これまでの作業で"手"本体のベースと指を作成しました。ここからは "手"本体の造形を行ないます。モデリング前には必ずデッサンして形状を把握しておきます。資料となる写真にメッシュを描いてみるのも良い方法です。
01–1で説明したように間接位置にエッジが来るようにし、指以外の厚みはもっとも薄いところが想定される部分に合わせています。
厚みをつけて行く方が造形しやすいと考えたためです。作成した指の接続の事も考慮しながら、手本体の作り込みを行います。
3D モデリングは常に一手先以上の事を考えての作業を心懸けるのが上達の秘訣です。迷った時は分岐点ですので、何時でも引返せるように作業工程を別レイヤ、別ファイル等にバックアップするなどしておきましょう。
親指の付け根は甲と掌側では色で示した三角ポリゴンを使っている位置が異なります。BandSawでメッシュを分割した際、ここでストップします。
SubDiv種は Catmull で作成していますが、基本は四角ポリゴンでメッシュの流れを組み、要所要所で三角ポリゴンを上手く活用するようにします。
Catmull は 5角形以上のポリゴンに対応していますが、少ない頂点数で構成されるSubDivision サーフェイスの場合、Bone 変形時の予測が困難になるため、なるべく使わないようにします。
このベースモデルを元に頂点整地(主にY軸方向)を行い、足りないメッシュを追加して造形します。
指と同様にVertex Paint を使用してウェイトマップを一括で作成します。(Falloff Distance ^16を適用) この段階のウェイトマップは精度にこだわる必要はありません。
スケルゴン回転で親指の骨の位置を調整します。第二間接以降は外側へ45度ほど外側へ角度をつけています。
親指のスケルゴンはY軸に対して平面に描画していますのでBank / Pitch / Heading 軸を調整します。
最終的にはスケルゴンの位置は変更します。モデリングの段階ではオブジェクトの中央に来るように配置しています。
ここまでをベースモデルとして本格的に造形していく事になります。このベースモデルの出来が3Dモデリングの生産性を大きく左右する事になります。
ここまでは平らな手形を曲げただけです。ここから頂点編集(モデリング)作業に入ります。最初に気になった箇所です。親指の付け根を曲げた時、切れ目が出てしまう事は容易に予測できます。
このような箇所を修正するには、一度、問題のある箇所のポリゴンを一つに結合してAdd Edges を実行すると容易に修正することが出来ます。メッシュの流れを変えるには Spin Edge (v9.2以降)が便利です。条件によって落ちるので注意が必要です。
掌側のメッシュの流れを修正しています。スケルゴン回転でどのように変形するか確認して、問題がある場合はメッシュの流れを修正し、必要があれば頂点を追加します。
ここまでの修正で頂点数は増えていません。頂点数が増えていないという事は、ウェイトマップにも変更がないという事です。(頂点を消去して追加しない限りは)
つまり、修正後もスケルゴン回転で確認する事が出来ます。ツールによりますが頂点を新たに追加した場合はウェイト値がない場合がありますので、その際はVertex Paint の Falloff Distance で再度、ウェイトマップを一括作成します。
少ない頂点数で構成されるSubDiv サーフェイスによる造形は、頂点位置ではなくメッシュの流れが重要である事を示しています。慣れるとスキニング結果をある程度の予測は出来るようになります。
明らかに造形に足りないと思われる箇所は、エッジベベル、BandSaw ツール等でメッシュを追加しておきます。
ここで増えた頂点を整地して全体の形を整えます。ラフの段階では、なるべくエッジが均等間隔になるようにするのがポイントです。
色をつけたメッシュの流れに注意しました。
このページの所要時間は 30分~40分程度です。引き続き、作り込みを行ないます。