パーツを組立ててオリジナルPC を作るにはリスクも伴います。このページではどのようなリスクがあるのか、リスクを軽減するためのポイントについて考えます。本稿では 3DCG ワークステーションをテーマにしていますが、相性問題は自作パソコンにおいて共通するテーマです。
自作PCに伴うリスクについては、これまでに説明してきた通りですが、もう一度おさらいしておきます。
機器同士の組み合せで発生する原因不明、回避不可のトラブルです。これは初期不良ではないため、返品は出来ません。
参照 => その1: 相性問題と初期不良率について
このページは相性問題を極力回避するためのアドバイスが目的となります。
一般の家電に比べ、明らかに PC関連のパーツは初期不良率が高いです。こちらは交換が可能ですが、初心者には初期不良の判断が難しいため、大きなリスクと考える事が出来ます。
このリスクを回避する手立てはありません。言わば "運" です。
ショップの中には有料で初期不良の判断を行ってくれるショップがあります。例えば、TSUKUMOの場合、初期不良と判断されなければ、有料、初期不良であれば無料で交換してくれます。自作初心者にはありがたいサービスかも知れません。
パーツ同士の組み合せによって相性問題が発生する可能性があります。パーツを組立ててパソコンを作る以上、相性問題は避けて通れない問題です。未然に防ぐ事は出来ませんが、相性問題を極力避ける方法はあります。
最も基本的な事です。CPU、メモリ、マザーボード、ビデオカードなどパーツの選定が済んだら、それぞれの製品で不具合が発生していないか調査します。マザーボードを例に調査方法を説明すると、先ずメーカーの BIOS アップデートのページをチェックし、バージョンが頻繁に更新されていないか確認します。
更新が多いと何らかのトラブルを抱えている、安定していないなど考えられるため
そして更新内容(リリースノート)を確認します。多くは英語で書かれていると思いますが、ハードウェアに関する深刻なトラブルの修正パッチでないかなど内容を確認します。同様にデバイスドライバに関しても目を通しておきます。64bit Windows を考えているのであれば、ドライバの提供状況なども確認しておきます。
他には全く同じ構成で組んでいる方のブログでも見つかれば安心できますが、先ず無理です。パーツ単位で検索をかけて使用者の意見を探します。SNS を利用するのも良いともいますが、私は経験がない(興味がない)のでよく分かりません。
最近のマザーボードは、オンボード上に LAN / SOUND デバイスを持つ事が一般的で少し高めの製品となると RAID などのストレージ・デバイスをオンボードに持つマザーボードもあります。
このような一般的なデバイスは、特に気に入った拡張ボードがなければ、オンボードで済ますと異なる機器同士の相性問題のリスクを減らす事が出来ます。ただし、ビデオカードに関してはオンボードのVGAは 3DCG 用途には適しません。
様々なデバイスをオンボードに持つマザーボードの場合、逆にパーツを追加した場合にオンボード・デバイスと相性に遭遇する確立が高くなるのでは?という見方も出来ると思います。
しかし、パーツの組み合せパターンは大幅に減るため、問題が表面化する可能性が高く、既知の不具合としてメーカー側が対策に乗り出す可能性も高くなります。つまり、相性問題が相性問題ではなくなる可能性が高いと思われます。
放置されるケースや次のリビジョンで改善されるケースも多いです。この場合、諦めが肝心と言えるかも知れません。
複数の拡張ボードを使用する場合に比べ、同じ構成で使うユーザーが増えるので逆にメリットになると考えられる訳です。
関連 => その他 オンボード・デバイスについて
マザーボード上のオンボード・デバイスが多ければ、空きの I/O ポートや割り込み値、つまりシステムリソースを消費する事になります。そのため、追加する拡張ボードや機器によっては、リソースの衝突が起こる可能性も高くなります。(この場合、競合するデバイスが認識しなくなります。)
このような障害は相性とは言いません。BIOS側で IRQを強制的に割り当てる、使用していないI/Oポートを無効にして IRQ の空きを作る、ドライバ側で割り込み値を調整するなどの対策が必要になります。勘違いされている方も多いのではないかと思います。このような判断は初心者にとって難しいかも知れません。
相性保証を付けてくれるPCパーツショップで購入します。万が一、相性問題に遭遇した場合の保険です。上記予防に対して事後対策となります。ショップにより対応は異なりますが、殆どのショップは有料オプションとなっています。