基本的に指は一つを作成して複製して使い回します。本稿では中指を基準に親指以外の指は流用します。指はポリゴンをもっとも浪費する箇所でもありますので、指一本あたりにどの程度のポリゴン数を割けば妥当か、よくよく検討する必要があります。
手は汎用性の高いパーツです。あまり作り込みを行なうと汎用性を損ないます。ポリゴン数の増減、どちらに大しても容易に修正が行えるであろう程度のポリゴン数にすると制作物を資産として後々活用する事ができます。
ゲーム等、リアルタイム処理が前提のポリゴンモデルの場合、指すべてを作成せずに指なし手袋のように一体で作成、テクスチャで処理するケースもあります。
本稿ではある程度の造形を考えていますので六角形をベースに作成します。関節箇所にはエッジがくるようにして、そこからエッジを追加していくような感じで造形します。
六角形といっても平らな面を上にするか、エッジを上にするかで後の作業は変わってきます。先を予測してモデリングを行う必要性を示す好例です。
先に作成したベース形状から先の作業を予測して親指を除く4本の指は上下を平面にする事にしました。
イメージできない時は直接写真にワイヤーフレームを自分で描いてみるとイメージし易いかもしれません。山、谷、山、起伏を表現するためには、最低どれだけのエッジをどの場所に追加すればいいのかを考えてみるとよりイメージし易いと思います。
このような経験則に基づく判断は初心者にとって難しく、数をこなして経験を積む以外にないというのが実際の所です。特に本稿のテーマであるBone変形を想定した生物モデリングは、前後の技術を想定して作業を進める必要があります。
関節部分にエッジベベルでエッジを追加します。このツールは頻繁に使います。
選択エッジに対してすべてのコマンドが実行できる訳ではありませんが、従来のLWモデリングの生産性はかなり高くなっています。
断面を把握するのにも有用ですので積極的にエッジ選択モードは活用するようにして下さい。
Band Saw ツールで造形に必要な頂点を確保したところで、頂点位置を修正し、形を整えていきます。
頂点の生地には様々なツールを使った方法が考えられますが、中でも “ノーマル移動 “(Point Normal Move) ツールは全体の太さを調整するのに便利です。
特に生物系モデリングには威力を発揮しますので、ショートカットに登録されると良いと思います。
肘や膝などはある程度、頂点がなければ曲げた時に伸びきってしまうため思ったような変形結果は得られません。
Bone変形を想定した場合、変形により伸びる箇所、縮む箇所のメッシュ数、エッジの位置に注意する必要があります。
これは後に説明するスケルゴン回転で明らかになります。
爪はテクスチャやNormal Map でも十分表現出来るので目的に応じて判断します。特に頂点が密集する箇所は無駄にメッシュを浪費します。(サブディバイドするとわかる) 手の指は最終的に10本になりますので検討が必要が箇所です。
作中、クローズアップにもならない箇所に無駄にポリゴンメッシュを浪費する訳にはいきませんので。爪の造形に関しては後半で予定しています。 長々と書いていますが、ここまでの所要時間は5~10分程です。
ある程度、指の造形ができた所で、先に作成したスケルゴンを使ってウェイトマップを作成し、現段階でのポリゴンメッシュの流れに問題がないか確認します。
複製して手に接続してから問題が生じた場合、修正の手間が増えるためです。指を複製する前に、実際に変形具合を確認しておく必要があるからです。
ウエイトマップ作成はVertex Paint を使用して一括で作成します。Weightタブ > Calc の Falloff Distance から一括して行います。
Falloff Distance ^16 を適用します。Vertex Paint はSubDib形状に対応していないため、一度、Vertex Paint を抜けます。この一連の作業でスケルゴン名と対になるウェイトマップが同一名で作成されます。
ウェイト付けに使用するスケルゴン位置と、実際に回転するスケルゴン位置は必ずしも同じである必要はありません。
Vertex Paint は、SubDiv サーフェイスの変形はサポートしていないため、スケルゴン回転ツールを使って、変形具合を確認します。
Modeler 上のスケルゴンで行うスキニングと Layout の Bone 設定でいう所の “ウェイトマップのみ使用” になります。
最終的な判断は、Layout 上に取り込み、”スケルゴン変換” でboneに変換後、Bone設定の補正機能も含めて判断する必要があります。(後述)
スケルゴン、ウェイトマップに関しては、後半で詳しく説明します。
ある程度の作りこみを考えていますので、指の腹にエッジを追加しています。青色の線で示した流れに注目してください。
この段階では細かい造形は一切気にしません。配置したメッシュの流れでVertex Paint の Falloff Distanceで意図した変形が得られる事が確認できればOKです。指の長さや太さなどは、本体に接続した段階で行ないます。
Bone 設定の補正機能(レイアウト)は、Pitch 軸に対してのみ働きます。例えば、曲げた方向に筋肉を持ち上げたい場合は、上右図が示すように Pitch 軸のプラス回転方向で曲がるようにスケルゴンを設定しておく必要があります。
スケルゴン回転によるスキニング結果の善し悪しを判断するには、レイアウト上で行なう Bone補正機能も含めて判断する必要があり、LightWave の Bone のスキニング手法について理解している必要があります。
この点に関しては次のページで詳しく説明します。