前のページで公表値からビデオカードの性能を読み取る例を示しましたが、実際にどの程度のパフォーマンスが得られるのか数値だけではピンと来ないと思います。
このページでは、自作PCコンテンツで使用した Quadro FX 350 のパフォーマンスを実際の 3DCG ソフトウェア上でどの程度、動作するのか映像で紹介します。
本稿は複数ページから構成されており、誤認識を招き易い内容となっています。検索エンジンから来られた方は、右メニュー "はじめに(コンテンツの概要)" を参照して下さい。
これまで説明してきた通り、ミドルクラス以上の3DCGソフトウェアでは安定動作のため Quadro や FireGL 系のビデオカードが推奨されます。
しかし、AGPが主流だった3年程前のエントリークラスの Quadro や FireGL 系ビデオカードではアニメーション制作を視野に入れた場合、入門者に対して十分なスペックといえる物ではありませんでした。
PCI Express 以降の最新の Quadro / FireGL 系ビデオカード(2007年末) のエントリーモデルでは、GPU 性能の底上げにより、初心者に最低限必要なスペックを安価に手に入れられる事が出来るようになったといって良いと思います。
一般の方、ビジネスユーザーにとって現状では殆ど恩恵のないマルチコア、クアッドコアCPU が大衆化したため、3DCG制作者にとってはより良い環境を安価に構築できる時代となりました。
2006年初頭に発売されたPCI Expressバスの Quador FX シリーズでは更なる低価格化とGPUの性能向上によりエントリーモデルも底上げされたため、入門者や一般的な制作に関してはストレスなく制作が行える環境を手軽な価格で手に入れられるようになっています。
2007年 11月現在の Quadro FX シリーズで最も安価なエントリーモデルは Quadro FX 370 になります。Quadro FX 350 は 2006年2月発売のビデオカードで実売価格は約 3万円ですが、新しく発売された Quadro FX 370 は 約2万円で購入する事が出来ます。
パフォーマンスは公表値では FX 350 の 1.5 ~ 2倍ものパフォーマンスとなっているため、FX 350 ではなく Quadro FX 370 を購入しないと損します。
76万ポリゴン (オブジェクトサイズ 35MB)のポリゴン・オブジェクトを LightWave3D / MAYA それぞれでモーションプレビューした結果です。CRT ディスプレイをデジカメで撮影しています。
こちらの事情により、動画が削除されてしまいました。申し訳御座いません。
動画の読み込みに時間がかかる場合は、一度、ページを再読み込み(F5キー)して再度試してみて下さい。
間引かれている様に見えますが、実際はこの速度でスムーズに描画されています。
前半はフレームレート非固定、後半は 30fps に固定してます。76万ポリゴンです。
上記 LightWave 3D と同じデータ、モーションを使用し Maya でプレビューした結果です。平行光源と点光源の違いがあります。カメラからの並行光源の場合、描画は更に速くなりましたが、チラツキが発生したので点光源としています。
LightWave と比較した場合、同じビデオカードでも表示速度に差がある事がわかります。フレームレートを固定しない場合、Maya の方が高速です。
同じビデオカードでも、使用するソフトウェアによってパフォーマンスに大きな差が出るのは、こちらで説明した通りです。
IK(インバース・キネマティクス)は、CPUの処理能力に依存しますが、ジオメトリの描写は GPU 側の依存度が高くなります。
6万ポリゴン程度であれば、フレームレート非固定で 65fps ~ 86 fps の速度が出ています。
24、30fps にフレームレートを固定するとした場合、まだゆとりがあります。
最新の ver.9 でようやく Layout と OpenGLシェーディングが統一されました。ビデオカードによっては大幅にパフォーマンスが向上します。
GLSLシェーディングを使用すると全体の動作は重くなりますが、基本的にモデリング作業はパーツ単位の作業が大半を占めますので、入門者や制作用途によっては Quadro FX 350 でも十分なパフォーマンスが得られています。
αチャンネルや透明度を含む表示はGPUの負荷に大きく影響します。
GLSL シェーディング(OpenGL2.0以降)を使用した場合とそうでない場合、OpenGL 品質向上のため、描画速度もやや重たく感じました。OpenGL の実装はソフトウェア毎に異なりますが、同じビデオカードでも Maya と Lighwave 、光源一灯の場合ではビデオをみても分かるように Maya の方が描画速度は上でした。
SPECViewperf の章で説明したように価格や偏ったベンチマーク結果を当てにせず、アプリケーションとビデオカード(ドライバ)の適正も考慮する必要があり、SPECViewperf と公表値は一部のソフトではあるものの貴重なデータを提供してくれます。
"3DCG制作者のための自作PCコンテンツ" で組んだ安価な PC です。仕事で使える安定動作、常用のオーバークロックを想定しており、同じ構成でもベンチマークの結果が同じになる事はありません。目安にして下さい。
CPU | Core 2 Duo E6400 @3.2GHz (安全・安定重視のOC) |
---|---|
マザーボード | ASUS P5WDG2 WS Professional (サーバ・ワークステーション向け) |
メモリ | DDR2 800 2GHz (Dual chanel) |
VGA | Quador FX 350 - PCI Express (DDR2 128MB) |
ハードディスク | ATA100 RAID 0 構成 |
OCの内容 | メモリ帯域・バスクロックは細かく調整。電圧調整なし。 |
少ない予算で組んだ PC ですが、2007年 11月現在も Xeon や 上位CPUに匹敵するレンダリング・パフォーマンスを発揮しています。Quad コア CPU アップグレードも想定しているため、CPU の交換で2倍近く 3DCG レンダリングパフォーマンスを手に入れる事が出来ます。
前述したように 2007年 末段階の Quadro FX の最下エントリーモデル Quadro FX 370 では、FX 350 の1.5倍近くパフォーマンスが向上しており、価格も1万円も安い 2万円前後で購入する事が出来ます。
■ Quadro FX シリーズ (TSUKUMO) ~ NVS シリーズは対象外
安く探すならショッピングモール、相性保証を考えるとPCパーツショップ TSUKUMO がお勧めです。(TSUKUMOも安いですが) 当サイトは自作PC、パーツ購入に関しては TSUKUMO を推奨 しています。
入門者・SOHO向け |
FX 350 | FX 370 | FX 570 | FX 1700 |
---|---|---|---|---|
※3DCGソフト性能比 | (基準) | 1.5倍 | 2.2倍 | 3倍 |
Yahoo! 最安値 | 3万円~ | 2万円~ | 3万円~ | 8万円~ |
楽天市場 最安値 | 3万円~ | 2万円~ | 3万円~ | 8万円~ |
プロダクション向け |
FX 3500 | FX 4500 | FX 4600 | FX 5600 |
Yahoo! 最安値 | 2007年11月3日 現在取り扱い店なし | |||
楽天市場 最安値 | 万円~ | 万円~ | 万円~ | 万円~ |
350 / 370 / 570 / 1700 の中で最もコストパフォーマンスに優れているのは FX 570 です。 FX 350 は、2006年 2月発売の型遅れで メモリも DDR2 128 MB です。 ELSAでは GDDR3 と表記されており、nVIDIA の公表値と異なる。どちらかが誤植と思われます。
3Dゲーム開発やキャラクターアニメ制作が中心となる入門者の場合、扱うテクスチャ数も増える事が予想されるので、FX 570 が良いと思います。 ある程度使えるようになる頃には、FX 1700 性能は 最下モデルでも出せるようになっていると思います。身の丈にあったビデオカードを選びましょう。
性能に拘る人ほど大した物は造っていなかったりする・・・