デバイスドライバの中でも、ディスプレイに出力するためのグラフィックスデバイスは、OS の動作に密接に関係するため、これらが使えないと致命的で、パソコンの買い換えも視野に検討する必要が出てきます。
そこで考えられる対策は、新たにビデオカードを増設する方法です。この方法は、拡張スロットに空きのあるデスクトップPCに限られる対策であり、グラフィックスデバイスの交換が物理的に行えないノートパソコンの場合は、残念ですが、Windows OS の環境移行は諦めるしかありません。
デバイスドライバの確認手順の中でも、非常に重要なポイントになります。タイプ別に併せて、それぞれのケースで考えられる対策について説明します。
ビデオカードを交換するにあたり、ビデオカードの物理的なバス形状や、その購入するビデオカードのドライバの提供状況によっても、Windows 7 を選ぶか、Windows 8 を選ぶか、重要な判断基準となります。
現在、ご使用中のグラフィックスデバイスが、Windows 7、Windows 8 に対応しているか、確認するための手順です。
CPUz でマザーボードの情報がわかります。ここで得られた情報を元に、ネットで検索して、そのマザーボードの製造元の仕様を調べたほうが確実です。
左のマザーボードに関する画面は、自作PCの例ですが、ショップブランドのBTOパソコンにおいても同様です。
メーカー製のパソコンの場合は、 もっと単純で、そのパソコンそものの製品の型番で調べて、メーカーのHPからパソコンの使用に関する情報を得ます。
この例では P7H57D-V EVO と表示されています。ネットで検索するとマザーボードのメーカーのサイトで目的の情報が見つけられます。
拡張スロットに PCIe バスと、汎用の PCI バスが搭載されていることが分かります。
メーカーのHPで得られる情報には、結構、誤植(誤り)もありますので、実際の拡張スロットの空きを確認するために目視で確認するようにしてください。
要は、ディスプレイの接続ケーブルが、パソコン本体のどこから出ているかです。マザーボード上の基盤のコネクタにつながっているのか、それとも、拡張スロットに差し込まれたビデオカードにつながっているのか。
実際にケースを開けて確認する必要もあります。拡張スロットの空き状態や、形状を目視で確認するうえでも、上記のツールによる確認だけでなく、一度ケースを開けてみることをお勧めします。
オンボードから出ているのか、それとも拡張スロットから出ているのか、確認します。同じくCPUz のグラフィックスのタブを見れば、使用しているグラフィックスデバイスのハードウェア名が表示されています。
実際にビデオカードを拡張できそうであれば、Windows 8 または Windows 7 に対応したビデオカードの購入を検討します。パソコンを買い換えるよりはずっと安上がりに済みます。では、タイプ別で想定される対応について見てみます。
グラフィックスデバイスを新たに拡張することが出来ないノート型PCの場合に考えられる対応です。
問題ありません。周辺機器やその他の内部デバイス等のドライバが提供されているのであれば、XP の入れ替えによるノートPCの延命は可能です。個人的には Windows 8 への移行をお奨めします。
ひょっとしたら Windows 7 用のドライバとして提供されている物は WDDM1.1 をサポートするので、Windows 8 で問題なく動作する可能性があります。その可能性は高いですが、確信は持てません。
XP から Windows 7 へ移行するのが無難ですが、不評のメトロさえ使わなければ、最初は多少のナレは必要ですが、 Windows 8 の方が電源周りや起動速度などが大幅に改善されており、特にノートパソコンの場合は Windows 7よりもメリットが大きいです。
Windows 7 のドライバしか提供されていない場合は、ネットで動作報告がないかなど、十分下調べして、確信が持てたら Windows 8 への移行をお奨めします。
なぜなら、VISTA の改良版である Windows 7 は、Aeroグラスになりますので、高いグラフィックス(ハードウェア)性能を要求します。下手すると、現在、お使いの Windows XP より、重く感じる可能性があるからです。
拡張スロットについては、こちらを参照してください。ちょっと古い記事ですが、そういう機械を対称にしているのでもってこいです。PCIe スロットを持つデスクトップパソコンであれば、ビデオカードの拡張については選択肢が多いので、殆どの場合が問題ないはずです。
現在はグラフィックス専用の拡張バスであったAGPからPCIeへ移行しています。ちなみにAGPの前は汎用スロットであるPCIバスにビデオカードを拡張して使用していました。
