3DCG 制作におけるカメラの設定は最終的な絵面を決める作業でもあります。画角や構図を決定する工程であるためセンスも問われます。ライティングと同様、3DCGソフトウェアの習得そのものに時間は要しませんが、リアリティを追求する場合、実際のカメラレンズに関する知識も求められます。
カメラに関するパラメーターは、3DCGソフトウェアによって違いがありますが、映像制作にも利用されるミドルクラス以上の3DCGソフトウェアの場合、現実のカメラレンズを模倣したパラメーターが用意されています。
単に見た目の画角しか調整できないソフトウェアも存在します。
基本は、レンズ焦点距離の操作による画角の決定 と カメラ位置によるフレーミングの決定です。画角とはパースの強さのことで現実世界においてはズームレンズと似た働きをします。つまり、広角にするかズームにするかをレンズ焦点距離で設定し、フレーミングはカメラ(視点)の座標移動で決定します。
取りあえず、これだけ抑えておけばカメラの基本操作はマスターです。
被写界深度とはピントの合う空間のことで、一般的な 3DCG ソフトにおいてはカメラ側の設定で行います。最近では低価格な 3DCG ソフトでもサポートしています。リアリティを求める上でポイントとなる機能です。
設定にはカメラ・レンズに関する一定の認識が必要になります。
現実世界において撮影時に写真がぶれる効果を表現します。3DCG においも被写体、カメラが動いている必要があります。
つまり、アニメーション制作時に使用します。これらの設定もカメラ側で行うのが一般的です。
現実世界のカメラに沿ったパラメーターが用意されているケースもあり、カメラ・レンズ、ぶれの発生する条件など一定の認識が求められる場合もあります。
パースの強さは見る人の視覚に対しスケール感に影響を及ぼします。一眼レフ・カメラでマニュアル撮影が出来るカメラ・レンズに対する認識のある方とそうでない方とでは 3DCG のカメラ操作においても大きな違いがあります。
35mm フィルム を基準にレンズ焦点距離で設定を行うのが一般的
実写背景と合成する場合、撮影機材の情報が分かればシビアな合成も可能になります。また、撮影に使用されるカメラ・レンズを意識することで作品にリアリティも生まれます。これらの知識は、3DCG に関する書籍では得ることは出来ません。
このようなパラメーターが用意されていない3Dソフトもあります。
参照 => 3DCG カメラによる映像表現と学習アドバイス
冒頭、3DCGにおけるカメラは、絵面、最終レンダリングに関係するプロセスと説明しましたが、カメラの画角の問題はモデリング作業にも影響を及ぼすケースがあります。
一般的な統合型 3DCG ソフトのパースペクティブ・ビューはカメラが兼ねることが一般的ですが、Lightwave 3D のモデラや独立した 3Dモデラーの場合、画角の決定はカメラレンズに基いた設定が行えないケースもあります。
特に日常、最も目にする人の顔などのモデリングをパースペクティブ・ビューを基準に行う場合、人の目に近い画角 (35mmフィルム / 焦点距離 50mm 相当) に合わせておかなければならない場合もあります。3Dモデラではこれら数値合わせが出来ない、叉は面倒になります。
関連 => 3Dモデリングにおけるパースペクティブ ビューの画角
証明写真が変な顔に見えるという現象もレンズと画角の問題が関係しています。3DCG においても同様です。カメラの設定が不味いと変な顔に見えます。上記、モデリングに関する説明は、作った顔に合わせてカメラを調整するのではなく、カメラ・レンズを合わせておいて顔を作りなさいよ、という事です。
このようにカメラに関する設定、機能の多くは現実世界のカメラ・レンズに対する知識がある事を前提にパラメーター、インターフェイスが提供される事が多く、一眼レフなどの撮影経験のない方はチンプンカンプンではないかと思います。また、3DCG に関しては習得する事はライティング同様、他の制作プロセスに対して僅かです。
覚えるところの少ないプロセスほど奥が深く、扱う人のセンスが問題に・・・
ページ右の関連コンテンツでも紹介していますが、構図(フレーミング)、カメラワークに関しては、一眼レフカメラ (ポートレート) や 映画、映像製作、アニメーション絵コンテなどの書籍から多くを学べます。
また、デジタル一眼レフのレンズキットも5万円を切る低価格モデルも販売されていますのでデジタルカメラの購入予定のある方は検討して下さい。説明されるよりも実際に触ってみると直ぐに理解できます。