コンピュータネットワークの世界は、実際にどんなデータが流れているのか目に見えないため、仕組みを理解していない一般の方が、危険性を意識することは難しいという性質があり、それは厳然たる事実として存在しています。
コンピュータネットワークの世界は、実際にどんなデータが流れているのか目に見えないため、仕組みを理解していない一般の方が、危険性を意識することは難しいという性質があり、それは厳然たる事実として存在しています。
自分の身に直接降りかかる災いでもあるのですが、セキュリティ対策を放置する事は、自分だけでなく、周囲にも迷惑を掛ける行為なのだ、という意識を強く持って頂く必要があります。例えば、
1の例では、彼女の赤裸々なプライベート写真がネットに流出し、身元が特定され人生を狂わせかねない事件がありましたし、2の例では、警察がそれを杜撰な捜査で見抜けず、誤認逮捕に至る事件が発生したことは記憶に新しいことです。
3の例は実際に自分に降りかかる災いですが、子供からみればいい迷惑です。仕事に使っているパソコンであれば、得意先に多大な迷惑を掛けることになります。
そもそもアンチウイルスソフトは、あくまで予防措置であって新種に感染する危険性は常にはらんでいますし、使う人が騙されて通常のプログラムとして悪意を持って実行されれば防げません。
前述した IEのセキュリティ問題は、本人の意図せずとも勝手に第三者が悪意あるプログラムを実行出来るわけですから、セキュリティ対策というのは複合的に行なって初めて意味のなすものだと言うことは理解出来るのではないかと思います。
ネットの世界では「家に泥棒が入らないよう、セキュリティー対策としてシートベルトを着用して車を運転するようにしたから安心だ」と主張している人をよく見かけます。最低限、仕組みを理解している人とそうでない人とでは、危険に遭遇する可能性が天と地ほどの開きがあるのです。
過去にWindows 98の時も、セキュリティサポートが切れる、ということで報道されたことがあります。
あの時と今回は、随分と背景がことなっており、私はWindows XPの方が、システムの入れ替えが進まず、セキュリティリスクを何時までも引きずるケースが多いのではないかと見ています。
インターネットのブロードバンド化と普及に伴い、一般家庭にも広くパソコンが普及しました。その多くは Windows XP が搭載されたパソコンであること。そして XP が家庭向けの Windows OSとして初めてNTテクノロジーが採用されたOSであることがその理由です。
それ以前は、NTテクノロジーは業務用の安定動作するOSとして位置づけられ、マイクロソフトが家庭用に提供するOSとは差別化されていました。
例えば、Windows NT4(業務用)時代は Windows 95(家庭用)。Windows 2000(業務用)の時代は Windows 98(家庭用)といった関係です。
XPは業務向けの Professional版と、機能面で廉価的な家庭向けのHomeEdition版という形で差別化はありましたが、XP 以降のOSは全てNTテクノロジーの流れを汲む OS です。
XPが普及する以前は、パソコンがフリーズする、という言葉を聴いた事のある方も多いと思います。この「フリーズ」という言葉をめっきり耳にしなくなったのは、XPが台頭してからの話です。
セキュリティ機能がないに等しい無線LANを最初に Apple が販売したときも、一般家庭で爆発的に普及し、1度購入すれば買い換えなんて必要の無かったネットワーク機器は、普通に使えてるのだからと何時までも使い続ける人がいましたし、それが社会問題にもなりました。
それと似た状況があるのではないかと思えるのです。僅か3、4年前に購入したパソコンで、現在も何不自由なく使えているパソコンを、OSのセキュリティサポートが切れたので買い換えて下さい、と言われても、一般の人から見れば、ちょっと理解出来ないのではないかと思います。
消費者に対して、販売期間の長いXPパソコンを一様に、購入して 3年、4年そこらで 「もう使えませんから買い換えて下さい。」ということでよいのか。という話しです。重たいVISTAを入れて販売できなかった低消費電力CPUを搭載したネットブックの多くはXPが搭載されていました。
用途を割り切って低性能低消費電力のスタイルで市場に受け入れられた、買って4年そこらのネットブックは、ちょうどその隙間にあるようなパソコンではないかと思います。
メーカーは責任を持ってしっかりとドライバを提供するなり、サポートをして頂きたいと、むしろ 消費者側から声を上げるべきだと思うのです。
2014年4月現在、販売されている Windows には 7 と 8 があります。Windows 7 の販売は 2014年10月に終了する予定になっており、何れは Windows 8 しか購入できなくなりますが、執筆現在は、Windows 7と Windows 8の平行販売が続いています。
また、Windows 7 と Windows 8 には、それぞれ32bit 版と64bit版が存在しており、業務用、一般家庭用のエディションも存在し、一般のかたにとっては、何を買えばよいのかすら、難しい問題ではないかと思います。
またXP 搭載パソコンは販売期間が非常に長いため、ハードウェアの性能にも大きな差がありますので、一概にOSのアップグレードが正しい選択肢とはならない場合もあります。
古いタイプのメモリは需要と供給の関係で入手出来ても値段が高い場合が多く、新品を購入するよりも返って高くつく場合もあります。
低価格な5万円程度の低性能のパソコンでも、ハードウェアの性能は古いXP搭載パソコンより性能が高く、総合的に見れば、セキュリティサポートが受けられるOSが搭載されたパソコンの買い換えを検討した方が安価で正しい選択肢にもなり得ます。これらの判断基準となる材料の提供を第1章に。
また、第2章では、最新OSであるWindows 8.1 の特徴について紹介しています。実際に4台の全く素性の異なるXP搭載機をWindows 8にアップグレードした経験を元に、Windows8がどんなOSか分かるように解説する予定です。
第3章では、実際にOSのアップグレードの実例を紹介する予定です。性能面で制約のある1台のネットブックをXPから Windows 8.1 へ入れ替えるために何を行なったか、OSの選定から、どのようなトラブルに遭遇したか、個人的な防備録を兼ねて紹介しています。
これは初めてOSアップグレードを考えている方にとって、OSのアップグレードで安く済む場合であっても、掛ける時間とお金の問題は、それぞれ個人個人で違いますので、目を通して頂ければ、判断材料の一つになると思います。