもそれが伺えます。
私の場合、Windows 95 / NT 以前から自作オンリーですが、PCパーツもパソコンの普及に伴い大きく変化しています。特にマザーボード上により多くのデバイスを詰め込む傾向にあり、LAN や Sound は今や当たり前となっています。
それぞれのパーツに拘る、過去に資源を使い回すといった拘りユーザーにとっては寂しい限りですが、反面初心者にとっては選定するパーツが減るためPC自作の敷居は低くなっています。また、販売されるPCパーツもより個性的な製品も多くなったように思います。
他にもUSB機器やシリアルATA の登場により、周辺機器の設定や増設も容易になっています。