このページでは、これまでに示してきたアプローチ以外の 3DCGライティング アプローチのポイント、その他の具体例について説明します。はじめて 3DCG に取り組まれる方は何らかの足掛かりになると思います。
3DCG 制作工程におけるライティングの順番ですが、特に空間演出がキーとなる建築や室内パースにおいては、基本的にマテリアルやテクスチャが適用される前にライティングを行います。
余計なレンダリングコストを掛けたくないのも理由の一つですが、環境光をライトで模倣する絵作りではマテリアルやテクスチャが絵作りの邪魔になる事が多いためです。
環境ライティングは上方だけでなく下方からも行う必要があります。例えば、床が赤ければ、球体はイルミネーション効果を受けて下側は僅かに赤っぽい色になる筈です。これを補うために赤色のアンダーライトが必要になります。
このとき、球体に何らかのテクスチャが適用されてると、どの程度の影響を球体に与えれば良いのか判断が難しくなります。純粋にライティングに注力できるほうが問題の切り分けが明確に行えるメリットがあります。
3DCG ソフトによっては、レンダリングの設定でテクスチャやマテリアルの計算をまとめて無効にできる製品もあります。問題の切り分けに利用すると良いでしょう。
自動車の塗装面のような鏡面反射の強いサーフェイスや光を透過する物質など光源、環境が密接に関係する質感もあります。これらのケースでも最終シーンの光源や環境など配慮してマテリアル(表面材質)の設定を進める必要があります。
光と影は表裏一体であり、3DCG において影のある、なしでは全く異なったイメージになります。
シャドーマップとは画像を投影して擬似的に影を表現する手法で、レイトレーシング・シャドーよりも高速です。(そうでないレンダラも存在する) 品質を上げるには投影マップに高い解像度が必要になるため、メモリを浪費する、正確さに欠けるといいった欠点もあります。
キーライトではない環境ライトの場合、解像度が低くてもエッジをぼかす事で誤魔化しが利かないか検討します。
レイトレース・シャドーではレンダリングコストが必要ですが、アニメーション制作の場合、最初の1カットだけをレイトレースにより正確な影を出力し、テクスチャとして扱うことでアニメーション制作において大幅に計算コストを削減することも可能です。
光源、オブジェクトが動かないケースに限られますが、単純なフライスルー アニメーションにおいて計算コストを下げる事が出来ます。これらの機能が提供されている必要があります。(XSI / Maya は持っています。)
【ラジオシティの場合】 でも触れていますが、オクリュージョン効果とはラジオシティ特有の柔らかい陰影のことです。計算コストの高いこのような効果をテクスチャに焼きこむ事でレイトレーシングでも柔らかい陰影を表現出来るソフトウェアもあります。
ハイエンド御三家はこれらの機能を搭載しています。LightWave 3D ではフリープラグインが配布されています。(並列処理未対応)