3DCG制作に適したパソコンを選ぶ上で、CPU の選択は重要です。 ここでは、AMD プロセッサ を搭載したパソコンを購入する場合のCPUを基準としたパソコン選び、という観点で抑えておきたいポイントを説明しています。
2005年に書かれた記事で内容は古くなっています。2007年末から2008年初頭にかけての CPU に関する説明は3DCGワークステーション導入アドバイスで説明しています。
シリーズは数字が大きいほど高いパフォーマンスである事を示しています。 例えば、同一シリーズでクロック数の違う製品は、270 シリーズは Opeteron 64 のデュアルコアプロセッサである事を示しています。現在 270 / 275 二つのクロック数のCPUが出荷されています。
下一桁の数字が大きいほうが高性能である事を示しています。
AMD のサーバー用途向けプロセッサです。シリーズの 800 は 8 way 、最大8つのマルチプロセッサに対応している事を意味しています。自動車なら4台ほど購入出来るお値段です。
シリーズ | ソケット | メモリ | マルチプロセッサ |
---|---|---|---|
880 |
Socket 940 | ECC Registered DDR (Dual) 128bitBus |
8 way |
860 |
Socket 940 | ECC Registered DDR (Dual) 128bitBus |
8 way |
3DCG制作においては、個人が3DCG ソフトを操作するような製品ではなく、レンダリングサーバーとしての用途になります。映画などVFX映像を専門に手掛けるようなプロダクション向けになります。
マルチプロセッサに対応したアプリケーションで最も高いパフォーマンスが得られる CPU です。主に、マルチプロセッサを使用する分野としては、3DCGレンダリングや物理計算などの科学計算、映像編集、エンコーディングが挙げられます。
DATA 270シリーズは、Opteron のデュアルコア版であり、1つのCPUに2つのCPUを持っています。2way まで対応しているため、2 way で 4-CPU分の分散レンダリング環境を構築できる事になります。3DCG制作においては、本格的な映像制作などに適します。 安定性が重視されるため、高価なECCレジスタードメモリが必要になります。また、マルチプロセッサ用のマザーボードも高価です。 関連 => AMD と Intel のマルチコアCPUの違い アドバイス |
シリーズ | ソケット | メモリ | マルチプロセッサ |
---|---|---|---|
280 |
Socket 940 | ECC Registered DDR (Dual) 128bitBus |
2 way |
270 | Socket 940 | ECC Registered DDR (Dual) 128bitBus |
デュアルコア 2 way |
100 |
Socket 940 | ECC Registered DDR (Dual) 128bitBus |
1 way |
Socket 939 | Unbuffered DDR (Dual) v |
AMD 新CPU 、64bit シングルコア プロセッサの高クロック版 Athlon 64 FX のデュアルコア版が登場しています。(2006/1/11 追記)
参照 => デュアルコア版Athlon 64 FX登場、2.6GHzでL2 2MBのFX-60
下記、Athlon 64 X2 と比べ、L2キャッシュは2MBに拡張されており相対的なパフォーマンスは、Athlon 64 と Athlon 64 FX と同じ関係です。
シリーズ | ソケット | メモリ | マルチプロセッサ |
---|---|---|---|
64-FX 60 |
Socket 939 | Unbuffered DDR (Dual) |
デュアルコア 1 way |
■ Athlon 64 X2 を搭載できるパソコン DATA Athlon 64 X2 は、マルチプロセッサ非対応の Atlon 64 シリーズのデュアルコア CPU となります。マザーボードの交換が必要な Intel のデュアルコアCPUと異なり、従来の Athlon 64 CPU-939pin マザーボードがそのまま利用できるため、Athlon 64 を利用していたユーザーはBIOS のアップデートだけで Athlon 64 X2 へ移行できるメリットがあります。また、Intel のデュアルコアと異なり、従来のシングルコアのクロック数を落とさないでマルチコア化に成功しているため、非常に高いレンダリングパフォーマンスを持っています。 3DCG制作においては、個人映像クリエイターや業務用途、映像制作に最も適したCPUと言えます。 関連 => AMD と Intel のマルチコアCPUの違い アドバイス |
シリーズ | ソケット | メモリ | マルチプロセッサ |
---|---|---|---|
64-X2 |
Socket 939 | Unbuffered DDR (Dual) |
デュアルコア 1 way |
AMD の主力メインストリーム向けのハイパフォーマンスCPUです。Photoshop などのグラフィック系ソフトウェアや、ゲーム用途などマルチプロセッサを使用しない一般的なアプリケーションが中心となる場合や、高クロックCPUであれば3DCG制作用途にも十分対応できるCPUです。
