CPUを換装することで安価にシステムのアップグレードが行える点は PC/AT互換機の魅力の一つといえますが、Intel Nehalem 世代以降 は世代毎にソケット形状が変わる傾向にあります。
大体2年のサイクルで次世代CPUへ変わりますが、AMDと違って最近の Intel はその都度、ソケット形状が変わる傾向があるため、システムの将来性は導入後、2年もあればいい方です。
来年2011年以降は SandyBridge世代へ順次置き換わる次期にあります。
Nehalem 世代のLynnfieldやClarkdaleは、ソケットH (LGA1156)でBloomfieldの (LGA1366)と異なっている上、後発でありGPU 内蔵CPU もラインナップされていた事から 2011年に登場する Sandy Bridge世代の CPU との互換性が噂されていましたが、結局、互換性がないことが判明しています。(CPU換装不可)
同様に先に出荷された Core i7 9xx は ソケットB (LGA1366)ですが、こちらも Sandy Bridge の CPU と互換性がありませんが、Sandy Bridge 世代と同じ 32nm プロセスで製造される 6コアCPU が 2011年のハイエンドに位置づけられ、第三四半期まで新 CPU の投入が計画されています。
しかし、ソケットH (LGA1156) のハイミドル Core i7 8xx シリーズを含むメインストリーム向けCPUは、全て Sandy Bridge 世代に置き換えられるため、登場が遅かっただけに "超短命" に終わることになります。(実質1年と過去にみない短命)
Sandy Bridge については、次のページから詳しく説明しますが、2011年登場する第一世代の Sandy Bridge CPU はClarkdaleと同じく GPU と CPU が一つになるという共通した特徴をもっています。
GPUの性能はClarkdaleを大幅に上回るものになりますが、ゲーム用の3D性能にフォーカスされているため、3DCG制作においては不要な機能となります。(このGPUはビデオカードと同時に使用することは出来ない)
TDP95W のLynnfield、特に HTTに対応している Core i7 8xx は 3DCGワークステーション用途に最も適していますが、Intel は このクラスも GPU 統合 CPU に置き換えるとしています。全て Windows VISTA/7 の Aero のためです。
2012年以降に登場すると見られる GPU なしの Sandy Bridge はTDP130W 以上の6/8コアになると予測されるため、非常に由々しき問題になります。以下の表は 2011年に登場する第一世代の Sandy Bridge です。互換性はなく全てGPU機能を持ちます。
CPU | コア数 | HTT | ソケット | メモリ |
---|---|---|---|---|
Core i7 8xx (Lynnfield) |
4 | ○ | LGA1156 (H) |
DDR3 1333 デュアルチャンネル |
Core i7 26xx (SandyBridge) |
4 & GPU |
○ | LGA1155 (H2) |
DDR3 1333 デュアルチャンネル |
以下の表は2012年以降に登場するとみられるGPUなしの 第二世代の Sandy Bridge です。GPUを省略した分、コアを増やしてハイエンドを強調したCPUとなるため消費電力も高くなります。現在のBloomfieldに該当する SB世代のCPUとなります。
CPU | コア数 | TDP | HTT | ソケット | メモリ |
---|---|---|---|---|---|
Core i7 9xx (Bloomfield) |
4 & GPU |
130W | ○ | LGA1366 (B) |
DDR3 1066 デュアルチャンネル |
SandyBridge 第二世代 |
8 | 130W | ○ | LGA1356 (B2) |
DDR3 1600 トリプルチャンネル? |
このようにハイエンドは高消費電力モデル、それ以外はビデオカード不要のゲーム用CPU という差別化が明確にされてしまうと、仕事において使えるマザーボードの選択肢も限定される可能性もあり、専用ビデオカードを必要とする分野は LGA1356 に移行せざるを得なくなります。
また、CPU 内部のGPU性能が高いと低価格のビデオカードが市場から消える可能性があり、消費電力の低いエントリークラスの OpenGL ビデオカードはこれらのチップを利用しているため、同じように影響を受ける可能性があります。
将来的に Sandy Bridge 以降の一般市場向けCPUを利用したワークステーションは、信頼性がない上にCPU、ビデオカードとも消費電力の高い、無駄に高価なPCしか選択肢がなくなるのではないかと 不安要素の方が多くなっています。
全てにおいてGPU統合自体悪い話ということではない事に留意してください。従来のグラフィック統合型チップセットより、3D性能(DirectX)の性能を高めてシステム全体の消費電力が抑えられるため、むしろ一般的には良い話です。
個人的には、市場の動向を見てLynnfieldCore i7 のような GPU を持たないバランスのとれたCPUが登場するまで静観した方がベストだと考えています。
Sandy Bridge 第一弾が市場に投入される直前の段階は、Nehalem 世代後発のLynnfield(Core i7/Xeon) は、安定性やコストの面で最もこなれており、将来性はないものの、新しい世代が登場する直前は、ある意味、最高のタイミングといえます。
Intel の発表では、2011年は かなり早い段階でハイエンドを除く現行のメインストリーム向けCPUを GPU内蔵の Sandy Bridge CPU に置き換えるとしています。つまり、本稿で推奨している CPU は早々に消える可能性が高いという事です。
クロックが若干上昇しているメリットはあるものの、マザーボードも刷新されるため安定性は未知数です。特に仕事で使う事を考えている方は避けた方が賢明です。(登場したばかりの頃は、マザーボードが安定しない事はよくある事なので)
同じマザーボードでも初期ロットは問題を抱える事が多く、BIOS で対応出来ず次期リビジョンで対応する事が多いため、将来的にCPUを換装する事に期待しても無駄になる事はよくあります。
Sandy Bridge "TDP95W以下 - 4コア-GPUなし - 高クロック版" の Core i/Xeon が登場するかどうかは分かりませんが、出るとしてたら かなり先の話になるため、ワークステーション用途を想定し、 Sandy Bridge 静観を決め込む場合は、早々に手を打った方が良いと思います。
ちなみに私は Q6600@3GHz でそこまで凌げないと考え、コスト優先で急いで Core i7 870 、Windows 7 で組みました。(安定性、ベンチマークについては追って紹介)