3DCG イメージはレンダリング(計算)によって描かれます。3DCG におけるレンダリング方式には幾つかの種類があります。現在、最も普及しているレイトレーシング法、ラジオシティ法では、光源、オブジェクト、視点間のレイ(光の軌跡)を計算する事によってオブジェクトのサーフェイスを求めています。
レンダラで選択するレンダリング方式によって計算に要する時間や表現できる材質や効果は異なります。一般的に表現力を求めるほど計算に時間を要します。
このページでは使用するレンダリング方式により異なるライティング アプローチについてお話します。
CPU の処理能力が 100MHz ほどしかなかった昔は、フォンシェーディングやスキャンライン方式をベースとするレンダラが主流でしたが、現在の統合型 3DCGソフトの多くは、レイトレーシングとラジオシティをベースにしたレンダラを内包しています。
レンダリングに要する時間はCPUの処理能力に大きく依存しており、パソコン(CPU)の性能向上に伴い、ベースとなるレンダリング方式はより高品質な方式に移行してきた経緯があります。例えば、昔はフォンシェーディングやスキャンライン方が主流でしたが、現在の統合型3DCG ソフトではレイトレーシング方式を採用しています。
また、昔は実験的な扱いだったラジオシティも、2007年現在はCPU の処理能力向上、デュアルコア、クアッドコア CPU といった並列計算処理の大衆化により、現実味が出てきたといって良いと思います。
どのような計算方式に対応しているかは、それぞれの3Dソフトウェアが持つレンダラによって違いがあります。代表的なものにスキャンライン、レイトレーシング、ラジオシティ計算があります。
実装にはレンダラによって差があり、複合的に利用できるものもあります。例えば、部分的にレイトレースで反射や屈折を表現し、それ以外はスキャンラインで行う、叉は、環境光のみをラジオシティで求めるといった具合にです。
これはそれぞれの計算方式にはメリット、デメリットがあるためで特にレイトレーシングとラジオシティではライティング・アプローチは全く異なります。つまり、同じシーンをレイトレーシングでレンダリングした結果をラジオシティで計算したからといって単純にリアルな計算結果が得られるという訳ではありません。
それぞれの特性を理解した上で単純にレンダリング方式を切り替えれば良いという訳ではなく、レンダリング方式に応じたライティングが必要になります。
それぞれのレンダリング方式におけるライティングアプローチは次のページで具体的に説明します。
使用するレンダリング方式にあった適切なライティング作業を行う必要があり、これを理解するにはそれぞれの計算方式がどのようにしてサーフェイス(面)を求めているか一定の認識が必要になります。
どのようにすればリアルな表現が可能なのか、3DCG に取り組まれる方は誰もが考えることだと思います。3DCG によるリアルなイメージの表現は、
現実世界の 環境光 を如何に模倣するかにかかっている
と言って差しさえありません。
つまり、この環境光をどのように作り出すかがポイントになります。レイトレーシング方式とラジオシティでは、この環境光の表現方法は全く異なります。
次のページからは、レイトレーシング、ラジオシティ それぞれの特徴とライティングアプローチについてお話します。