AGPはビデオカード専用のバス規格で、PCI バスよりも広帯域のビデオカード専用の拡張スロットの規格です。現在はすでに大域不足のため、AGPスロットを持つマザーボードは販売されていません。そのため、AGPのビデオカードも殆ど販売されていません。
時期的には 2005年より前の、かなり古いパソコンが該当します。登場した当初から接触不良を起しやすく、互換性で致命的な問題を生じるなど個人的には、全く良い印象のないAGPですが、現在は既に消滅していると考えて差しさえなく、Windows 8 用のドライバが提供されることはないと考えて良いと思います。
XPデスクトップパソコンをメインに使用する場合は、買い換えを推奨したいところですが、子供のお下がりや、サブ的な用途を考える場合は、さらに帯域の低い PCI ビデオカードを拡張し、パソコンの延命を図る手段もあります。
補足:AGPバスが搭載されたパソコンが販売されたのは、時期的に Windows XP 搭載機が販売された比較的、初期の頃、2002年~2006年頃に販売されたデスクトップPCが該当します。
このようなビデオカード拡張バスに AGP をもつデスクトップパソコンや、汎用の 32bit PCI バスしか持たないマザーボードに拡張するビデオカードについては、次のページで紹介します。
拡張スロットに32bit PCI バスがずらりと並び、PCIバスに刺さったビデオカードとディスプレイが接続されているようなパソコンの場合です。
これは前述したAGPスロットを持つPCよりも更に古い時代のデスクトップPCです。
Windows XP へアップグレードすることすら重くて辛かった時代の既に化石クラスのパソコンであり、XP から Windows 7 や Windows 8 にアップグレードするのは、ほぼ困難と考えた方が無難です。
メモリの増設もままならず、これまで、かなりもっさりとした状況で Windows XP を使用していたと考えられるので、Windows OS 入れ替えによるアプリケーションの継続利用は諦め、買い換えを検討してみて下さい。
前述したとおり、XP より Windows 8 の方が軽い、というのはグラフィックデバイスのアクセラレーションの対応が前提になる話しなので、古すぎるPCの再利用が Windows 8 で実現する、と考えるのは誤りです。
Linux でも Ubuntu などは厳しいので、linuxBeanやLubuntuなどの軽量Linux による再生も検討してみて下さい。
前述したように、この PCI(32bit)バスは、汎用バス規格として現在も存在しており、最近のデスクトップパソコンにも搭載されています。特に全てをオンボードに持つ小型デスクトップパソコンなどに、一つだけPCI拡張バスが用意されているPCも存在します。ですので、単に PCIバスしかないので、これは古いパソコン、という訳ではありませんので、誤解の無いようにして下さい。
このようなタイプのデスクトップパソコンで利用可能なビデオカードについては、次のページで紹介しています。
これらは統合型グラフィックスと呼ばれる、安価なオフィスなどのビジネスアプリケーションやインターネットなどの一般的な用途を想定したデスクトップPCに搭載されることの多いタイプのグラフィックスデバイスです。
見分け方は簡単で、一般的には、マザーボードの基板上から直接、ディスプレイに接続されています。このようなデスクトップPCの多くは、ビデオカード専用のスロットが備えられており、それらが空き状態になっている場合があります。
AGP やPCI-Eといった専用スロットにビデオカードを拡張した場合は、グラフィックスの性能が大幅に向上します。
左の写真は、左側がパソコンの後部。上側にCPU。その下に4つの拡張スロットが開いている事が確認出来ます。そして、ディスプレイは、パソコン背面のマザーボードに接続されています。
一般的には、CPUやメモリに最も近いスロット、つまり写真では上側になりますが、そこにビデオカード専用の AGP や PCI-E のスロットが用意されています。
AGP の場合は PCIバス(写真では下から2本の白)のスロットと形状が違うので、違いは一目瞭然ですが、PCI-E x16レーンが複数ある場合は、形状が全て同じこともあるので、大抵はCPUに近いスロットのバスが違う色となっています。
この写真では、上から順に PCI-E x1、PCI-E x16 、PCI が2本、用意されており、ビデオカード用のスロットは青いPCI-Eバスになります。
この様なケースでは、サウンドやネットワークなど、他の内蔵デバイスのドライバがそれぞれのベンダーから提供されており、グラフィックスだけの問題で有れば、Windows 7 / 8 に対応したビデオカードを増設することで Windows XP から良いこうすることが可能です。
