クルマの構造、仕組みを理解してクルマを運転するのとそうでないのとでは運転技術に大きな差がでます。(教習所で習いますよね)
コンピューターネットワークにしても、ちょっとした仕組み、知識のあるなしで無法地帯であるインターネットから身を守る事が出来ます。
パソコンにおいても同様で、パソコンが自作できれば大方仕組みを理解できるため、よりコンピューターを身近に感じる事が出来るようになります。
パソコン操作の技術に差が出るのは、クルマの運転技術と同様だと思います。
PC とは PC/AT互換機の事であり、一般の方は Windows が動作するパソコンと考えてもらって差しさえありません。PC/AT互換機は規格が統一されており、様々なメーカーがPC/AT互換機用のパーツを販売しています。これらのパーツを組立てる事でオリジナルのパソコンを作る事が出来ます。
PC/AT 互換機を構成する主要パーツの概要です。自作をはじめるにあたって、知らなければ先に進めない事柄です。それぞれの詳細、パーツ選びポイント、注意点は追って説明します。
PC のベースとなるメインフレーム(基盤)です。この基盤に後述するCPUやメモリ、拡張カードを取り付ける事になります。パソコンの基本性能、安定性を決定する最も重要なパーツの一つです。
殆どは台湾製(設計・製造)であり国内メーカーで PC/AT互換マザーボードを設計、単体販売しているメーカーは存在しません。TYAN などのUSメーカーも流通しています。
一般のデスクトップは ATX 、省スペース型に一回り小さい Micro ATX 、更に小型のキューブPCなどに用いられる Flex-ATX といったサイズの規格がありますが、サイズが小さくなるほど拡張性は乏しくなります。 同様にPCケース(筐体)も同じ規格のものが存在します。
ATX | PC/AT互換機の標準サイズの規格です。マザーボードにもよりますが、拡張性の高いサイズです。上の写真はATXサイズのマザボです。ミニタワー、ミドルタワー、フルタワーなど一般的なサイズのデストップPCはこのサイズのマザーボードになります。 |
---|---|
Extended-ATX | 複数のCPUを搭載できるサーバー用途のマザーボードの規格で、上記ATX よりも一回り大きなマザーボード規格です。ATX PCケースの中にはExtended-ATX サイズのマザーボードがのるものもあります。 |
Micro-ATX | ATX を一回り小さくしたサイズで、省スペースPC に使用されている規格です。マイクロタワー、スリムサイズのバリューPC に利用されています。拡張性は乏しく、多くは統合チップセットのマザーボードであるため、3DCG制作に適さないマザーボードです。 |
Flex-ATX | キューブPC など省スペース最優先のPCで使用されるサイズです。拡張性は皆無で、必然的に統合チップセットとなります。同じく3DCGワークステーション用途に適さないマザーボードです。 |
外にはATXの後継としてインテルが提唱していたBTXという規格も存在しますが、BTX 規格は立ち消えとなっています。
チップセットとは、マザーボード上のデバイスを制御するチップの事で重要な働きを担っています。このチップセットによって利用可能なデバイスの種類が決定します。
CPUのように取り外しや交換は出来ないため、 マザーボードを選ぶ事とチップセットを選ぶ事は同義と考えてもらってさしさえありません。つまり、使用されているチップセットを基準にマザーボードを選ぶ必要があるという事です。マザーボード・メーカーの WEBサイトではチップセットの種類によりマザーボードが分類されています。
同じチップセットでもマザーボードの設計によって利用可能なデバイスは異なります。
マザーボードを経由して拡張ボードに電源を供給したり、ハードディスクなどに直接電源を供給するパーツです。ATX 電源、Micro ATX など小型PCに使われる SFX 電源 など筐体にあったサイズの電源が存在します。
CPUとメモリをケチっても電源はケチるなというほど、電源の品質はPCの安定動作に大きく影響します。電源の質とは容量の事ではなく、ノイズの少ない安定した電源が供給できるかという事です。Pen 4 / Athlon XP から 電源の品質にシビアになりました。電源が不足するとマザーボードの寿命の低下、故障の原因となる事もあります。
電源周りの動作不良は再現性がなく、自作歴の長い方でも問題の特定に時間を要す事もあります。構築するパーツ構成、点数によってパソコンの消費電力が決まりますが、ゆとりを持った大き目の電源が必要となります。
特に最近のマルチコアCPU や ビデオカードはより多くの電力を消費します。使用するビデオカードによりますが、3DCG ワークステーションでは最低でも 500W 以上は必要かと思います。
中央演算処理装置の事でパソコンの性能を決定付ける重要なパーツです。人の体で言えば脳にあたるパーツです。クロック数の高いCPU程、高性能、つまり演算能力が高いとされますが、必ずしもそうではありません。
高性能 CPU は Intel CPU と Intel 互換CPU である AMD社のCPUの何れかになります。互換と言ってもマザーボード、チップセットは、それぞれの CPU に対応している必要があります。現在は高クロック化による性能向上は技術的に限界となったため、1つの CPU に複数のコアを乗せる並列処理CPUが主流となっています。
並列処理を生かすにはプログラム側が並列処理に対応している必要があり、4コア以上の CPU は 3DCG制作者にとっては夢のようなCPUですが、一般の方にとっては電気代が無駄にかかるだけの CPU となります。
記憶装置の一種で高速に動作します。大雑把に説明するとハードディスクに記録された情報をメモリ内に読み込み、後は CPU と メモリ間のやり取りで処理が行われます。ハードディスクでは速度が遅く、性質上適さないからです。
パソコンの電源が落ちた場合、保存していないデータが消えてしまう現象ですが、これはメモリは電源供給されていなければ情報を保持できないために起こります。データをセーブするという行為は、メモリ内の情報をハードディスクへ記録し直す行為に外なりません。
メモリ容量が大きければ、それだ多くのソフトを起動する事が出来ます。メモリ容量が不足するとハードディスクに頻繁にアクセス(スワップ)するため、著しくパフォーマンスが低下します。(作業が困難なほど) 電源投入時のOSの起動時間は、ハードディスク内の OS をメモリ内に読み込んでサービスを開始するまでの時間です。
メモリとCPUは密接に関係しており、CPU 、マザーボードにあった速度のメモリを選ぶ必要があります。CPU とメモリ間との帯域が高いほど多くの情報を短時間で捌けるためシステム全体のパフォーマンスに大きく影響します。 後述するハードディスクの速度もPCのパフォーマンスに影響します。