先のページで説明したとおり、三次元空間で編集を行う 3DCG ソフトウェアのインターフェイス、操作はソフトウェアによって大きく異なっています。しかし、座標に関する概念はどの 3DCG ソフトウェアも共通します。
グローバル座標 と ローカル座標 について説明します。これらの概念を意識することで理解、習得も早くなります。別の言い方をすれば 3DCG ソフトウェアを習得する上で避けて通ることの出来ない重要な事柄と言えます。
なぜなら 3DCG 制作プロセスの全ては座標に基づいているからです。
グローバル座標とは、三次元空間そのもの(世界)の位置を表す座標です。北極点が移動する事がないように、グローバル座標で指定された座標は絶対無二の存在であり決して移動することのない座標です。
ワールド座標、絶対座標などソフトウェアによって呼称が異なる場合があります
ローカル座標とは、3D 空間に配置されるオブジェクトを基準とした座標の事をいいます。オブジェクトを基準にした座標をローカル座標といいます。つまり、ローカル座標は一つではありません。
上記、絶対座標に対し、相対座標 と呼ぶ 3DCG ソフトもあります。
アニメーション制作においてNull (ヌル)オブジェクトを利用する事があります。Null オブジェクトとはレンダリング(計算)に影響しない特殊なオブジェクトであり、任意のローカル座標を定義するためのオブジェクトと考えるとわかり易いと思います。
私は授業で学生に理解してもらうため、よく太陽系を例に説明します。グローバル座標、ローカル座標の概念を理解する上で、最もシンプルな例ではないかと思います。以下のアニメーションをイメージしてください。
この場合、太陽(球体オブジェクト)をグローバル座標 (X = 0 / Y = 0 / Z = 0) と考えます。そして、地球は 太陽を中心に公転しますが、これはグローバル座標 を基準とした回転アニメーションです。
逆に地球の "自転" と周囲を回っている月はグローバル座標を基準にして指定できません。つまり、地球の中心点 (X = 0 / Y = 0 / Z = 0)、即ち ローカル座標を基準とした回転アニメーションとなります。
この単純なアニメーションは グローバル座標、ローカル座標、ソフトウェアが提供する 親子関係 や 階層管理 を理解していなければ作成する事は出来ません。
アニメーションに限らず、モデリングやテクスチャなどこれらの座標概念は全てのプロセスにおいて密接に関係している事を覚えておいて下さい。
上記例では、地球(親)と月(子)は親子関係にあります。月は地球の座標を基準としており地球の位置(ワールド座標)が変われば、月も地球に追随する必要があります。この関係を親が動けば子に従うという意味で地球と月は親子関係にあるといいます。
親子付けは階層管理、構造の定義そのものであり、ローカル座標が 3DCG 制作に密接に関係している事を示す典型的な例です。スケルトン(骨)機能もキャラクターアニメーションを行うための親子関係が事前に組み込まれた機能です。
これらの編集機能、制御方法は、3DCG ソフトウェアによって違いがありますが、ローカル座標、グローバル座標 の概念を意識する事で 3DCGソフトの理解、習得も早まります。