ここで紹介したレンダリング コストに関する考察は、ライティングとレンダリングの関係に焦点を当てて説明しています。計算速度に影響を与えるのは、何もライティングに限った話ではありません。
基本的な要素では、複雑で密度の高いジオメトリを持つオブジェクトを得意、不得意とするレンダラもありますし、適用するシェーダーやプラグインなど外部モジュールが足を引っ張る場合もあります。
ここで使用した3つのレンダラの特徴をまとめておきます。何れもレイトレーシング方式です。
Lightwave 3D が内包する独自レンダラの特徴は以下の通り。設計に古さを感じますが光源が増えてもレンダリング速度の低下は他のレンダラに比べ少ないのが特徴です。この特徴は昔から知られており、レイトレーシングにおける環境光を模倣するような絵作りに非常に適しています。私が最も気に入っているLighwave の良い部分です。
Maya が従来から持っている独自レンダラです。Maya が独自で提供する機能との親和性は高いのですが、扱えるレンダリング方式はレイトレースのみであり、完全に進化は止まっています。独自レンダラとMental Ray をサポートする 3ds Max も独自レンダラの進化は止まっています。
Maya は独自レンダラ以外にもつ外部のMental Rayレンダラです。どちらかを選ぶことが出来ますが、制約も多く Maya が提供する機能との親和性が良くありません。XSI のようにバッサリ独自レンダラを切り捨てる事はしないのでしょうかね。
Mental Rayは柔軟性、拡張性、表現力に優れたレンダラですが、採用している XSI や 3ds Max に関してもこれらの特徴は一様に共通するように思います。
他にも、CPU の並列処理における要素も考える必要があります。デュアルコア、クアッドコアなど家庭用PC にも並列処理が可能なCPUが登場していますが、コア数やCPUの数に応じて単純に計算速度が速くなる訳ではありません。
CINEMA 4Dのように2スレッド・レンダリングの場合、理論値いっぱいの 1.8 倍まで可能な高度に並列処理に最適化されたレンダラもあれば、1.5倍が関の山のレンダラも存在します。また使用するシェーダーやプラグインなどのプログラムも並列処理に対応している必要があり未対応の場合だとそれらが計算速度の低下を招く事が良くあります。
ここでの事例は、ライティングとレンダリングの関係に絡んでレンダラの特徴を把握する重要性の説明が目的であって、ソフトウェアの比較やCPU の比較を目的としている訳ではありません。(そういう指摘があった)