Athlon 64 FX プロセッサを搭載できるパソコン DATA Athlon 64 FX は、下記 Athlon 64 の高クロック、上位バージョンになります。AMDのシングルプロセッサで最高のパフォーマンスを持つCPUです。 マルチプロセッサの恩恵が得られないペイントドロー系、グラフィックソフト系のアプリケーション、ゲーム用途においては最高のパフォーマンスが得られます。 逆に 3DCG レンダリングなど並列処理が可能なプログラムにおいては、デュアルコアCPU の方が高いパフォーマンスを得ることが出来ます。価格もAthlon 64 X2 と大差ありません。 |
シリーズ | ソケット | メモリ | マルチプロセッサ |
---|---|---|---|
64-FX |
Socket 940 | Registered DDR (Dual) |
1 way |
Socket 939 | Unbuffered DDR (Dual) |
コストパフォーマンス優先 拡張性に優れたタイプ DATA 3DCG制作においては、ソケット939pin タイプの Athlon 64 4000+ 以上のCPUであれば、シングルプロセッサであっても十分なレンダリング速度が得られます。64bit 版 3Dグラフィックソフトを使用することで、趣味であれば入門用途から本格的なイメージ制作にも耐えられます。 アドバイス |
シリーズ | ソケット | メモリ | マルチプロセッサ |
---|---|---|---|
64 |
Socket 939 | Unbuffered DDR (Dual) |
1 way |
Socket 754 | Unbuffered DDR (Single) |
購入のポイント・アドバイス
ソケット939 の低価格なシングルコア Athlon 64 CPU で 価格を抑えておき、速度に不満を感じたたり、高クロック版 Athlon64 X2 が発売されたら交換するという考え方もあります。この場合、CPUを交換するだけで大幅にパソコンの性能をアップグレードする事が出来ます。
本格的な 3DCG 制作には適さない CPU ですが、この CPU が搭載されたパソコンは価格が安いため入門用のパソコンとしてはおすすめです。インターネットやビジネスアプリケーションにおいては十分なパフォーマンスです。
DATA 以前のメインストリーム向けCPU Athlon XP (32bit CPU)が Sempron (センプロン)と名称変更されバリューCPU となっています。現在、64bit CPUへ段階的に移行しています。 本格的な3Dグラフィック用途には適しませんが、高クロック、64bit CPU であれば、3DCG 入門用途には最適です。SSE3 には現在のところ対応していませんので、同クラスでは Celeron D の方が有利かも知れません。 アドバイス |
CPU ブランド名 | シリーズ | ソケット | メモリ | マルチプロセッサ |
---|---|---|---|---|
AMD Sempron | 64bit CPU | Socket 754 | Unbuffered DDR (Single) |
1 way |
32bit CPU | Socket 754 | Unbuffered DDR (Single) |
||
前のAthlon |
SoketA | Unbuffered DDR (Single) |
3DCG 制作に関するポイントは、SSE までしかサポートしないため、Athlon 64 に比べ劣ります。また、メモリのデュアルチャンネルをサポートしないため、相対的なパフォーマンスもかなり劣ります。
先進の(HyperTransport) PCI-Express はサポートされないため、将来性はないです。高クロック版であれば、入門向け3DCG 制作用途にも対応できますが、パフォーマンスに不満を感じたらパソコンを買い換えるという事になります。
64bit CPU へ移行も始まっているため、Sempron プロセッサを搭載したバリューPCの購入を考えている方は、今しばらく様子を覗った方が良さそうです。(2005/11/25)
SSE3 は非対応、SSE2 に関しては90nmプロセス以降754pin パッケージ版のみ対応
SSE とは、マルチメディア関連(浮動小数点)の処理(エンコードや3Dなど)などよく利用される命令をセットとし、インテルプロセッサ(CPU)が特定の特定のコードで掛れた命令を効率的に処理できるようにする仕組みです。これらのSSEにそって開発されたソフトウェアは高速に動作します。
このSSEは、現在 SSE3 となっており命令の追加、拡張がされています。特に、3DCGに関しては浮動小数点(FPU)に関する命令セットの強化など、3Dグラフィックソフトに関連した命令も多く存在します。CPU、3Dグラフィックソフトが共に対応していれば、高い処理能力を期待する事が出来ます。
尚、現在発売されている AMD 64bit CPU は、初期製造プロセス、 Opteron ではSanDiegoコア、Athlon 64 では Veniceコア 以降に製造されたCPU は全てSSE3 に対応しています。バリューPC 向け SoketAの Sempron CPU はSSEしか対応していませんが、ソケット754pinは対応しています。 (90nmプロセス以降754pin パッケージ版のみSSE2 対応)
AMD はインテルプロセッサ互換CPUの立場上、SSE 搭載が遅れます。ちなみにAMD プロセッサにも SSE と同様に 3DNow! という仕組みを持ちますが、SSE と違い、3DNow! に対応した 3Dグラフィックソフトやアプリケーションは非常に少ないです。LightWave 3D は古くからこの3DNow!に対応しています。