ただし、この箇所に AGP 拡張スロットがある場合は、現在、Windows 7 / 8 に対応したビデオカードが販売されることは考えにくいので、敢えて転送レートの低い PCI バスのビデオカードの拡張が、検討項目に上がります。
それでもオンボードのグラフィックスより性能は向上すると思われます。
また、マザーボードによっては、グラフィックスデバイスが二つある場合、両方にディスプレイを接続できるマルチモニタ(デュアルディスプレイ)に対応出来るものと、どちらか一つのグラフィックスデバイスしか利用できないもの、などの機種固有の違いもあります。
一般的にこのようなビデオカードを接続した場合に関する設定は、マザーボードのBIOS をみればわかります。
優先するグラフィックスデバイスの順番などの設定する項目が確認出来ますので、ビデオカードを拡張出来ることを確認出来ます。
このマザーボードの例では、オンボードをメインディスプレイ1にして、PCI-E にビデオカードを増設した場合は、デュアルディスプレイが可能であることをが読み取れます。
あとの項目は、どちらのディスプレイを先に検索するかの指定であり、デュアルディスプレイは出来ないことも読み取れます。デュアルディスプレイが目的ではありませんので、このパソコンは、グラフィックスデバイスを交換することが可能であると言うことが確認することが出来ます。
このようなタイプのデスクトップパソコンで利用可能なビデオカードについては、次のページで紹介しています。
このようなタイプのパソコンは、GPUはマザーボードに直付けされており、ビデオメモリに、通常、PC が使用するメインメモリを利用します。
そのため、頻繁にメモリにアクセスする特性のあるグラフィックス処理と、通常、PCの動作に使用するメモリの間で帯域の奪い合いが生じて、総じてグラフィックス性能の劣るデスクトップPCとなります。
性能が劣ると言っても一般的な用途、例えばインターネットやオフィスなどの、ビジネス向けのアプリケーションの利用には十分なので、コストパフォーマンスから、この様なタイプのPCが広く普及しています。
このサイトで紹介している3DCG制作においては、もっとも購入は避けるべきタイプのデスクトップPCでもあります。
一部の例外はありますが、ノートパソコンにおいても仕組みは全く同じです。むしろ、ノートパソコンの考え方がデスクトップPCに降りてきた、といったほうがしっくり来ます。3DCG制作において、ノートパソコンが適さない理由も、これらの理由から来るものです。
Windows VISTA が失敗した要因は、まさにここにあり、OS の意味もないど派手なグラフィックス処理に、このような高性能な GPUの処理能力を必要とするグラフィックスデバイスを要求したために、従来の Windows XP を使っていた多くのユーザーがパソコンの買い換えを迫られました。
それも、まるで必要もない機能のために…
これがユーザーの反感を買い、Windows XP は、Windows VISTA の改良型である Windows 7 が登場するまで、長きにわたるサポートが続く事になります。
また、Windows VISTA から採用された WDDM グラフィックスは、ビデオメモリの管理が不十分であり、ビデオカード上のメモリを大量に扱う 3DCG関連の分野では、絶対に購入してはいけないOSであり、
このサイトでは、VISTAは絶対に導入してはいけない、Windows XP 64bit 版の購入を強く推奨してきました。
補足:Core i5 などの最近のCPUでは、CPU内部にGPUが統合するCPUも存在し、これまでのマザーボード上にGPUを持つような統合型チップセットのグラフィックス性能を大幅に高めているものもあります。これらの PC は比較的新しい部類に入るので、間違いなく Intel や AMD から Windows 8 用のドライバは提供されているはずです。確認したわけではありませんが。おそらく、これらの最近のハードウェアにおいて Windows XP を使っているユーザーはいないと思いますが、オンボードグラフィックスというより、オンCPUグラフィックスも、同様にマザーボードから直接ディスプレイに接続されている例もありますので、補足しておきます。3DCG制作に適さないグラフィックスである点は同じです。Quadro や FireGL といった OpenGL のアクセラレーションを前提に設計されているビデオカードを使いましょう。
引き続き、これまで紹介したケースに該当する、現在入手可能なビデオカードについて調べました。次のページに続きます。