このページでは、前のページで説明した イメージ・ベースド・ライティング に必要は HDR (High Dynamic Rengi) イメージ作成の流れを簡単に説明します。
3DCG の醍醐味ともいえる従来のライティング工程を行わず、シーンをフォトリアルにライティングする事が可能な訳ですが、説明したようにレンダリングコストが高く、自由度の無さは絵描きとしては、全く面白みの欠けるアプローチです。
HDR が特殊なイメージフォーマットである事は、前のページで説明した通りですが、作成するにも機材とソフトウェアをそろえる必要があります。先に言っておきますが、一般的に使用される画像処理ソフトや、テクスチャ制作に使用していたコンパクトデジカメなどは利用できません。
本格的に取り組むのであれば、ある程度の出費は必要かと思います。イメージ・ベースド・ライティングに対応した 3DCG ソフトをお持ちで、絵画的なライティング・テクを必要とせずにフォトリアルなイメージが得られる事に興味のある方は興味の尽きない所ではないでしょうか。
HDRI を作成するのは機材と手間、時間が必要です。以下に大まかな手順を説明しますが、おそらくは手間の多さにドン引きすることと思います。
HDRイメージの制作に必要なハード、ソフトは以下の通りです。機材に関してはアイデア次第で流用の利くものがありますのでこれで無ければいけないと言う訳ではありませんのであしからず。
HDRI を作成するには、最低3つ以上の RAW データが必要になります。RAW とは生、つまり何も加工されていない情報を意味します。デジタルカメラにおいては、CCD によって記録された直後のデータです。
デジタル一眼レフカメラでは、このRAW 情報をそのまま記録する事が出来ます。HDRI の作成には、最低、3つ以上の RAW データが必要で通常、前後に露出を変えて撮影を行います。
また、3Dマッピングに適したイメージにするため、撮影にも工夫が必要になります。よく用いられる手法がクロムボール(東急ハンズで売ってる)に移り込んだ風景を撮影する方法です。
180度を越える魚眼レンズを垂直に上に向けて撮影する、立方体形式のマッピングを想定して複数のカットを接続するなど幾つかの方法が考えられますが、いずれにしても撮影をどうするかが最大の難関といえます。
魚眼レンズで垂直上方撮影は手軽ですが、一眼レフ用の魚眼レンズは高価です。
デジタル一眼レフの選び方については別のコンテンツで説明していますので参考にして下さい。仕組みについても触れてます。
参照 => 一眼レフ デジタルカメラの特徴と選び方 ~ ネットショップ運用
HDRI の生成は、Photoshop CS2 以上で行います。注意すべき点は、デジタル一眼レフに記録される RAW 情報には決まった規格が存在しないため、Photoshop がお使いのデジタル一眼レフ(機種)に対応している必要があります。
つまり、未対応のデジタル一眼レフの場合、Photoshop CS2 でも開けない事があるので注意が必要です。Photoshop CS の一眼レフ対応状況については、下記 URL で確認することが出来ます。
参照 => デジタルカメラRAWファイルのサポート
RAW 情報の扱いはメーカー別ではなく、機種によって異なるケースがあるので注意が必要です。
上記Photoshop CSで生成した HDRI を 3DCG の環境テクスチャに適したイメージ加工する必要があります。環境テクスチャとは、従来からある反射する素材に擬似的に写りこませるためのシームレスな画像や実際の背景として使用する画像と同じです。
基本的には、ドーム形状に画像を貼り付ける、立方体形式で画像を貼り付ける、または内部的に環境マッピングを提供している3DCGソフトもあります。いずれにしても撮影の段階から、これらのマッピング方式を考慮するといった手間が必要です。
上記イメージは、HDR Shop という HDR画像を 3Dマッピングに適した形式に自動的に変換してくれるツールを使用して作成した例です。一番左の画像が元になるクロムボールに映り込んだイメージをデジタル一眼レフで撮影し、Photoshop CS で HDR イメージに変換した画像です。
中央はHDR Shopにより立方体環境マッピングに適した HDR に展開した画像、右は球体環境マッピングに適した HDRI に展開した画像です。マッピング方式は 3DCG ソフトによって差があるのでそのまま適用できるのは右の球状マップでしょうか。
この HDR Shop 1.0は教育機関のみの利用が認められており、最新の 2.0 は有料で利便性を重視した規格OpenEXR画像にも対応しています。
このように 3DCG をこれから始められる方にとって必要な機材や道具を揃えるのは勇気と資金が必要になります。最近では 3DCG制作者向けに加工された HDRI 素材集も販売されていますので、検討して見て下さい。
業界でよく利用されている HDR 素材集 は、下記リンク先で紹介しています。ページ右のメニューも参照して下さい。
参照 => 3DCGのススメ "独学・学習の手引き" 素材集の項目
上記、HDR SHOP のサイトより HDRI のサンプルも配布されています。素材集購入の前に、IBL とはどの程度のものか、自分にとって理にかなったものか、ご自身の3DCGソフトで試してください。
HDRI に限った話ではありませんが、環境マッピングはレイトレーシングのレンダリングのコスト抑えるために擬似反射マップとしても頻繁に活用しますし、実際の背景として利用する事で制作コストを抑える事が出来るため、3DCG に関する素材集の中では最も利用価値の高いジャンルの素材集ではないかと思います。